見出し画像

【一般】鍼灸師の現況:新聞記事「施術の現場より3」

 医療(医行為)は医師のみが行うことが可能というのが大前提だが、他の資格はそれぞれの範囲において医療の一部限定解除を受けて(医業類似行為)施術している。そのため、各資格は万能ではなくそれぞれに決められた業務範囲が存在し、それを分かりやすく体現したのが健康保険の適用による施術である。つまり、おのおのの資格において医科学に基づき効果を認め、かつ安全に受けることができる施術を(限定的解除を受けた)医療といえるだろう。

 一般的に鍼灸師と表現されることがほとんどだが、鍼師・灸師が本来の資格。鍼を刺す行為は医行為で、限定的解除を受けた国家資格が鍼師・灸師である。東洋医学の代表格でもある鍼灸施術は、経絡(ツボと同義)という西洋医学にはない独特の施術ポイントを有し、そこに鍼の刺激や灸による温熱刺激を用いて様々な疾患の改善を目指す施術である。前述した効果があるものに対し、保険の適用を認め医療として提供するのが資格と考えれば鍼師・灸師の業務範囲はまぎれもなく6大疾患むで、それは神経痛、腰痛症、五十肩、リウマチ、頚肩腕症、頸椎捻挫(ムチウチ)の後遺症である。

 6大疾患し慢性疾患であり、それに対する専門性を認めている。近年はスポーツトレーナーとして、スポーツ現場に多く関わっており日本体育協会公認アスレチックトレーナーの医療系国家資格保有は鍼灸師が一番多い。スポーツと外傷(ケガ)は隣合せで、外傷に対し鍼による施術を行っている有資格者も多いが6大疾患に含まれていない。鍼灸養成校においても、外傷は医師か柔道整復師へ紹介するよう指導している。6大疾患以外にも、近年は美容鍼の普及やさまざまな内科的疾患の治癒に貢献している鍼師・灸師も全国的にはおり、古来より「逆子の灸」といって逆子を灸で戻すことも可能とされているがあくまでも自己責任の範疇となっている。

 施術費用において、健康保険が適用されているが、無条件には認められていないのが現行法である。6大疾患に対し、健康保険による施術を受けるには医師の同意(書)が必要。医師との連携が取れている鍼灸院などは問題ないが、同意を得られずに自費による施術を受けているケースが多い。


後記:鍼灸師は、私自身も仕事で多少接点もあるため書くことも他の資格に比べ多いのですが、新聞記事(1000文字)という枠の中では最低限抑えておくべきポイントを書きました。鍼灸師がスポーツの現場に入っている事自体は別にどっちでもいいのですが、他者と自身の力量の違いを考えれず『鍼でもケガを治せる』と思っている一部の危険な有資格者がいることも事実です。なので敢えて6大疾患と強調させて頂きました。実際に、当院に来院する患者様の中にもケガで鍼施術を受けていたと問診時に記入される方は多いです。AT(アスレティックトレーナー)の鍼灸保有率が上位なのも影響していると思います。どの資格にも言える事ですが、『業』以外の施術は「効果がある」と術者が言っているものであり、利用する際は見極めと確認が必要であることは知っておいて頂きたいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?