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畝傍高校の優勝で見えた次の課題~奈良県高校サッカー新人大会決勝のLIVE配信を観て~

2023年1月9日(月)に開幕した新人大会も先日の2月4日(土)の決勝戦をもって終幕しました。

最終結果反映トーナメント

優勝は奈良育英でも、生駒でも、一条でもなく、なんと!近年実力をつけて常に上位進出してきた畝傍が、新人大会ではあるものの遂に奈良県王者として勝ち名乗りをあげました。

奈良県の高校サッカー界は昨季のインハイ奈良大会の生駒の優勝に引き続き、今大会も畝傍の優勝で更なる群雄割拠の時代に突入したと言っても良いでしょう!

これは2016年~2018年のインハイ/選手権で6季連続の県代表だった一条の一強時代から、2019年以降は五條、山辺、奈良育英、生駒に今回の畝傍と言った、毎年の様に優勝校が変わるという歴史を塗り替えてきたからです。

それで今回は決勝戦の動画配信を観て何を書こうかと悩みましたが、今大会開幕する時から各校の攻撃を注視すると言ってたので、優勝した畝傍高校の攻撃ってどうなの?という目線でnoteを書くことにしました。

◼️畝傍の基本システム

一条高校(上)/1ー4ー4ー2
畝傍高校(下)/1ー4ー1ー4ー1

決勝戦の両校の基本システムは上記の通りだったと思います。
両校はこの決勝戦までお互い4試合連続クリーンシートで勝ち上がって来ており、お互い攻撃力<守備力が上回る構図だと思っていたので、決勝戦も先制点が勝負所になるだろう…と予想していました。

決勝戦の優勝校予想アンケートでは、準決勝で奈良育英をクリーンシートで退けた畝傍の方が、一条を圧倒的に上回ってました。
でも畝傍の攻撃力だと一条から得点するのも難しいと個人的には思っていたので、正直なところ一条が勝つだろうと勝手に予想しながら観戦していました。

◼️畝傍が誇る堅守の理由

セット時の基本システム

畝傍の基本セットは1ー4ー1ー4ー1ですが、相手ボールになると一旦ミドルブロックを組んで攻撃を送らせ、その後にリトリートして1ー5ー4ー1に変型させガッツリ守備ブロックを組んでいた様に思います!

一条エリア内で畝傍が1-4-1-4-1

例えば畝傍はボール非保持の際にポジショニングが良いので、一条が前進するパスコースをほとんど消して、下記ツイートの通りポジショナルプレーが心情の一条ですら、堅守の畝傍が相手だとボール保持時に粘ってボール循環をしようとする一条は、『止めて蹴る』の精度がまだまだ未完成のため自らボールロストをしてしまい、最終的にはロングボールを蹴らされて畝傍に回収されるシーンが多かった様に思います。

一条に限らず県内高校サッカーをこれまで観戦してきた経験だと県内ではマンツーマンまで守備対応せずとも、ある程度スペースを埋めてさえおけばパスコースを見つけられず、勝手に前線へのロングボールを選択して蹴ってくれるので、守備側としてはボール回収しやすく守りやすいと思います!
簡単に意図もなくロングボール蹴ってしまうところはどうなの?って思うところはあるんですけどね…


一条の前進から畝傍がリトリート開始

一条が自陣からビルドアップしてくると、畝傍ポジショナルな守備でスペースを埋めて、一条の攻撃を遅らせながらリトリートしていきます。

畝傍高校のコンパクトな守備ブロック

そして最終的にはコンパクトで堅固な5ー4の守備ブロックを組んでくるので、一条も幅を広げるためボールと人を動かして、畝傍のブロックをスライドさせ選手間を攻略したかったと思いますが、チャンスらしいチャンスをほとんど作れないまま、畝傍ブロックの外からしか放り込む攻撃しか出来なかった様に思います。

奈良育英が中盤でスピード上げ過ぎて
畝傍の守備ブロックに跳ね返される

準決勝で畝傍にクリーンシートで負けた奈良育英も畝傍の守備ブロックには相当苦しんでました。

それぐらい畝傍の守備対応は年々磨かれ堅固になっていくため、県内高校が対戦相手だと今大会の様に、全5試合で無失点ということも十分頷けます。

でも今大会の様に全試合クリーンシートが出来れば問題ないけど、新人戦やインハイ、選手権の様なトーナメント大会で無失点でも無得点なら一条との決勝の様にPK戦に持ち込まれたり、もし畝傍がセットプレー等で先に失点を許す様なゲーム展開になると、現時点のビルドアップの構造が作れてない状況で、ビハインドの状況を作って対戦相手に引かれてしまうと、カウンターも発動出来ない畝傍はたちまち追い込まれてしまうので、今大会は優勝したもののこのまま放って置くと、インハイ/選手権を勝ち抜く為の不安材料を残してしまう事になります。

そのため、守備の強度が十分高まってきた今だからこそ、次の段階に移り再現性ある攻撃に分厚さを増すため、今季は攻撃的なプランも落とし込む良いタイミングだと勝手ながら思いました。

◼️畝傍の攻撃が物足りない

準決勝、決勝の2試合を見る限り、畝傍の攻撃は左サイドからの起点ぐらいが仕掛ける展開で、残りはセットプレーかロングボールで相手ゴール前に放り込む運任せって感じなので、決して攻撃に分厚さはなく先に失点してビハインドな展開となると、正直逆転は厳しいかな…という攻撃力と感じました。

畝傍の左サイドアタック

畝傍は左WGを頼っていると思いますが、現時点ゴール前には1トップしか走り込めてない状況なので、もしクロスを入れられても十分跳ね返せるとばかりに、守備側も慌てず怖がってない様に見受けられました。

◼️畝傍に必要な攻撃は?

準決勝、決勝しか観てませんが畝傍の左WGはサイドの起点となるよりも、2列目からの飛び出しの方が得点に絡めそうだと思いました。
そしてゴール前は1トップじゃなく右WGを前に出して2トップにした方が攻撃にも分厚さが出てくると思いました。

畝傍の新しいゾーン3での攻撃

ボール保持時に攻撃を仕掛ける際の左サイドは左SBのオーバーラップを意識して1-4-1-3-2の形を取るイメージが良いかと思いました。

一条エリア内で畝傍が1-4-1-3-2の配置

例えばここから一気に加速して相手ゴール前に迫る形に持って行くシーンとして、左SBオーバーラップからゴール前への折り返しを、左WGがハーフスペースのSBーCB間を2列目から抜け出してシュートし、もしDFやGKに防がれてもこぼれ球を2トップが押し込む形が出来るので攻撃にも分厚さが出てくると思います。

畝傍の新しい左サイドアタック

まぁほんの一例ですけど守備ブロックを掻い潜るには、選手間を広げてそのハーフスペースを抜け出す事で、DF陣を慌てさせて守備ブロックを崩す必要があるのでポジショニングが重要となります。
畝傍は守備時のポジショニングの良さを考えると、攻撃時のポジショニングの悪さはサボってるとしか思えないです。

◼️あとがき

昨年インハイ王者となった生駒も守備力で県代表を勝ち取りましたが、選手権予選では得点力不足がたたり準々決勝で敗退しました。
畝傍も同じ轍を踏まない為にも、新人大会優勝で甘んじる事なく攻撃力アップにシフトチェンジする事を期待しています。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!


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