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神と崇められしポケモンのまとめ

・『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』発表記念に書いた記事となります。

・『ダイヤモンド・パール』の冒険の舞台となるシンオウ地方には、神と称される伝説のポケモンがたくさんいるということで、ポケットモンスターシリーズ(原作ゲーム)の世界で、神のように崇められているポケモンについて、図鑑説明を中心にまとめてみました。

・ポケモン図鑑において「神」と称されているポケモン、あるいは直接称されていなくとも、「化身」「神の遣い」「神話」「まつられる」「崇められる」などの記述のあるポケモンを対象としています。

・図鑑説明を引用しつつ、備考欄を設けてそのポケモンについての補足を行っています。後半の伝説のポケモンなどに関しては、備考欄を2つにわけ、備考1で解説、備考2で憶測を交えた雑感を述べる形⋯⋯なんかそのポケモンに関係するからと言って、メガシンカとかゲンシカイキとかZワザとか、そっち方面の設定の掘り下げに注力してしまった部分もありますが⋯⋯。

・サムネイルは2021年4月発売の『New ポケモンスナップ』の画像を用いる予定でしたが、ゲーム発売前に記事を作り終えてしまったので、過去に撮った『ソード・シールド』(の『ソード』のほうの)画像をてきとうに貼り付けています。



一般ポケモン

No.038 キュウコン(アローラのすがた) きつねポケモン──神の化身

 アローラ地方で神聖な山として奉られている雪山に住むキュウコンは、人々から神の使いと畏怖されてきた。
(『サン・ムーン』公式サイト)
穏やかな 気質。 キュウコンの リージョンフォームと わかるまでは 神の化身と 敬われていた。
(『ムーン』)
キュウコンの 棲む 山には 神が 訪れると いわれ 昔は 立ち入ることを 禁じられていた。
(『ウルトラムーン』)
万年雪が 覆う 山に 住み 神の 化身と 崇められている。 吹雪を まとって 現れる。
(『Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』)
雪に 閉ざされた 神様の いる 山で 暮らしていたため 昔は 神の化身と 敬われていた。
(『ソード』)

(備考)

 ピカブイの図鑑だけ「崇められている」と現在形だが、時系列の問題だろうか(そもそもピカブイはどの時期だろう? まだ幼いマツリカが登場することからサンムーン以前なのは確実として、ロケット団が倒されなかった世界線の赤緑の数年後?)。だとするとキュウコンのリージョンフォームだと判明したのはつい最近(ピカブイとサンムーンの間)なんじゃないか⋯⋯と考えたが、他の図鑑には「昔は」とあるので穿ち過ぎか。

 「神聖な山として奉られている雪山」「万年雪が 覆う 山」「雪に 閉ざされた 神様の いる 山」とは、アローラ地方ウラウラ島にあるラナキラマウンテンのことだと思われる。ゲームでは野生のキュウコンはどこにも登場しないが、進化前のロコンが、ラナキラマウンテンに生息している(『サン』『ウルトラサン』限定)。ラナキラマウンテンは、太陽あるいは月に最も近い聖地とされており、かつては守り神であるカプ達がその場所を守るべく麓(カプの村)に姿を現していた。そのことから、ラナキラマウンテンに訪れると言われる神とは、太陽の使者とされるソルガレオあるいは月の使者とされるルナアーラのことなのかもしれない。

 進化前であるロコンは、かつて人間と共にアローラ地方に移り住んできた後に、他のポケモンの生活圏を避け、雪山で暮らすうちにリージョンフォームとして姿を変化させたと言われている。人に連れられてやってきたポケモンが、野生化し、人知れず姿を変え、進化し、後に発見した人々から神と認識されるという流れは、中々に滑稽である。

 原種のキュウコンも神秘的なポケモンとされており、「9人の聖者が合体して生まれた」「1000年の寿命を持つ」「ふざけて尻尾をつかむなどしてキュウコンを恨ませると子孫を含め1000年祟る」などの言い伝えがある。


 
No.051 ダグトリオ(アローラのすがた) もぐらポケモン──大地の女神達の化身

アローラ地方においては、大地の神様の化身としてあがめられ、とても大事にされているポケモン。そのため、穴から顔を出したダグトリオに出くわすと、アローラの人々は地面に膝をつき、深い礼を捧げる。
(『サン・ムーン』公式サイト)
大地の 女神たちの 化身と 考えられ アローラ地方では とても 大切に されている。
(『ムーン』)

(備考)

 「抜け落ちたヒゲを持ち帰ると不幸になる」「多くのダグトリオが姿を現す日は火山が噴火する」などの言い伝えがある。

 大地の化身その1。


No.079 ヤドン まぬけポケモン──ヒワダの雨降らし

あくびを すると 雨が 降る という 言い伝え から ヤドンを まつっている 地域が あるという。
(『ウルトラサン』)

(備考)

 ヤドンをまつっている地域とは、「ヤドンのいど」があるジョウト地方のヒワダタウンのことだろう。そこでは、400年前に日照りが発生したとき、ヤドンがあくびで雨を降らし、皆を救ったと記録されている。ヤドンはあまごいを覚えるため(第4世代以降はレベル技で習得可)、あながち空言ではなさそうである。


No.124 ルージュラ ひとがたポケモン──氷の女王

ガラルの とある 地域では 氷の 女王と 呼んで ルージュラを 恐れ崇めていた。
(『ソード』)

(備考)

 ガラル地方において、ルージュラが野生で登場するのは、カンムリ雪原のみ。
 
 同地方には、「王」と称されるポケモンが多く存在する。氷の女王ルージュラ、空の王者アーマーガア、剣の王ザシアン、盾の王ザマゼンタ、大昔のカンムリ雪原のポケモン達の王者ブリザポスまたはレイスポス、そして豊穣の王にしてガラル全土を統べていた伝説の王バドレックス。


No.130 ギャラドス きょうあくポケモン──破壊の神

 破壊光線を はきまくり あたり 一面を 焼き尽くす。 破壊の神と 呼ぶ 地方もある。
(『ウルトラサン』)

(備考)

 歴代の図鑑説明文には、「ひとたび 暴れ出すと 大きな 都市が 壊滅する ときもある」「大昔 町を 焼き尽くした 記録がある」「のやまの すべてを やきつくす」「争いの 起こった 村を 焼きつくした」「ある街は 一晩の うちに 焼き尽くされ 跡形も なくなった」とあり、あらゆる土地を破壊していることが窺える。そのためか、ギャラドスが現れる場所は破壊される定めにあると信じる人もいるようである。

 ジョウト地方に存在するいかりのみずうみにはギャラドスこ(湖)という別名があり、大昔(釣り名人の爺さんの爺さんのそのまた爺さんの時代の話らしい)ギャラドスが暴れた後の穴に雨水が溜まってできたと語られている。

 ところで、ギャラドスと同じく「破壊の神」と称された「人間」が、ポケモン世界に存在している。『X・Y』に登場する、3000年前のカロス地方の王・AZである。彼は戦争に使用され、失った自らのポケモン・フラエッテを、「命を与えるキカイ」によって蘇らせ、更にはその機械を最終兵器に変えて、戦争を一瞬で終わらせた。
 劇中では、彼の弟の血を引くフレア団のボス・フラダリが、かつてのAZと同じく最終兵器を造り、世界の一新を目論んだのだが、そんな彼の所持するポケモンの内、切り札と呼べる存在がギャラドスである。
 戦争を終わらせたAZ、争いなき世界を創りたかったフラダリ、争いの場を焼き尽くすギャラドス。


No.148 ハクリュー ドラゴンポケモン──天候を司る者

天候を 司る 者として 太古から 農業を 営む 人々に 崇められてきた。
(『ムーン』)
天候を 操ると 信じられ ハクリューの 棲む 湖には お供え物が 絶えない。
(『ウルトラサン』)

(備考)

 年明けにハクリューが空を飛ぶ姿を見ることができると一年健康で居られると言われている。

 豊穣神その1。


No.149 カイリュー ドラゴンポケモン──海の化身

すがたを みたひとは すくないが じつざいする うみのけしん。ちのうも にんげんに ひってき するらしい。
(『青』『リーフグリーン』)
荒れ狂う 海も ものともせずに 飛んでいく。 その姿を 見かけた 船長は 海の化身と 呼んだ。
(『ウルトラサン』)
海の 化身と 呼ばれる。 カイリュー型の 彫像を 舳先に 付ける 船も 多い。
(『シールド』)

(備考)

 ハクリューの進化形だが、進化前と進化後で、別の地域で別種の神として扱われているのが興味深い。この2匹が進化関係にあると判明したのは、後のことなのだろう(外見からも判断しづらいし)。
 因みに、図鑑説明でそれぞれの生息地を確認すると、ミニリュウは「はげしく ながれおちる たき」「滝つぼなど 流れの 激しい 水辺」、ハクリューは「きれいな 海や 湖」、カイリューは「広い 海の どこか」「カイリューだけが あつまって くらす しま」とある。成長、進化の過程で海へ拠点を移すのだろうか。

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(『ポケットモンスターカードゲーム 第4弾 拡張パック「ロケット団」』収録)

