3連覇を目指す奈良育英高校に対して、勝つために必要な畝傍高校の戦略的撤退プランについて~全国高校サッカー選手権奈良大会準々決勝プレビュー~
いよいよ全国高校サッカー選手権奈良大会もBest8が決まり、ここから大会はクライマックスへと進んでいきます。
◼️両校2回戦の振り返り
そこで優勝候補筆頭で今大会3連覇を目指す奈良育英高校に勝つには、どう戦えば良いのか?を考えてみたくなりました。
それを踏まえて2回戦の下記2試合を観戦してゲーム内容を参考にしながら、準々決勝で自分なりの育英対策を練りプレビューにしようと思って、10月18日(土)にヤタガラスフィールドへ行きました。
・法隆寺国際高校 vs 畝傍高校
・奈良育英高校 vs 香芝高校
県内で奈良育英高校に勝てる高校を考えても戦力的にはどこも太刀打ち出来ないと思ったので、勝てる可能性のある対戦校を敢えて選ぶならサッカーを理解できた上で、スカウティングから対策を練ってクレバーな闘いができる高校が良いなと思い、順当なら勝ち上がってくるであろう畝傍高校が対戦する準々決勝を選びました。
【畝傍高校vs法隆寺国際高校】
しかし、その前の2回戦で畝傍高校も奈良育英高校も大苦戦してしまい、危うく両校とも2回戦で敗退してしまうところでしたが…
開始早々に得たPKの虎の子の1点を守りきり辛勝した畝傍高校でした。
やはり2年生中心の新チームなだけに、まだまだ攻撃面ではインハイの時のクオリティを出すことができず、最後の大会に臨む3年生が残っているであろう法隆寺国際高校には気迫で押されて守備対応に追われていました。
それでもクレバーな一面は見せてくれた畝傍高校は1点リードを守りきる強かさを十分見せてくれました。
奈良育英高校戦も同じく粘り強くゴールを守っていくコンセプトで準々決勝を迎えれば良いと考えています。
【奈良育英高校vs香芝高校】
奈良育英高校は香芝高校の縦へ速い攻撃に対して後手後手な対応となり、終盤まで2点リードを許すなど厳しい闘いになりましたが、終盤スタミナ切れを見せた香芝高校に対して終了間際の猛攻で大逆転勝ちしたのは奈良育英高校でした。
正しく3連覇に向け常勝育英の風格さえ漂う逆転勝ちでした!
◼️奈良育英高校vs畝傍高校プレビュー
【両校システムについて】
リーグ戦の時から奈良育英高校はハーフタイムで交代選手を2~3人投入して、交代で下げた選手のポジションに入るのではなく全体的にポジションをローテーションしてきます。
これを毎回しれっとやっているのですが、何も考えてない対戦相手なら前半マッチアップした選手のプレー範囲が変わってる事で、引っ張り出されたりギャップを突かれ背中を取られたりして、恐らく戸惑っている後半立ち上がりにゴールを奪いゲームの流れを作り押し切るプランなのかな…とこれまでの闘いぶりから想像しています。
だから後半スタートしてポジションを確認にしているとピッチに立っていないボクですら頭の中が実際に混乱する訳です。
これは選手にとってピッチ上で整理すのは更に大変な事なのではないでしょうか。
畝傍高校は一見1-4-3-3の様に見えましたがWGというよりSHの色が強かったので恐らく1-4-1-4-1だった思います。
このシステムは法隆寺国際高校相手には少し相性が悪かった様なゲーム内容でした。
法隆寺国際高校の選手はドリブルに自信があるんでしょうか、畝傍高校の1トップとアンカーの両脇のフリースペースをドリブルでボールを運ぶものだから、畝傍高校は良い具合に法隆寺国際高校の前進を許していました!
そのため、上記の様に両脇のスペースを奈良育英高校にスカウティングされている可能性も十分あるので、自分が畝傍高校のアナリストなら奈良育英高校相手には1-5-4-1でローブロック組んで戦略的撤退をしてやろうかな…と思いました。
その思いは何かと言うことをこれから書いていきますね!
【5-4ブロックの強みとは!】
上記のシステムの通り3CBの真ん中に6番を落として真ん中を絞り、両SBをWBにしてサイドのプレッシングとプレスバックの運動量を増やして奈良育英高校のサイド攻撃を封じます。
奈良育英高校のゴールキックスタートならこんなイメージです。
1-5-4-1が育英に対して相性が良いなって思ったのは、新人大会の準決勝で畝傍高校が奈良育英高校を零封して勝った時から、もしかして奈良育英高校は5バックの攻略法を知らず苦手意識があるのかな…と思っていたからです。
でもインハイ決勝では五條高校が奈良育英高校に対して5バックを取り入れてきましたが、奈良育英高校が勝ったよね…て仰ると思うのですが、五條高校の5バックは当時ポテンシャルのある選手を並べただけだったものなので、そこまで組織的には統制が取れていたとは言えず、奈良育英高校の選手のポテンシャルが五條高校の選手のポテンシャルを上回り3得点した形となりました。
じゃあ畝傍も高校も同じじゃないか?と考えられますが、そこは谷口監督と畝傍高校のサッカー理解度なら5バック落とし込めるんじゃないか!と期待している訳なんです。
畝傍高校の選手は戦術の飲み込みが早いと、この前読んだ記事にも書いていたので尚更ここを期待したいと思います。
ただし1-5-4-1を組むときはライン間をコンパクトにする必要があるので、1-4-1-4-1の時みたいにハイラインには向かずローブロックを組んでいく必要があります。
もしDFラインを押し上げ様もんなら奈良育英高校の10番にスルーパスを出されて、足の速い奈良育英高校の前線部隊に畝傍高校DF陣が走り負けて、失点を重ねる可能性は高まるので、そこには十分気をつけたいところです。
でも、ここまで奈良育英高校の公式戦を観戦してきた身として思うのは、底からビルドアップしてくるチームじゃなく、ロングボールを蹴って相手陣内でセカンドボールを回収した後に、マイボール保持して繋ぎながら攻撃を仕掛けるチームだと思っています。
だから上記の様にローブロックを組んでロングボールを弾き返せば良いし、もし奈良育英高校がロングボールでなく底からビルドアップして来ようものなら、畝傍陣内に入ってから繰り出される縦パスをプレッシングして、受け手の背中を突いて蓋をしてやれば、恐らく一旦バックパスで再度ボール循環して立て直してくると思います。
そしてここからが奈良育英高校の攻撃を封じるための一番の課題である育英10番が繰り出す畝傍ゴール前へのスルーパスを、どうやって通させずにシャットアウトしてゴール死守するのか?なんだけど、今回の戦略的撤退プランの提案は、そのための5バックなんですよ!
