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【一般】健康保険療養費の不正請求:新聞記事「施術の現場より10」

 近年、新聞や雑誌、さらにはテレビでの報道で接(整)骨院の不正請求が問題視されている。健康保険療養費を不正に所得した、もしくはしているということである。不正請求は絶対悪だが、それは業界や当事者の問題であり患者や一般の方はどう考えているのだろうか。多くの人は自分には関係ないと考えるだろう。むしろ、保険が適用されないと高くつくので上手くやってほしいという人は多いと思う。支払う金額を考えれば、そうしてやりたいのはやまやまだが、それは規定違反となり、ペナルティーもあるためダメとしか言えない。

 有資格者であろうが人であり、それが相当数いれば不正する輩も存在する。東北厚生局のホームページで不正請求による行政処分が行われた案件を確認できる。直近5年で整骨院が処分を受けているが、歯科医師や薬局もやはり処分されている。記憶に新しいところでは、2020年10月に三重大医学部附属病院で准教授が約2200件のカルテを改ざんし、2800万円を不正請求していたという案件もある。医師や薬剤師、そして柔道整復師と健康保険を利用して運営されている施術所は対岸の火事ではない。それは患者も同じである。不正請求には2種類あり、患者が知らない状況で不正請求されていた場合と患者が共謀した場合である。前述した、施術費用を安くしてほしいという患者と、捻挫にしておいてあげるという関係はまさに共謀である。15年に東京で実際にあったことで、柔道整復師(院長)が暴力団組長と共謀し療養費1億円を不正に所得した事件がまさにそれである。患者が知っていたならば共謀であり、知らなければ詐欺に加担させられていたことになる。どちらにしても不幸なのだ。

 手術後のリハビリを行った患者が回復する。当然、健康保険によるリハビリ施術は終了になるが、肩こりやのマッサージをすればそれは不正請求になる。理学療法士は開業できないがリハビリを通して間接的に不正請求になる。レシートではなく領収書を確認(貰って)ほしいと前に書いたのはこういう理由があったからだ。必要なのは施術する側のルールの再確認と遵守であり、患者の意識改革である。高齢化により保険財政は逼迫している。このまま業界の不正が続けば医療業界全体の不信になりかねない。少し古い数値(統計)になるが、13年から毎年増加し17年には整形外科が約1兆円、内科は4兆円に保険療養費が到達している。柔道整復(接骨院)療養費は10年に約4000億円だったが、17年には3400億円に減少している。これについては機会があれば別に書きたいと思う。


後記:保険療養費の不正請求は、柔整師の代名詞のように言われていますが、他の資格者でも行われています。療養費における医科の割合が大きいことから、医師による不正請求の方が、柔整のそれよりも金額が大きい傾向にあります。しかし、金額の大小の問題ではなく行為に対し批判したいです。医師は大丈夫、柔整は怪しいというのが世間や保険者の感覚ですが、人がしていることなので。文字の関係で分かりづらい箇所を補足しますと、理学療法士の不正のところです。

オペ後のリハビリで総合病院にリハ通院していた患者が、機能評価の結果治癒(完治)となりリハ通院が不必要になった。しかしその日、担当の理学療法士から、「他に気になるところはないか ?」と尋ねられた患者は「しいて言えば肩こりです」と回答。それに対し担当の理学療法士は「これまで通り週1でリハ通院してくれればマッサージしてあげるよ」と話し、患者はその後も肩こりのマッサージで数回通院し、リハ計画書の月数を通院した。領収書の内容は変更されている点はなく、このことから肩こりマッサージをした数回も手術後のリハで算定していた事となる。

 これぞ不正請求の典型例って感じですね。これが医師の病院側の指示であれば病院を挙げての不正請求になりますし、理学療法士の独断であれば、それこそです。理学療法士絡みはこれだけではないですが・・・別にしますか。

 最近は、肩こりや慰安マッサージに保険が適用されないことを知っている患者も増えてきているように感じます。柔整の私の私見であると前提しておきますが、柔整が患者を騙し不正に巻き込む一方的な不正請求から、患者が安くしてほしいという願望と、売り上げが欲しいという柔整の不正win-win関係による双方型になっているように思います。

 健康保険の使い方を知らないから教えるは当たり前ですが、いつまでも患者は無知などと思っていると痛い目にあうと思います。それは保険療養費だけではなくケガか疾患に対してもです。SNSやネットがありますよ。

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