BONNIE PINKー犬と月(1998)

BONNIE PINKはこの作品以降、長期の休業に入る。仕事に自信を持てずに単身渡米。実に2年という歳月をアメリカで過ごした。この作品を残してBONNIE PINKは日本から消えたわけである。彼女の持っていた世界観がたまらなく好きだった自分は学生ながら活動休止の知らせにひどく絶望したものだ。
斬新な赤のボブ
楽曲のほとんどが英語
アイリッシュポップのフレーバーを見事にミックスさせたBONNIE PINKの不思議the worldは僕の耳から脳内を掻き回した。

何て不思議な曲だろう。フワフワして不安定なのにこれほどまでに圧倒的な歌唱力、音域、声色に当時の自分は溺れていた。

この歌は日本に置き去りにした第一段BONNIE PINKの遺書だと感じた。



今までのBONNIE PINKに自信が持てなくなったから休みます。



ということだろう。
「一点の眩い場所目指すとき、犬と月が手を繋いだ」
ここで言う眩い場所はどこなのだろう。犬はきっとBONNIE PINK本人だと思う。彼女の理想とする音楽はBONNIE PINKとは違っていたのかもしれない。そんな葛藤がこの曲の随所に散りばめられている。

ポニーキャニオン最後の作品になったこの作品を是非聴いてほしい。


奇才であり天性の天声歌姫
至高のサウンドを召し上がれ!

福島県のどこかに住んでいます。 震災後、幾多の出会いと別れを繰り返しながら何とか生きています。最近、震災直後のことを文字として残しておこうと考えました。あのとき決して報道されることのなかった真実の出来事を。 愛読書《about a boy》