 普段は穏やかな性格で、海で溺れた人やポケモンを救う、難破船を導くなどの善良な逸話が多い一方で、このように「破壊の神の化身」とも称されており(テキストの出典はアスペクト社『ポケットモンスター図鑑』?)、その逆鱗に触れると全てを壊し尽くすまでおさまらないといった一面を併せ持つ。ギャラドスとのダブル破壊神か。

 ジョウト地方・フスベシティの地下に広がるりゅうのあなには、かつてそこに存在していたドラゴンポケモンを祀る祠が造られている。りゅうのあなの水辺にミニリュウやハクリューが生息していることや、同地でフスベシティの長老が主人公にミニリュウを授けることからも、祀られているドラゴンポケモンとは、ミニリュウ系統のいずれかである可能性が考えられる(第2世代当時、ドラゴンタイプのポケモンは他にキングドラしかおらず、キングドラやその進化前のポケモンはりゅうのあなに生息していない)。

 海の化身(神様)その1。


No.163 ホーホー ふくろうポケモン──知恵の神様

正確に 時を 告げることから 世界の ことわりを わきまえた 知恵の神様 とする 国もある。
(『プラチナ』『ブラック・ホワイト』『ブラック2・ホワイト2』)
毎日 決まった 時間に 鳴く。 時を告げる 神の 使い として 昔の人は 大切に していた。
(『ウルトラムーン』)

(備考)

 知恵(知識)の神様としてはユクシーが、時にまつわる神様としてはセレビィやディアルガが、それぞれ存在している。中でもセレビィとは同世代出身の間柄で、セレビィを祀った祠のあるジョウト地方のウバメの森にはホーホーも生息していることから、何らかの関わりがあるのかもしれない。

 進化後のヨルノズクは、闇夜の帝王といった異名を持つ。格上げなのか格下げなのか。


No.178 ネイティオ せいれいポケモン──神様が使わせたポケモン

1日中 太陽を 見つめて 動かない。 未来を 見通す 力を 持つと 信じられ 聖なる ポケモンとして 祭る 人も いる。
(『サファイア』『アルファサファイア』)
みらいを よちする ふしぎな ちからを もつ。かみさまが つかわせた ポケモンだと むかしから しんじている ひとびとが がいこくには いる。
(『エメラルド』)

(備考)

 「がいこく」という記述についてだが、『銀』版の図鑑では「みぎめは みらいを ひだりめは かこを みていると みなみアメリカで つたえられている」とある。外国=南米? 実在の地名が登場しているが、これは当時のポケモン世界が今よりもまだ現実世界から独立していなかったがゆえのことだと考えられる。南アメリカは『赤・緑』のミュウの図鑑説明や、グレンタウンのポケモンやしきに残された日記からも確認でき、他には『赤・緑』の図鑑説明で中国(パラセクト)と東京(ポニータ)、『金・銀』の図鑑説明で太平洋(ニョロボン)、『ルビー・サファイア』の図鑑説明でエベレスト(デリバード)が存在していることが窺える。太平洋に関しては『X・Y』でもテキストが流用されていたので、長らくあの世界には太平洋が実在していたことになる。


No.229 ヘルガー ダークポケモン──死神が呼ぶ声

ヘルガーの 不気味な 遠ぼえは 地獄から 死神が 呼ぶ 声と 昔の 人は 想像していた。
(『ダイヤモンド・パール』『X』)
不気味な 遠吠えが 特徴。 昔の 人は 地獄 からの 使いと 考え 恐れていた。
(『ウルトラムーン』)

(備考)

 死その1。


No.275 ダーテング よこしまポケモン──森の神様

こがらしに のって あらわれると いわれている。むかしから もりの かみさまと おそれられ ひとの おとずれない みつりんで くらす。
(『エメラルド』)
森の 神様と 恐れられていた ポケモン。 相手の 考えを 読み 先回りする 能力を 持つ。
(『ファイアレッド・リーフグリーン』『X』『ソード』)

(備考)

 森の神様その1。


No.437 ドータクン どうたくポケモン──豊作の神様

あまぐもを よび あめを ふらせる わざを もつ。ほうさくの かみさまと むかしの ひとびとは まつっていた。
(『パール』)
別世界への 穴を 開けて そこから 雨を 降らしていた。そのため 豊作の神 とされる。
(『プラチナ』『ブラック・ホワイト』)
雨雲を 呼べる ポケモンとして 大昔から まつられていた。ときどき 地面に 埋められている。
(『ブラック2・ホワイト2』『X』『オメガルビー』)
雨雲を呼ぶ 神と いわれる。 怒らせると 鐘の音の ような 不気味な 声で 威嚇する。
(『ソード』)

(備考)

 『ダイヤモンド』の図鑑説明では、2000年以上眠っていた個体がいるようである。祀られていた「むかし」「大昔」とはその辺りの年代なのかもしれない。

 別世界への穴⋯⋯同世界の別の地域に繋げている(フーパみたいに?)のではなく、本当に別世界に穴を開けているのであれば、『サン・ムーン』にて登場したウルトラホールやウルトラスペースとの関連性が気になるところ。

 豊穣神その2。


No.528 ココロモリ きゅうあいポケモン──幸福を呼ぶシンボル

 鼻の 形が おめでたいと 幸福を 呼ぶ シンボルとして 祭る 地域も あるという。
(『シールド』)

(備考)

 進化前のコロモリには、鼻をくっつけた体にハート形の跡が残るといいことが起こるといった言い伝えがある。


No.561 シンボラー とりもどきポケモン──古代都市の守り神

古代都市の 守り神だった。 縄張りに 侵入した 敵を サイコパワーで 攻撃する。
(『ホワイト』)
古代都市の 守り神。いつも 同じルートを 巡回し 侵入者を 見張っていた。
(『ブラック2・ホワイト2』『Y』『アルファサファイア』)
サイコパワーで 空を 飛ぶ。 古代都市の 守り神 とも その遣いとも いわれている。
(『ソード』)

(備考)

 初登場となるイッシュ地方では、古代の城を囲むリゾートデザートに生息している。古代の城は大昔、英雄がドラゴンポケモンと共に建国した城の跡地と言われていることから、シンボラーもイッシュ建国時代に強く関わっている可能性がある。


No.608 ランプラー ランプポケモン──死神の使い

誰かが 死ぬ 直前に 現れる ことから 死神の使い として 恐れられている。
(『ソード』)

(備考)

 人が死ぬ直前に現れるのは、死者の魂を吸い取るため。

 死その2。


No.637 ウルガモス たいようポケモン──太陽の化身

太陽の 化身と される。寒さが 厳しい 冬に 現われ 震える ポケモンたちを 救った。
(『ブラック2・ホワイト2』)
炎の 鱗粉を 振りまきながら 飛びまわる。 古代の 人々は 太陽の怒りと 呼び 恐れた。
(『ウルトラサン』)
燃えさかる 炎の 繭から 生まれる。 古代の 壁画に 炎の神として 描かれている。
(『シールド』)

(備考)

 『シールド』の図鑑説明での古代の壁画とは、イッシュ地方の古代の城の、シンボルエンカウントでウルガモスがいた場所の背後にある壁画を指していると思われる。

 進化前のメラルバは、太陽に巣があり、太陽から落っこちてきたと古くから信じられてきた。

 太陽の化身(使者)その1。


No.858 ブリムオン せいじゃくポケモン──荒ぶる女神

触手から 稲妻の ような ビームを 降り注がせる。 荒ぶる 女神 とも 呼ばれる。
(キョダイマックスのすがた、『シールド』)

(備考)

 女

 通常時の姿における異名は、「森の魔女」。



伝説・幻のポケモン

No.249 ルギア せんすいポケモン──海の守り神

海の神様と 伝えられる ポケモン。 嵐の夜 姿を 見たという 話が 伝えられる。
(『銀』『ファイアレッド』『ソウルシルバー』『Y』)

(備考)

 ジョウト地方・うずまきじまに古くから伝わる海の守り神。嵐になると姿を見せるとされる。荒れ狂う海を鎮めるほどの凄まじい力を持ち、羽ばたくと40日嵐が続くと言われている。

 『ハートゴールド・ソウルシルバー』で語られる話によると、うずまきじまは元々は大きなひとつの島だったが、2つの土地の人々が島を挟んで戦争を繰り返しており、そのことに怒ったルギアは、雷で島を4つに引き裂き、滝壺の奥に身を隠したという。ルギアは人間とポケモンとの信頼を取り戻すに相応しい人物を待ち望んでいると考えられ、招き寄せるためには、正しく清らかな心でポケモンと触れ合える者を必要とする。

 また、『クリスタル』では、“大きな銀色のポケモン”が、エンジュシティに建っていたカネのとう(現やけたとう)で羽を休めていたことが語られている。しかし、150年前、塔が火事で焼け落ちてからは姿を現さなくなったらしい。

(備考2)

 別の図鑑説明では、ルギアが海の底で時を過ごすのは、強過ぎる力を持つためとある。雷でうずまきじまを裂いたことは、ルギアにとっても本意ではなかったのか、やり過ぎだったのかもしれない。

 カネのとうが焼けた原因もまた、雷とされているが⋯⋯?

