戦略的モラトリアム【大学生活編】(26)
かくして研究会は恙なく終わった。懇親会にも参加して現役の教員や研究者の人々と話し合ううちに、自分もまるで一つの学問を探究している一人になったかのような錯覚に陥った。それはまるで最先端を走っているランナーの集団に自分の加わっているかのよう。今までは最後尾、もしくはそんな競争からは途中でドロップアウトしたハグレ者にすぎなかったのだが。
心地よい高揚感と自分の人生で始めって会ったタイプの人間たちとの触れ合いの中で困った感情だ。決して悪い気持ちではないけれども、余計に自分が惨めに見え