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大学のキャンパス以外で自分を成長させたもの

自分は関東のとある地域で大学に通っていた。親元から離れ、人生はじめての一人暮らしを満喫し、大学生としてそれなりの青春を謳歌し、日々綿々と流れていった。

何もなければ、自分はここで4年間ただただ大学生として90分の知識の切れ端を貪りながら試験をこなし、何の役にもたたないであろう知識を積み重ね、腐らせていたのかもしれない。

大学2年のある日

駅の近くにふとカフェがあることに気づく。ふと足が店内に向かった。

狭い店内にカウンター席4つ テーブル4脚が整然と並んでいる。何気なく席に座り、気さくなおばさんが

「何にしましょうか」と笑顔で声を変えてくれた。

今でも覚えている。

「イタリアンとトースト」ぶっきらぼうにそう答えた。

香ばしい香りが店内を包む。鋭い苦みが一瞬にして口の中から脳内に突き刺さる。次の瞬間にスッと苦味は引き、香ばしい香りが鼻から抜ける。

そこから大学を卒業するまで、ほぼほぼ毎日、その店に通った。個性的な常連さんたちとも知り合いになった。今でも大切な仲間だと思っている。

震災後も自分の大切な思い出。そして大切な人たちだ。友人よりももっと深い関係かもしれない。自分にとっては大学で学んだことよりも多くのことをここで話し、そして吸収していった。まさに「学んだ」と言ってもいい。

元海軍で日銀の東京帝国大出身のS御大

元大宮駅駅長の御大

詩人でミュージシャン。自分の生きる指標のSさん

「作る」いや、「創る」洋菓子がとても美味しい元舞台女優のMさん

マスターのKさんとその旦那さんで刀の鑑定士のSさん

モンゴル出身のAさん【華茶美味しかった】

不動産屋さん、創価学会の人、歯科医の美人さん


おそらく今まで生きてきた中で最も濃厚な時間だったかもしれない。

政治や環境、歴史、科学、世界の事

沢山学んだ。今でもここの思い出が僕を辛うじて支えている。

死にたくなったとき。

消えたくなったとき。

ここの経験が僕を今でも支えている。


福島県のどこかに住んでいます。 震災後、幾多の出会いと別れを繰り返しながら何とか生きています。最近、震災直後のことを文字として残しておこうと考えました。あのとき決して報道されることのなかった真実の出来事を。 愛読書《about a boy》