 海の化身(神様)その2。


No.250 ホウオウ にじいろポケモン──空の守り神

なないろの みごとな つばさで せかいの そらを とびつづけると しんわに つたえられる ポケモン。
(『金』『リーフグリーン』『ハートゴールド』)

(備考)

 ジョウト地方・エンジュシティに古くから伝わる空の守り神。「飛んだ後に虹が出来る」「虹のふもとに住む」「見たものは永遠の幸せが約束される」などの言い伝えがある。

 エンジュシティに建つスズのとうに舞い降りるとされている。『ハートゴールド・ソウルシルバー』では、スズのとうはホウオウが身を休めるための場所として建設されたが、やがて二度と降りて来なくなり、幾人もの人々が呼び戻そうと塔に登るも、その誰もが出会えなかったことが語られている。ルギアと同様、人間とポケモンとの信頼を取り戻すに相応しい人物を待ち望んでいると考えられ、招き寄せるためには、正しく清らかな心でポケモンと触れ合える者を必要とする。

 また、150年前、カネのとうが焼けた事件において、逃げ遅れ、命を落とした当時名もなきポケモン達を、ライコウ・エンテイ・スイクンとして蘇らせた伝説を持つ。ポケモン達を蘇らせたとき、町の人々はホウオウの力を恐れ、暴力で押さえつけようとしたところ、ホウオウは彼らの行いに悲しみを覚え、自ら土地を去ったといった話が伝わっている。

 更に、1500年以上前に造られたとされるジョウト地方のアルフのいせきに、ホウオウを描いた壁画が存在する。

(備考2)

 『クリスタル』において、スズのとうとカネのとうは、700年前にポケモンと人との友情と希望を願い、共に造られたことが語られている。前者はポケモンを休める塔、後者はポケモンを起こす塔と言われていたようである。

 本編において、役回りが共通するルギアとの直接的な接点は伺えないが、海の底で眠り続けるルギアに対する、世界の空を飛び続けるホウオウとして、対比関係にあると見ることができる。また、「2つの塔に2匹のポケモン」とも称されているため、スズのとうの主がホウオウで、カネのとうの(元)主がルギアといった、並び立つ存在だったのかもしれない。


No.251 セレビィ ときわたりポケモン──森の神様

もりのかみさま として まつられる。きれいな もりが あるところ そこに セレビィは あらわれる。
(『クリスタル』)
時を 超える 力を もつ。 森の 神様として さまざまな 時代に 記録が 残されている。
(『ソード』)

(備考)

 未来から時を渡ってやってきたポケモン。平和な時代にのみ姿を見せると言われており、セレビィが姿を現す限り明るい未来が待っていると考えられている。また、未来から持ってきたタマゴを、森の奥に残すとされる。

 ジョウト地方のウバメのもり(森)には、セレビィを祀る祠が存在する。そのほこらにイタズラをすると神隠しに遭うと伝わっている。

(備考2)

 森の神様その2。


No.382 カイオーガ かいていポケモン──海の化身

おおあめと おおなみで だいちを おおい うみを ひろげた ポケモンと しんわで かたられている。グラードンと しとうの すえ ねむりに ついた。
(『サファイア』)
大雨と 大津波で 海を 広げた 神話の ポケモン。グラードンと 激しく 戦った。
(『ハートゴールド・ソウルシルバー』『X』)
海の 化身 と 伝わる ポケモン。自然のエネルギーを 求めて グラードンと 争いを 繰り返したという 伝説が ある。
(『アルファサファイア』)

(備考)

 海底洞窟(海溝の底)に眠っていた超古代ポケモンのひとつ。ホウエン地方に伝わる国創り神話では、グラードンとカイオーガが長年争ったことで、火山が噴火し大波が荒れ狂い、天変地異が続いた末に陸と海が創られたと語られている。そんな両者の争いを鎮めたとされる、べにいろのたま・あいいろのたまが、同地方のおくりびやまに共に祀られている。

 『オメガルビー・アルファサファイア』では、自然界に溢れるエネルギーを体内に吸収することで、グラードン共々ゲンシカイキと呼ばれる進化を果たす。数千年前、その姿でホウエン地方の地上に満ち溢れる自然のエネルギーをめぐり争っていた両者は、世界中に異常気象を起こし、陸と海を広げ、人々の大いなる脅威となっていた。その力は星の生命全てを死に追いやるほどとされ、同地方・ムロタウンのいしのどうくつには、その脅威を表現した壁画が刻まれている他、おくりびやまにも両者がゲンシの姿で描かれている。

 その他、カイオーガが降らせた大雨が、旱魃に苦しむ人々を救ったという話もある。

(備考2)

 ゲンシカイキとは、『オメガルビー・アルファサファイア』(と『サン・ムーン』と『ウルトラサン・ウルトラムーン』)において、グラードンとカイオーガのみが行える、真の力の覚醒。上述の通り、自然のエネルギーによって行うことができ、数千年前のホウエン地方にはそのエネルギーが満ち溢れていた。現代では同地方・ルネシティのめざめのほこらに、同様のエネルギーが溜まっている。
 ゲンシカイキという名称は、後世の人々が後天的に名付けたとのこと。グラードン、カイオーガが劇中において数千年前当時の力を取り戻した(=原始に回帰した)ことに因んでいると考えられる。

 グラードンとカイオーガにまつわるアイテムである、べにいろのたまとあいいろのたまは、シリーズによって役割が異なっている。
 『ルビー・サファイア』では、べにいろのたまはカイオーガを目覚めさせ(劇中において目覚めさせられたカイオーガは、己の力を制御できていないようだと言われるほど荒れ狂った)、グラードンを鎮めるアイテムとなる。あいいろのたまはグラードンを目覚めさせ(同様に荒れ狂った)、カイオーガを鎮めるアイテムとなる。
 『ハートゴールド・ソウルシルバー』では、べにいろのたまはグラードンを目覚めさせるアイテムとなる。あいいろのたまはカイオーガを目覚めさせるアイテムとなる。
 『オメガルビー・アルファサファイア』では、べにいろのたまは、グラードンを目覚めさせ(ゲンシカイキさせ)、カイオーガを鎮めるアイテムとなる。あいいろのたまは、カイオーガを目覚めさせ(ゲンシカイキさせ)、グラードンを鎮めるアイテムとなる。ゲンシカイキするのは自然のエネルギーが玉に溜まっている、封印されているからだろうか⋯⋯?

 海の化身(神様)その3。化身=神とするなら、奇しくも前世代のパッケージを飾るルギアと一致することになる。キャラが被っている。そもそも、空と海で対となるジョウトのパッケージ伝説と、陸と海(と空)で対となるホウエンのパッケージ伝説とで、重なりが避けられないのだが。


No.383 グラードン たいりくポケモン──大地の化身

だいちを もりあげて たいりくを ひろげた ポケモンと しんわで かたり つがれている。カイオーガと しとうの すえ ねむりに ついた。
(『ルビー』)
りくちを つくったとして しんわに とうじょう。ちていの マグマの なかで ねむっていて おきると かざんが ふんかすると いわれている。
(『エメラルド』)
カイオーガと 死闘の末 長い 眠りに ついた。大地の 化身と 言われる 伝説の ポケモン。
(『ファイアレッド・リーフグリーン』『Y』)
大地の 化身 と 伝わる ポケモン。自然のエネルギーを 求めて カイオーガと 争いを 繰り返したという 伝説が ある。
(『オメガルビー』)

(備考)

 海底洞窟(地下マグマ)に眠っていた超古代ポケモンのひとつ。神話について、及びゲンシカイキについては、カイオーガの項に同じ。

 グラードンが発した光と熱が、水を蒸発させ、洪水に苦しむ人々を救ったという話もある。

(備考2)

 カイオーガとは、陸と海、日照りと大雨といった点で対となっており、神話における対立関係でもある。

 『GBA ポケモン ルビー&サファイア ミュージック・スーパーコンプリート』付属のブックレットにおいて、ディレクターの増田順一氏は、「(グラードンとカイオーガは)実際には戦っていません。舞台となる星は地殻変動で出来たのですが、人々によってあの2匹が作った、と語り継がれているのです」と発言している。一方で、『オメガルビー・アルファサファイア』劇中では、両者が戦っていたことが史実であるように語られている。これはリメイク時に没になった裏設定と見るべきか、世界線の違いと見るべきか、あるいは⋯⋯?
(世界線の違いについては、劇中にて流星の民の末裔・ヒガナが仄めかしている。彼女の話によると、3000年前にカロス地方で戦争が発生し、最終兵器が開発され、メガシンカが存在する世界のホウエン地方と、戦争が起こらず、最終兵器が開発されず、メガシンカが存在しない世界のホウエン地方が別々に存在しているようである。前者は『オメガルビー・アルファサファイア』の世界線、後者は『ルビー・サファイア』の世界線を指していると考えられる。双方のゲーム世界を肯定するための限りなくメタに近い発言?)

