BONNIE PINKー金魚(1998)必聴!!

「陰気な曲だなぁ」
当時の自分がいかに無知だったか。音楽的素養がなかったか。この台詞からわかる。10代のとき、自分がBONNIE PINKのheaven's kitchenに出会って彼女の曲を聴き浸るようになって唯一この曲だけは好きにはなれなかった。

暗い曲調に暗い歌詞。聴く気分も深く塞ぎこんでいく。
しかし、年齢を重ねるにつれ、歌詞の意味を理解、体験するようになって初めてこの曲が素晴らしいと知った。

彼女の歌詞はひとつの物語。
金魚は彼女
彼の手のひら(束縛)では窮屈で飛び出したくなる。けれど、歯向かえば歯向かうほど、どんどん自分の居場所がなくなっていく。

一度別れて、大海原に出てしまったら、もう彼を見ることはできない。

結局は彼女の居場所なんて彼次第で決まってしまう。それがとても不安定なもので、安心できない気持ちの葛藤を唄っている。

とても悲しい歌ではあるが、女性の内面をリアルに描き出した素晴らしい作品である。
この金魚の結末は……まずはとくと味わうべし。素晴らしい感性の作品を召し上がれ。

福島県のどこかに住んでいます。 震災後、幾多の出会いと別れを繰り返しながら何とか生きています。最近、震災直後のことを文字として残しておこうと考えました。あのとき決して報道されることのなかった真実の出来事を。 愛読書《about a boy》