育英10番はゴール前でボール持つと、横にスライドする様に逆サイドへドリブルをしながら、逆サイドのFWやSHのが相手DF裏を抜け出してくるタイミングを見計らって、選手間にスルーパスを通してくるんです。
そこを5バックで選手間を絞ってスルーパスを通させない様にパスを引っ掛けるか、若しくは縦パスが入る時点でプレッシングして一旦バックパスで撤退させるという5ー4の守備ブロックが良いな…と思いました。
トーナメントはリーグ戦と違って勝点3を無理に取りに行かずとも、最悪無得点でも無失点ならPK戦に持ち込み、PK戦の対策もしておけばジャイアントキリングじゃないけど格上相手でも勝ち上がれる大会なんです。
近年は県内王者として君臨する奈良育英高校の3連覇を阻止するために、畝傍高校が現時点持っている戦力(1、2年生)を効果的に生かす事を考えれば、今大会は守備強化に特化したゲームプランで勝つ確率を上げれる方が得策と考えました。
そりゃ得点取って勝ちたいけど法隆寺国際高校戦を観戦してて、奈良育英高校からゴールを量産するほどの攻撃力には到底見えないので、ロースコアに持ち込んで数少ないシュートチャンスで、ワンチャン狙って勝負をかける必要があると思います。
真っ向勝負は来年のインハイ奈良大会で披露できるようにこの半年で仕込んで行けば良いと思います。
今年もインハイ時の戦力なら真っ向勝負できたと思います。
ここからは数少ない攻撃のチャンスをどうやって構築するかなのですが、畝傍高校にはロングカウンターできる選手が不在だし、と言っても底から繋ごうものなら自陣で失うと奈良育英得意のショートカウンターの餌食になるだけなので、ここはプライドを捨ててロングボール等で奈良育英高校のゴールキックするシチュエーションに持ち込む事を考えたいです。
そして、奈良育英高校のゴールキックを攻撃の起点としてハイプレス/ハイラインのスイッチを入れます。
しかしDFライン5枚並べてのハイラインはシステム全体が間延びして、ライン間のスペースが奈良育英高校にとって狙い目になってしまい危険なので、畝傍WBには中間ポジションを取らせて他の前線と中盤はマンツーマンにして、畝傍WBは育英SBへ対してのプレッシングと育英SHへ対してのプレスバックの両面で、この時ばかりは攻守に渡り力の限り走って貰いたいと思います!
このシステムの狙いとして強いて攻撃を仕掛けるのなら、アタックキングゾーンでボールを奪い、ショートカウンター等で育英陣内に押し込みゴールを奪うか、フリーキック若しくはコーナーキックを獲り、セットプレーによるゴール前空中戦でゴールを奪うかです。
これは育英GKの上背がそこまで高くなく空中戦では畝傍高校も優位に立てるチャンスがあるからです。
但し、奈良育英高校のボール保持時で畝傍高校のアタックキングゾーンでのハイプレスを掻い潜り、1stライン間に侵入してくる様なら奈良育英高校のロングボールに備え、全選手一斉にリトリートして再びローブロックを組む…この繰り返しを続けたいですね!
あと言わずもがなですが畝傍高校も奈良育英高校に対してPK、CK、FK等のセットプレーで失点する可能性は十分残っているので、自陣でのファールや無闇にゴールラインへのクリアでCKを与えない徹底ぶりもリスク回避のため必要です。
最後に畝傍高校には延長戦を見据えて焦らずじっくり100分間で1対0で勝つシナリオで王者奈良育英高校に挑みたいです!
■あとがき
さて、実際この試合はボクが考えている様な戦略的撤退プランで来るのか、はたまた真っ向勝負で来るのかは全く予想が尽きません。
どういうゲーム展開になるのかがめちゃくちゃ楽しみで是非この目で観戦したいのですが、試合会場がフットボールセンターAピッチという事もあり、チーム関係者の応援団とは違い一般観戦者がピッチを見やすい場所での観戦は正直厳しいので、現地観戦を諦めるかどうか思案中です。
もし一般人立入禁止のクラブハウス2Fから特別枠で観戦できたらなぁ…と思いながら、恐らくBピッチの生駒高校vs大和広陵高校の第3試合を観戦していると思います。
ここまで4,500文字を超えて長くなってしまったのですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
もし差し支えなければ当該noteをシェアして拡散してくれると嬉しいですし、更にこの試合の事でなくても良いので奈良県高校サッカーの事など何でも結構なので、いろんなコメントいただけるとめちゃくちゃ嬉しいです。
これからも何卒よろしくお願いいたします。
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