 カイオーガが直接登場しない『ルビー』『オメガルビー』においては、海底洞窟を住処として長い間眠っていたが、同じく海底洞窟を住処とするカイオーガが登場する『エメラルド』では、デコボコ山道(煙突山の道中)の中腹に眠っている。
 ⋯⋯グラードンが海底洞窟に眠っている世界線ではカイオーガはどこで眠っているのだろうか?

 大地の化身その2。


No.384 レックウザ てんくうポケモン──大空の化身

(備考)

 グラードン、カイオーガに続く第3の超古代ポケモン。大空の化身、大空を支配するポケモンと称され、何億年もの間、オゾン層を飛び続ける。神話では、グラードンとカイオーガの争いを治めたと語られている。

 『オメガルビー・アルファサファイア』では、レックウザをホウエンの守り神として信奉し、レックウザにまつわる伝承を次世代に受け継ぐ使命を負う流星の民が存在する。
 彼らの伝承によると、レックウザは2000年前、宇宙から飛来し、ホウエン地方・流星の滝に直撃した隕石に反応するように地上に舞い降り、当時争いを繰り返していたグラードンとカイオーガを圧倒し、世に平穏を取り戻したという。
 また、1000年前には、後にルネシティとなる地に巨大隕石が直撃し、ひび割れた大地から自然のエネルギーが溢れ出たことで、再びグラードンとカイオーガが目覚め争い出す。このとき、人々がレックウザの再来を祈ると、落ちた隕石がキーストーンとなり、舞い降りたレックウザが後にメガシンカと名付けられる進化を遂げ、2匹の力(ゲンシカイキ)を奪い、大地と海の彼方に追いやったと伝わっている。
 後に流星の民は、レックウザとキーストーンを祀り、天空に棲むレックウザに近づくため、空の柱を建築した。空の柱には当時の出来事を描いた絵画が刻まれている他、屋上にはレックウザを呼び寄せるための龍召の祭壇が用意されている。

 『ハートゴールド・ソウルシルバー』では、大昔にホウエン地方の人々が造ったと考えられるうずもれのとうが、ジョウト地方・タンバシティの先に遺跡として存在する。うずもれのとうは、陸と海と空を結び付ける形となっており、それぞれグラードン、カイオーガ、レックウザを表現している。

(備考2)

 メガシンカについて。グラードンとカイオーガのみが行えるゲンシカイキと、レックウザを始めとした一部のポケモンが行えるメガシンカは、用いられるエネルギーが大きく異なるとされている。自然のエネルギーを用いるゲンシカイキと異なり、メガシンカは、ポケモンの持つメガストーンと、トレーナーの持つキーストーン(メガリングやメガバングルなどといった形で、トレーナーはキーストーンを装着する)が共鳴することで行われる。隕石を研究しているソライシ博士は、メガストーンに秘められたポケモンの生体エネルギーと、キーストーンに秘められた人間の生体エネルギーを掛け合わせることで莫大なエネルギーが発生すると述べており、メガシンカを研究しているカロス地方のプラターヌ博士は、キーストーンはトレーナーのポケモンへの思いを何かしらの波長に変えると述べている(=多くの人物がメガシンカを「絆」と関連付けている所以?)。簡単に言えば、人間が不要なのがゲンシカイキで、人間が必要なのがメガシンカということになるか。

 その中で、レックウザは、例外的にメガストーンを介することなくメガシンカを行える。それは、レックウザのみが保持するミカド器官と呼ばれる特殊な内臓によって、喰らい続けて体内に蓄積した隕石とレックウザ自身のエネルギーを融合させ、メガストーンと同じ力を生み出しているためである。

 流星の民はレックウザをメガシンカの始祖としているが、カロス地方では、シャラシティのマスタータワーで2つの不思議な石を見つけたトレーナーとルカリオによって行われたメガシンカこそが世界初のものであると考えられている。前者の『オメガルビー・アルファサファイア』と後者の『X・Y』にて設定の齟齬があるように感じるが、これに関しては地域によって伝わっていることが異なると解釈できる(メガストーンを要するメガシンカとそうでないメガシンカといった差別化も可能である)。
 ⋯⋯不可解なのは、『オメガルビー・アルファサファイア』において、ソライシ博士とホウエン地方でメガシンカの研究を行い、その後も情報提供を受けているプラターヌ博士が、時系列を後にする『X・ Y』で、メガシンカはカロスでのみ実例があると発言していることである。最終兵器云々を踏まえても両作は同一世界線上にあるはずだが⋯⋯真実を伏せなければならないほどの忌まわしき出来事でもあったのだろうか。
 メガシンカについては、ゼルネアスの項でまた。


No.480 ユクシー ちしきポケモン──知識の神

知識の神と 呼ばれている。 目を 合わせた 者の 記憶を 消してしまう 力を 持つという。
(『ダイヤモンド』『X』『オメガルビー』)

(備考)

 シンオウ地方のエイチ湖に眠る、精神のシンボルと称される3匹のひとつ。ユクシーが生まれ飛び回ったことで、人々の生活を豊かにし、様々な問題を解決するための知識が生まれたと言われている。一方で、シンオウ神話の『おそろしいしんわ』では、ユクシーの目を見たものは一瞬にして記憶がなくなると伝えられる。

 ユクシー、エムリット、アグノムは、同じタマゴから生まれたと考えられている。この3匹について記したと考えられる『シンオウのしんわ』では、息を止めたまま湖を深く潜り、底から大地を創るための力となる大事なものをとってくると語られている。

 3匹は強く優しい心でシンオウ地方のバランスを保っており、3匹が力を合わせることで、ディアルガもしくはパルキアの1匹の力と釣り合う。カンナギタウンの祠にある壁画には、三角形に並んだ3つの何かとその中央に光る何かが描かれているが、3点がユクシー、エムリット、アグノムで、中央がディアルガもしくはパルキアであると長年言い伝えられてきた。


No.481 エムリット かんじょうポケモン──感情の神

悲しみの 苦しさと 喜びの 尊さを 人々に 教えた。 感情の神と 呼ばれている。
(『ダイヤモンド』『X』『オメガルビー』)

(備考)

 シンオウ地方のシンジ湖に眠る、精神のシンボルと称される3匹のひとつ。エムリットが飛び回ったことで、人々の心に生きるときの喜びや悲しみといった感情が生まれたと言われている。一方で、シンオウ神話の『おそろしいしんわ』では、エムリットに触れたものは3日にして感情がなくなると伝えられる。

 他はユクシーの項に同じ。


No.482 アグノム いしポケモン──意思の神

意思の神と 呼ばれている。 湖の 底で 眠り続け 世界の バランスを とっている。
(『ダイヤモンド』『X』『オメガルビー』)

(備考)

 シンオウ地方のリッシ湖に眠る、精神のシンボルと称される3匹のひとつ。アグノムが飛び回ったことで、人々に何かをするための決意や、あらゆる困難に立ち向かう強い心が生まれたと言われている。一方で、シンオウ神話の『おそろしいしんわ』では、アグノムを傷つけたものは7日にして動けなくなると伝えられる。

 他はユクシーの項に同じ。


No.483 ディアルガ じかんポケモン──時間を司る神

時間を 操る 力を 持つ。シンオウ地方では 神様と 呼ばれ 神話に 登場する。
(『ダイヤモンド』『Y』『アルファサファイア』)

(備考)

 シンオウ地方の神話に登場する伝説のポケモン。ディアルガが生まれたことで時間が動き出し、ディアルガの心臓が動くことで時間は流れていくとされている。

 シンオウ地方始まりの場所とも言われるテンガンざんの頂上にある古代遺跡・やりのはしらにて、こんごうだまを持った者の前に姿を現すと伝えられる。
 また、同地方のハクタイシティでは、ディアルガとパルキアが融合したような姿の像が建てられている。

(備考2)

 『ハートゴールド・ソウルシルバー』の図鑑説明では、時間の流れを自在に操り、過去や未来へ移動することができると明言されている。このことから、時間を生み出したというのは大昔の人々の創作であったとしても、時間に干渉できること自体は事実のようである(セレビィも時渡りできるし)。もっとも、ポケモンの中には、トリックルームのような、時空を歪める技を覚えられるものも多く存在しているので、軽度の時空操作や天候操作くらいならば神話のポケモンでなくとも行えるのかもしれない。


No.484 パルキア くうかんポケモン──空間を司る神

空間を ゆがめる 能力を 持ち シンオウ地方の 神話では 神様として 描かれている。
(『ダイヤモンド』『Y』『アルファサファイア』)
並行して 並ぶ 空間の 狭間に 住むと 言われている。神話に 登場する ポケモン。
(『パール』『X』『オメガルビー』)

(備考)

 シンオウ地方の神話に登場する伝説のポケモン。パルキアが生まれたことで空間が広がり始め、パルキアが呼吸をするたびに空間は安定するとされている。

 シンオウ地方のやりのはしらにて、しらたまを持った者の前に姿を現すと伝えられる。

(備考2)

 ディアルガとは、時間と空間といった点で対となっており、また、アルセウスの分身として生み出された、同胞関係にある。『プラチナ』ではギンガ団ボスのアカギによって2匹同時に呼び出されたが、グラードン・カイオーガなどとは異なり、劇中において対立はしていない。

