戦略的モラトリアム【大学生活編】(34)
大学3年の晩秋
ボクは大学のある駅から30分の見知らぬ街にいた。
朝から空っ風が頬を撫でる。
路肩をトボトボと歩きながら小さな建物の中に入っていく。
知的障碍者授産施設
そう、教職課程ではこの実習体験が必修になっており、自分はまさに今その実習中なのである。そう、これは作業なのか、それとも貴重な体験なのかまだ自分には分からないが、明らかに乗り気ではなかった。しかし、自分は大学に言われるまま、ここにいる。場違いでとても失礼なことは分かっているが、福祉の心などといわれるものは自