 シンオウ地方のチャンピオンにして考古学者のシロナは、ディアルガのときのほうこう、パルキアのあくうせつだんに心震わされた大昔の人々が、(カンナギタウンの祠に残っている)壁画を描き、それが多くの人に伝わって神話が生み出されたのではないかといった見解を披露している。


No.486 レジギガス きょだいポケモン──巨人達を従えし王

(備考)

 縄で縛った大陸を引っ張って動かしたという伝説が残されているポケモン。
 
 粘土(岩石)、氷(氷山)、マグマを使ってレジロック、レジアイス、レジスチルを造ったと言われており、その3匹を従える王として、シンオウ地方・キッサキシティにあるキッサキ神殿に祀られている。この3匹が神殿に集結すると目覚め動き出す。
 同様の条件で、イッシュ地方のネジ山や、ホウエン地方の小島の横穴、ガラル地方・カンムリ雪原の巨人の寝床などにも姿を現す。

(備考2)

 キッサキ殿。

 シンオウ神話の『プレートからよみとく
シンオウのはじまり』では、アルセウスが過去に巨人達と戦い、倒した巨人達の力を、宇宙が生まれたときにできた欠片に組み込んでプレートとした、といった内容の文章が読めるのだが、この「巨人達」とは、かつて存在したレジギガスの仲間のことではないかと有志で考察されているのだそうで。レジギガスの分類がきょだいポケモンであることや、レジギガスと同じノーマルタイプのプレートのみが存在しないこと(=レジギガスだけが生き残った?)、『ソード・シールド』のカンムリ雪原にて、レジロック、レジアイス、レジスチルらが巨人と称されていることなどがその根拠として挙げられる。⋯⋯レジギガス以外は巨人と言うほど大きくないが⋯⋯、ダイマックスしていたのか、逆に古代人が小さかったのか、あるいはサイズではなく偉大さを讃えた称号だったのか。

 そして、『ソード・シールド』では、更なる巨人ポケモンとして、レジエレキとレジドラゴが登場した。両者は双子の巨人と称されているが、この内、レジドラゴは公式サイトにて、レジギガスがドラゴンエネルギーの結晶を用いて造った(ただし、結晶が足りず頭部しか造れなかったらしい)伝説が記されている。

 巨人達はいくつかの地方にて、特殊な封印を施され、石像のように眠っており、目覚めさせるためには、それぞれ異なる条件を満たす必要がある。いずれも古代人によって封印されたのだが、その理由として、ホウエン地方のおふれのせきしつに、「わたしたちわ この あなで くらし せいかつ し そして いきて きた」「すべてわ ぽけもんの おかげだ」「だが わたしたちわ あの ぽけもんを とじこめた」「こわかったのだ」と古代文字(点字)で書かれている。また、公式サイトによると、レジエレキは、その能力で古代人を苦しめていたために、彼らによって特殊な器具を施されたといった説があり、レジドラゴは、いずれ全身が完成して国を滅ぼすのではと恐れられ、古代人に封印されたとある。


No.487 ギラティナ はんこつポケモン──破れた世界の王

(備考)

 この世の裏側にあるやぶれたせかいに棲みつき、古代の墓場に姿を現す伝説のポケモン。

 時間、空間に対する反物質を司るとして、ディアルガ、パルキアと共に世界を創ったとされている。しかし、神話では僅かにしかその存在が語られていないようである。

 やぶれたせかいに棲んでいるのは、暴れ者ゆえ追い出されたためとある。やぶれたせかいは、ギラティナの他にポケモンが存在せず、時間は流れず空間も安定しない掟破りの世界であり、表側の世界とは、互いが消えぬよう支え合う関係にあると考えられている。
 やぶれたせかいはシンオウ地方のもどりのどうくつ、おくりのいずみと繋がっている。もどりのどうくつは、命輝くものと命失ったもの、ふたつの世界が混じる場所と記されており、おくりのいずみもまた、あの世と繋がっている場所と言われている。

(備考2)

 『ハートゴールド・ソウルシルバー』では、ディアルガ、パルキアと共にアルセウスによって生み出されたポケモンであると判明している。しかし、シンオウ神話の『はじまりのはなし』や『プレートからよみとくシンオウのはじまり』において、「ふたつのぶんしん」「じかんくうかんの2ひき」などと、ギラティナについては一度も触れられていない。ハクタイシティのポケモン像のプレートには、ディアルガ、パルキアの他にもうひとつのポケモンについての解説文があったらしいことがNPCによって述べられているが、作中ではディアルガとパルキアの解説文しか存在していない。歴史から削除された、ということなのだろうか。

 ギラティナは、やぶれたせかいの他にもどりのどうくつにも姿を現す。ミオシティの図書館で読むことができる『シンオウむかしばなしその1』では、海や川で捕まえ食べたポケモンの骨を綺麗にして水の中に送ると、ポケモンは再び肉体を付けてこの世界に戻ってくるとあり、これは「おくり」のいずみや「もどり」のどうくつと関連していると考えられる。


No.488 クレセリア みかづきポケモン──三日月の化身

飛行するときは ベールのような 羽から 光る 粒子を 出す。三日月の化身と 呼ばれている。
(『ダイヤモンド・パール』『X』『オメガルビー』)
クレセリアの 羽を 持って 寝ると 楽しい 夢が 見られると いう。 三日月の化身と 呼ばれている。
(『ハートゴールド・ソウルシルバー』『Y』『アルファサファイア』)

(備考)

 シンオウ地方の各地を飛び回ると言われているポケモン。
 同地方のミオシティには、昔から人が悪夢にはまり込んで目を覚さなくなる事件が起きており、クレセリアの居住地であるまんげつじまで見つかる「みかづきのはね」があれば目を覚まさせることができるといった言い伝えがある。

(備考2)

 上述の悪夢はあんこくポケモン・ダークライの力によるもので、まんげつじまの東にはダークライの居住地であるしんげつじまが存在している。

 ⋯⋯みかづきポケモンなのにまんげつじまにいるというのが、何とも不可解である。まんげつじまには、三日月の形をした水たまりが見られるが⋯⋯? また、クレセリアの専用技であるみかづきのまいは、中国語では新月舞となる。これじゃあダークライじゃないか、ますます訳が分からない、と言いたいところだが、そもそも三日月は中国語で新月である。だとすると、クレセリアもダークライも、本質的には同じなのかもしれない(極論)。

 月の化身(使者)その1。


No.493 アルセウス そうぞうポケモン──最初の者

1000ぼんの うでで うちゅうを つくった ポケモンとして しんわに えがかれている。
(『ダイヤモンド』)
宇宙が まだ ない ころに 最初に 生まれた ポケモンと 神話の 中で 語られている。
(『パール』『Y』『アルファサファイア』)
タマゴから 姿を 現して 世界の すべてを 生み出したと シンオウ神話に 語られている。
(『ハートゴールド・ソウルシルバー』『X』『オメガルビー』)

(備考)

 シンオウ神話の『はじまりのはなし』では、混沌のうねりの中現れたタマゴから誕生して、2つの分身(ディアルガ、パルキア)を創って時間と空間、「物」を生ませ、更に自分の体から3つの命(ユクシー、エムリット、アグノムと思われる)を創って「心」を生ませることで、世界を創り出したと語られている。

 『ハートゴールド・ソウルシルバー』では、シントいせきといった、シンオウ地方からジョウト地方に移り住んだ人々によって造られた、アルフのいせき(ジョウト)とやりのはしら(シンオウ)の両方の性質を受け継いだ神殿がジョウト地方に存在する。そこには、アルセウスを祀るための「みつぶたい」があり、アルセウスがみつぶたいに立つと、時間、空間、反物質が交わり、世界が生まれるという伝説がある。

(備考2)

 ユクシーの項で述べた、カンナギタウンの祠にある壁画に関して、3点がユクシー、エムリット、アグノムで、中心の光がディアルガもしくはパルキアとするのが通説であるようだが、シロナは3点がディアルガ、パルキア、ギラティナで、中心の光がこの世界を生み出したもの、すなわちアルセウスのことではないかといった新説を唱えている。

 『ハートゴールド・ソウルシルバー』でのシントいせきのイベントにおいて、ディアルガ・パルキア・ギラティナを実際に生み出している。このことから彼らの親に当たる存在であるのは確かであるようだが、同じく神話に記載されてある、ユクシー・エムリット・アグノムの親に当たるかどうかはそのイベントの中では不明である。

 上述のイベントでは、アルセウスとシンボルポケモン・アンノーンの力が交わり、主人公はアルフのいせきからシントいせきへと飛ばされる。また、アルセウスがディアルガ・パルキア・ギラティナを生み出す場面においても、アンノーンが飛び交う様子が見られる。このことから、アルセウスとアンノーンの関連性が窺える。アンノーンについて補足すると、アルフのいせきに生息する、様々な形(我々の世界におけるアルファベット文字)をしたポケモンであり、1500年以上前に造られたアルフのいせきに刻まれた文字は、アンノーンと同じ形をしている。また、シンオウ地方では、ズイのいせきに生息している。

 シンオウ神話の『プレートからよみとくシンオウのはじまり』には、「プレートにぎりしものさまざまにへんかしちからふるう」といったフレーズがあるが、これはアルセウスが特性マルチタイプにより、所持したプレートの種類に応じてタイプが変化することを指していると思われる。
 『サン・ムーン』では、アローラ地方にウルトラホールを通して現れる、ウルトラビーストという未知なる脅威に対抗すべく、エーテル財団によって「神話のポケモン」を元に造られたじんこうポケモン・タイプ:ヌルが登場するが、タイプ:ヌルが進化することで機能するARシステム(挿入したメモリに応じてタイプが変わる)と特性マルチタイプの共通点や、アルセウスの英名が“Ar”ceusであることを踏まえると、タイプ:ヌルはアルセウスをモデルにしていると考えられる。


No.643 レシラム はくようポケモン──真実を求める白き龍

神話に 登場する ポケモン。しっぽから 炎を 吹き上げて すべての 物を 焼きつくす。
(『ブラック』)
人が 真実を 蔑ろにして 欲に まみれると 炎で 国を 焼きつくすと 神話 に描かれた。
(『シールド』)

(備考)

 イッシュ地方のシンボルである伝説のポケモン。数千年も昔、イッシュ地方が生まれる前からそびえ立っていたというリュウラセンの塔に生まれ眠り、その最上階にて、真実を追い求める人間を待っているとされる。真実の世界を築く人を助ける一方で、善の心を持たない人間は焼き尽くすという。その力は、炎で世界を燃やし尽くせるほどであり、尻尾から炎を噴き出しジェット機のように空を飛ぶと共に、熱エネルギーで大気が動き、世界の天気が変化する。

 元々、レシラムとゼクロムは1匹のドラゴンポケモンだったと語られている。大昔、双子の英雄に知識を与え、人々のために、彼らと共に新しい国(イッシュ)を築こうとした。敵対者には火柱あるいは稲光で刃向かい、そんな彼らの姿に心酔した多くの民が一致団結して、イッシュは建国され、発展したという。
 やがて、双子の英雄は真実を求める兄と理想を求める弟に分かれ、どちらが正しいかを決めるべく争いを始めると、ドラゴンポケモンは体を2つに分かち(レシラムとゼクロム)、それぞれの味方をした。争いが激化した末、双子の英雄はどちらかだけが正しいわけではないとして争いを治めた。しかし、その後英雄の息子達が再び争いを始めると、レシラムとゼクロムは炎と稲妻で太古のイッシュ地方を一瞬にして荒廃させ、姿を消したという。

 肉体が滅んだレシラムは、ライトストーンに姿を変え、新たなる英雄の登場を待っているとされる。

(備考2)

 シンボラーの項でも述べたが、イッシュ地方・リゾートデザートの北にある古代の城は、大昔の英雄がドラゴンポケモンを従え建国した城の跡地であるとNPCが発言している。また、アララギ博士が、古代の城について、2500年ほど前に栄えていたと発言していることから、レシラムとゼクロムが1匹だった時代、及び2匹に分離したのはその辺りの頃だと考えられる。


No.644 ゼクロム こくいんポケモン──理想を求める黒き龍

神話に 登場する ポケモン。しっぽの 中に 電気を 作る 巨大な 発電機を 持つ。
(『ホワイト』)
人が 正しい 心を なくすと 激しい 雷を 落とし 国を 亡ぼすと 神話に 描かれた。
(『シールド』)

(備考)

 イッシュ地方のシンボルである伝説のポケモン。数千年も昔、イッシュ地方が生まれる前からそびえ立っていたというリュウラセンの塔に生まれ眠り、その最上階にて、理想を追い求める人間を待っているとされる。理想の世界を創る人を補佐する一方で、理想を全く抱かない人間にはキバをむくという。その力は、稲妻で世界を焼き尽くせるほどであり、雷雲に全身を隠してイッシュ地方の空を飛ぶ。

 イッシュ建国時代、1匹のドラゴンポケモンだった時代は、レシラムの項に同じ。

 肉体が滅んだゼクロムは、ダークストーンに姿を変え、新たなる英雄の登場を待っているとされる。

(備考2)

 レシラムとゼクロムは、白陽と黒陰、真実と理想といった点で対となっており、対立関係でありながら、元はひとつのポケモン、同一存在にあたる。
 真実と理想、というのがややわかりづらいのだが(特に真実⋯⋯正論と理想論の違い、みたいな感じだろうか?)、ソウリュウシティの少女アイリスは、「真実を求め新たなる善の世界に導く白きドラゴン」「理想を求め新たなる希望の世界に導く黒きドラゴン」とレシラムとゼクロムを説明している。もっとも、「ポケモンの解放」を謳ったプラズマ団の王・Nが、『ブラック』ではゼクロムに、『ホワイト』ではレシラムに認められることからも、どちらが真実(善)で、どちらが理想(希望)であるかは、捉えかた次第で容易に揺れ動くと見ていいだろう。

 また、レシラムとゼクロムが分離したときに生まれたと推測されるポケモンとして、キュレムが存在する。キュレムは、イッシュ地方のカゴメタウンの裏にある大穴・ジャイアントホールに棲んでいたポケモンである。カゴメタウンには、大きな隕石が降ってきたことでジャイアントホールが誕生し、その隕石に潜んでいたポケモンが、暗くなると辺りを凍てつかせながら人やポケモンを喰らっていたといった伝承が存在する。キュレムが棲むジャイアントホールと、レシラムとゼクロムが誕生したとされるリュウラセンの塔は、遠く離れているのだが、アララギ博士が調査したところ、双方の地からは、同じ時代の成分が発見されたという(ライト/ダークストーン=隕石?)。また、ソウリュウシティのジムリーダー・シャガの家には、キュレムとレシラム及びゼクロムを合体させる、いでんしのくさびという宝が、代々にわたり継承されている。こちらもリュウラセンの塔と同時代の成分を含んでいるようである。


No.645 ランドロス ほうじょうポケモン──畑の神様

ランドロスが 訪れる 土地は 作物が たくさん 実るため 畑の神様と 言われている。
(『ブラック』『X』『オメガルビー』)

(備考)

 イッシュ地方のほうじょうのやしろ(社)に、ランドロスを祀る祠がある。同地はランドロスに見守られているとされ、ランドロスによって豊かな土と多くの実りが約束されているという。

 また、かつてせんぷうポケモン・トルネロスとらいげきポケモン・ボルトロスがイッシュ地方を飛び回り、大嵐と雷雨で家を荒らし、畑の農作物に被害を与えていたところ、ランドロスが2匹を懲らしめたといったエピソードがある。その後30年ほど、2匹は大人しくしていたようである。

(備考2)

 トルネロス、ボルトロス、ランドロスは、化身フォルムと霊獣フォルムの2つの姿を持つ。とある老人によると、昔々トルネロスとボルトロスが霊獣フォルムで暴れ、イッシュ地方を荒らしていたとき、同じく霊獣フォルムのランドロスが現れ2匹を止めたのだという⋯⋯上述のと同様の事件を指しているのかは不明。
 また、この3匹は、うつしかがみというアイテムによって本当の姿に変化するとされているが、どちらのフォルムが本当の姿なのかは不明らしい(ゲーム内では化身を霊獣にすることも霊獣を化身にすることも可能である)。

 他の図鑑説明では、尻尾から降り注ぐエネルギーが土の栄養分を増やすことで作物が大きく育つ、風や雷を取り込み変えたエネルギーが土に栄養を与えて大地を豊かにするとある。風はトルネロス、雷はボルトロスの力であることから、トルネロスとボルトロスあっての畑の神様であるとも言えるか。

 豊穣神その3。


No.716 ゼルネアス せいめいポケモン──命を与えし者

(備考)

 永遠の命を分け与えると言われるカロス地方の伝説のポケモン。1000年の寿命を持ち、その命が尽きようとするとき、持っているエネルギーを周囲の生物に分け与えるという。その後、枯れた大木のような姿となり、森の奥で1000年眠り復活する。

 長く深い眠りについているため、ゼルネアスに関する伝承は少ない。目撃証言があったのは800年ほど前のことで、ゼルネアスがツノを広げカロスの大地を照らした途端、辺りの人やポケモンの体に活力がみなぎり、ゼルネアスを中心に深い森ができたという。
 また、カロス地方で戦争が発生していた3000年前にも姿を現し、傷ついたポケモン達を救ったと考える人がいるようだが、悲しい話に救いを求めるための願望であるとの見方もある。
 

(備考2)
 
 1000年活動して1000年眠るといった周期が見て取れるゼルネアスだが、目撃証言があったのは800年前のこと。劇中では、フレア団によって、眠っていたところを秘密基地まで連れ去られ、主人公との邂逅によって目を覚ますのだが、そうなると後200年眠り足りていないんじゃないかという疑惑が⋯⋯。

 レックウザの項でも述べたメガシンカについて(かなり脱線します)。『X・ Y』にて、プラターヌ博士は、メガシンカに必要なアイテムのひとつ・メガストーンは、3000年前に撃ち出された最終兵器=ゼルネアスもしくはイベルタルのパワーを浴びた、特殊な石(ほのおのいし等が変化したのかもしれない、とのこと)であると考察している。しかし、多くのポケモンの生体エネルギーが使用された3000年前の最終兵器に、ゼルネアスもしくはイベルタルのそれも含まれていたとは彼の他に誰も(AZもフラダリも)述べておらず、そのような描写も存在しない。2匹は3000年前の戦争にも出現していたと考えている人はいるようだし、最終兵器の前身である「命を与えるキカイ」については、永遠の命を分け与えるというゼルネアスとの類似性が伺えるが⋯⋯? 「メガストーン=最終兵器+特殊な石」説。
 また、プラターヌ博士は、メガシンカに必要なもうひとつのアイテム・キーストーンについては、3000年前以前よりカロス地方のヒャッコクシティに聳え立つ、日時計に似ていると指摘している。太陽の光を謎の光に変える日時計は、タウンマップの説明によると、宇宙から落ちてきたとも言われているとのこと。⋯⋯「キーストーン=日時計=隕石」説。

 そして、『オメガルビー・アルファサファイア』にて、ソライシ博士は、メガストーン、キーストーン共に、隕石と関係していると考えている。
 メガストーンについては、ソライシ博士がホウエン地方・流星の滝でエルレイドナイト(エルレイドをメガシンカさせるためのメガストーン)を発見しており、同地ではプテラナイトも入手できる。また、レックウザがミカド器官によって体内に蓄えた隕石がメガストーン同様の効果を生み出しており、そのレックウザは劇中において流星の滝で発見された隕石(伝承の隕石と同一視するなら2000年前に飛来してきたものになるか)を食べることでメガシンカの力を取り戻している。それから、マグマ団リーダー・マツブサやアクア団リーダー・アオギリの話によれば、その隕石は条件次第でメガストーンにもキーストーンにも変化するのだという(更に、同地方のえんとつやまのエネルギーを浴びると超古代ポケモンを制御するためのカギになるようである)。
 キーストーンについては、伝承によると1000年前にルネシティに落ちた隕石が、人々の祈りを受けてキーストーンに変化したとあり、また、アクア団幹部のウシオは、流星の滝でキーストーンを見つけたと発言している。⋯⋯「メガストーン=隕石+○○」、「キーストーン=隕石+△△」説。

 ここまでの話を総括すると、メガシンカには、「メガストーン/キーストーン」「最終兵器」「隕石」の3つの要素が絡んでいるようである。メガシンカと最終兵器については、ヒガナが最終兵器が開発されたことによってメガシンカが誕生したとも取れる発言をしており、ポケモンの生体エネルギーが大きく関わっている点においても両者は共通している。最終兵器と隕石については関連性が見受けられないが、強いて言うなら、最終兵器は描写上、「宇宙」まで撃ち上げられていることがそれに当たるだろうか。
 「最終兵器=ポケモンの生体エネルギー」。
 「メガストーン=最終兵器+特殊な石」=「メガストーン=ポケモンの生体エネルギー+特殊な石」? 後はこじつけとなるが、特殊な石が隕石なのだとすれば(進化石ではなく⋯⋯あるいは進化石こそが隕石という考え方も)、「メガストーン=ポケモンの生体エネルギー+隕石」となり、全てが繋がった感が出てくる。キーストーンのほうはこれ以上考えられないが。
(で、結局ゼルネアスとイベルタルはメガシンカに関係しているのだろうか?)


No.717 イベルタル はかいポケモン──命を奪いし者

(備考)

 カロス地方の伝説のポケモン。1000年の寿命を持ち、その命が尽きようとするとき、エネルギーを蓄えるべく周囲の生き物の魂を吸い取るという。その後、繭の姿に戻り、山奥に潜む。

 ゼルネアスと同じく、長く深い眠りについているため、伝承が少ない。目撃証言があったのは800年ほど前のことで、イベルタルが翼を広げカロスの大地を包み込んだ途端、辺りの人やポケモンがばたばたと倒れ、イベルタルは鋭く叫び飛び去ったという。
 また、カロス地方で戦争が発生していた3000年前にも姿を現し、無数の魂を奪ったと考える人もいるようだが、戦争や疫病を伝説のポケモンになぞらえているだけとの見方もある。

(備考2)

 ゼルネアスとイベルタルは、生と死や、『X・Y』の物語のテーマである、与えるものと奪うものといった点で対になっている。しかし、作中で共通の役回りを果たしていることを除き、ゲーム本編で2匹に接点はない(『Z』が発売されていれば、あるいは⋯⋯)。

 この2匹は、作中で神と呼ばれ、祀られていたわけではないのだが、ポケモンだいすきクラブの以下のサイトにて、「生命をつかさどる神」「はかいをつかさどる神」と称されていたため、ここに載せることにした(カロス組だけ省くのが申し訳なかったというのもある)。


 ゼルネアスが1000年活動して(エネルギーを他者に分け与えて)1000年眠る(回復する)のを繰り返すのに対して、イベルタルは他者からエネルギーを奪い蓄えると繭の中で1000年過ごし、エネルギーが尽きればまた外に出て蓄えるのを繰り返すといった感じだろうか。そう考えると、ゼルネアスよりもかなり活動期間が短そうだが⋯⋯。


No.721 ボルケニオン スチームポケモン──国造りのポケモン

(備考)
 
 探す人はいるが、殆ど発見されることがない幻のポケモン。『オメガルビー・アルファサファイア』によると、過去には伝説の探検家・ジンダイ率いるジンダイ探検隊が、カロス地方の大湿地帯、シンオウ地方の未聞の森林、ジョウト地方の絶海の孤島にて目撃に成功している。

 体内に有する、生物学史上類を見ない超高熱器官によって、水分を一瞬で蒸発させる。その水蒸気爆発の威力は、山をも吹き飛ばすほどである。また、背中から伸びている腕のような器官で水を吸い、たくさんの霧に変える。
 古代には土地を造り出すと信じられていたポケモンで、カロス地方南西部のとある地域には、ボルケニオンの起こした水蒸気爆発で自分達の暮らす平野ができたとして、ボルケニオンを崇める風習があるらしい。

(備考2)

 伝説の探検家ジンダイとは、『エメラルド』に登場するフロンティアブレーンのひとり、ピラミッドキングことジンダイのことだろう。『オメガルビー・アルファサファイア』ではジンダイと戦えるバトルフロンティアが存在しないが、その代わりとしてこのようなエピソードが用意されたのかもしれない。

 体内に特殊な器官を有している点はレックウザと共通している。

 ところで、同じ第6世代に登場する幻のポケモン・フーパの分類はまじんポケモンなのだが、このまじんとは魔なのか、それとも魔人なのか。少なくとも人ではないし、映画のタイトルでも超魔神とあるが⋯⋯(保留)。


No.785 カプ・コケコ とちがみポケモン──メレメレの守り神

好奇心旺盛な メレメレの 守り神。 雷雲を 呼び 雷を 身体に 溜め込む。
(『サン』)
守り神と 呼ばれるが 気分を 害する 人間や ポケモンには 襲い掛かる 荒ぶる神 でもある。
(『ウルトラサン』)
雷を 操る メレメレの 守り神。 好奇心旺盛で 時折 人前に 現れる。
(『ウルトラムーン』)

(備考)

 アローラ地方の4つの自然島の内のひとつ・メレメレ島の守り神で、同島にある戦の遺跡に祀られているポケモン。

 カプ・コケコ、カプ・テテフ、カプ・ブルル、カプ・レヒレの4匹は、それぞれが鎮守する島ごとに、島の首長であるしまキングまたはしまクイーンを任命し、彼(彼女)にZリングの原料となる“かがやくいし”を託す。かつては島ごとの王達の争いの旗頭にもなっていたが、Zパワーを使った争いで島が荒れたため、その後人々の争いに手を貸すことはなくなったという。
 また、それぞれのお気に入りの場所を、ぬしポケモンに守らせているとも言われている。
 このように、島の人やポケモンの上に立つ守り神達だが、自分以上の力を持つソルガレオまたはルナアーラには従属しており、両者が交わって生まれた命を見守る役割を負うと共に、かつては太陽(月)に一番近い聖地とされるラナキラマウンテンの麓にある“カプの村”に姿を見せていた。

 ウルトラホールより現れる異世界のポケモン・ウルトラビーストと激しく戦った伝承も残されている。

(備考2)

 お気に入りの場所をぬしポケモンに守らせているとは作中のNPCによる発言だが、エーテル財団副支部長のビッケは、ぬしポケモンは開かれたウルトラホールから地上に注がれるオーラを浴びていると述べている。そのことを踏まえると、カプ達は島を守るために、過去に外敵(ウルトラビースト)が現れた場所=今後外敵が現れると考えられる場所にぬしポケモンを配置しているというのが正確かもしれない。


No.786 カプ・テテフ とちがみポケモン──アーカラの守り神

無邪気で 残酷な アーカラの 守り神。 花の 芳しい 香りが エネルギーの 源。
(『サン』)
輝く りん粉を 振りまいて 人や ポケモンの 傷を 癒す。 アーカラで 祀られる 守り神だ。
(『ウルトラサン』)
守り神と 呼ばれるが 無邪気で 残酷な 性質も 併せ持つ 自然の化身と いえる 存在。
(『ウルトラムーン』)

(備考)

 アローラ地方の4つの自然島の内のひとつ・アーカラ島の守り神で、同島にある命の遺跡に祀られているポケモン。

 人々の疲れを癒す鱗粉を振りまくことで、大昔に発生した島同士の争いを和解させたとの伝承が残っている。しかし、争っていた者達が全員、鱗粉の力で生き絶えてしまったのが真相であるとも言われている。

 守り神4匹共通の説明は、カプ・コケコ の項にて。


No.787 カプ・ブルル とちがみポケモン──ウラウラの守り神

ウラウラの 守り神で 物臭。 草木を 操り 敵を 縛りつけ 動けを 止めて 角で 一突き。
(『ムーン』)
守り神と 呼ばれるが 敵と 見なした 者は 徹底的に 叩き潰す 激しさを 持っている。
(『ウルトラサン』)
シッポを 鳴らし 居場所を 伝え 無駄な争いを 避ける。 草木を 操る ウラウラの 守り神。
(『ウルトラムーン』)

(備考)

 アローラ地方の4つの自然島の内のひとつ・ウラウラ島の守り神で、同島にある実りの遺跡に祀られているポケモン。

 ウラウラ島にあるメガやす跡地(アーカラ島のロイヤルアベニューにあるスーパーマーケット「スーパー・メガやす」の旧店舗が存在していた場所)は、カプ・ブルルの怒りに触れて破壊されたと言われている。

 守り神4匹共通の説明は、カプ・コケコ の項にて。

(備考2)

 かつてカプ達が集結していたとされるカプの村もまた、かつてカプの怒りを買い破壊されたと言われているウラウラ島の土地のひとつである。メガやす跡地とかなり近いため、関係しているようにも思えるが、こちらに関しては、『ウルトラサン・ウルトラムーン』で、ウルトラ調査隊が大昔にカプ達とネクロズマが戦った場所であると述べている。村の破壊はその戦いによって生じたものだとするなら、メガやす破壊とは別件と考えられる。

 ウラウラ島では更に、スカル団がかつてしまキングを中心とした集団だった頃、カプによって罰を与えられたといった話を聞くことができる。スカル団は同島のポータウンを根城としているが⋯⋯?(こちらは、地理的にはメガやすとかけ離れている)。


No.788 カプ・レヒレ とちがみポケモン──ポニの守り神

水を 操る ポニの 守り神。 けがれを 払う 清らかな 水を 生みだすと 伝えられている。
(『ムーン』)
深い 霧の 奥に 棲んでいると 恐れ 敬われてきた。 水を 操る ポニの 守り神だ。
(『ウルトラサン』)
守り神と 呼ばれるが 無闇に 近付く 相手には 恐ろしい 災いを もたらすこともある。
(『ウルトラムーン』)

(備考)

 アローラ地方の4つの自然島の内のひとつ・ポニ島の守り神で、同島にある彼岸の遺跡に祀られているポケモン。

 心身を浄化する特別な水を生み出すことができ、その水を得るためには、カプ・レヒレに力を認められる必要がある。浄化の水を求める人の中には、邪悪な考えをした者も存在したため、カプ・レヒレは人前に姿を見せなくなった。


No.790 コスモウム げんしせいポケモン──星の繭

太古 アローラを 支配 していた 王様は 星の繭と 呼んで 崇めるための 祭壇を 作った。
(『ウルトラサン』)

(備考)

 せいうんポケモン・コスモッグの進化形。人知を超えた硬さの殻に包まれたポケモン。死んだようにまったく動かないが、光を吸いながら成長を続け、進化するためのエネルギーをコアで作っている。
 
 進化前のコスモッグはかつて「星の子」と呼ばれ、アローラの王とその後継者のみに知られていた。そよ風にも流されるほど儚いガス状の体をしているが、危険を感じるとワープし、そのときにウルトラホールと呼ばれる、異世界へ繋がる穴を開く。

(備考2)

 図鑑説明にある祭壇とは、ポニ島に存在する日輪の祭壇及び月輪の祭壇、もしくはウラウラ島の日輪の湖及び月輪の湖に存在する祭壇を指していると思われる。
 アローラ地方では、日輪もしくは月輪の祭壇で太陽の笛と月の笛を奏で、感謝の気持ちを捧げることで、ソルガレオもしくはルナアーラを呼び寄せる儀式が言い伝えられているが、実際にはコスモウムにエネルギーを注ぎ、その2匹に進化させる儀式だったようである。


No.791 ソルガレオ にちりんポケモン──太陽を喰らいし獣

太古の時代から、太陽の使者として崇められ、畏敬の念から「太陽を喰らいし獣」と呼ばれていた。
(『サン・ムーン』公式サイト)

(備考)

 アローラ地方に古くから伝わる伝説のポケモン。体内に莫大なエネルギーを有しており、全身から放つ光で太陽のように輝くことで、闇夜を真昼のように照らす。ウルトラホールを開く能力を持ち、額に第3の眼が浮かぶとき(そのときの姿はライジングフェーズと名付けられている)、別世界へと駆け抜けていく。
 ソルガレオはコスモッグ、コスモウムが進化した♂とされ、♀とされるルナアーラと交わることで、新たな命(コスモッグ)を生む。
 ソルガレオを祀るための場として、ウラウラ島の日輪の湖、ポニ島の日輪の祭壇が存在する。

 『サン』『ウルトラサン』の、マリエシティの図書館で読むことができる古の文献『アローラの光』には、太古の昔、アローラ地方の空に突如開いた穴から現れ、光り輝き、持てる全ての力を放つことで守り神を従わせ、王を敬わせたと記されている。そして、アローラの王朝を明るく照らし、自然の恵みをもたらしていたようである。

 『ウルトラサン・ウルトラムーン』では、ウルトラ調査隊達が棲んでいる世界・ウルトラメガロポリスの皆でシェアされているポケモンとして(も)登場する。調査隊は、ソルガレオまたはルナアーラに乗ることで、ウルトラホールを通じてアローラ地方へやってきた。

(備考2)

 「太陽を喰らいし獣」という異名は、まるで日食(日食ネクロズマ?)のようであるが、そうではなく、体内に太陽を蓄えているがごとき莫大な光エネルギーを有することのたとえだろうか。
 に関しては、ルナアーラの「月を誘いし獣」と共に、彼らが異世界より現れしウルトラビーストであることを示唆する異名になっていると言える。
(追記:錬金術における「太陽を食べる緑色の獅子」の図に由来する異名であるようだ。はがねタイプなのもそれが理由か)

画像2

 本当に食べるの!?
(画像:『ポケモンマスターズ』)

 マリエシティの図書館で読める文献『伝説のポケモンとカプたち』に、激しい勝負を繰り広げ、カプ達と引き分けあった伝説のポケモンは、カプ達に未知なる力を分け与えたと記されている。『アローラの光』での、持てる全ての力を放ちカプ達を従わせたという話と同じ出来事を指し示しているのだとすると、伝説のポケモンとはソルガレオ及び後述のルナアーラであると考えられる。
 カプ達に与えた未知なる力とは何のことだろうか? 考えられるのは、カプ達のみが使える技「しぜんのいかり」と、その技を土台としたZワザ「ガーディアン・デ・アローラ」の2つだろうか。⋯⋯Zワザがトレーナーとポケモンが力を合わせて放つ技であることと、後述のネクロズマのことを踏まえると、後者の線は薄いんじゃないかと個人的には考えているが。でも(「未知なる力」=)「持てるての」がZ(ゼンリョク)ワザを示唆しているとも取れなくもないが⋯⋯。
 Zワザについてはネクロズマの項にて。

 太陽の化身(使者)その2。


No.792 ルナアーラ がちりんポケモン──月を誘いし獣

太古の時代から、月の使者として崇められ、畏敬の念から「月を誘いし獣」と呼ばれていた。
(『サン・ムーン』公式サイト)

(備考)

 アローラ地方に古くから伝わる伝説のポケモン。周囲の光を吸収し、真昼を闇夜のように翳らせると、自らは月のように光り輝く。ウルトラホールを開く能力を持ち、額に第3の眼が浮かぶとき(そのときの姿はフルムーンフェーズと名付けられている)、別世界へと飛び去っていく。
 ルナアーラはコスモッグ、コスモウムが進化した♀とされ、♂とされるソルガレオと交わることで、新たな命(コスモッグ)を生む。
 ルナアーラを祀るための場として、ウラウラ島の月輪の湖、ポニ島の月輪の祭壇が存在する。

 『ムーン』『ウルトラムーン』にの、マリエシティの図書館で読むことができる古の文献『アローラの光』には、太古の昔、アローラ地方の空に突如開いた穴から現れ、辺りを暗く染め、持てる全ての力を放つことで守り神を従わせ、王を敬わせたと記されている。そして、アローラ王朝に闇をもたらし、生を終えた命を導いていたようである。

 その他、ウルトラメガロポリスの住民にシェアされていることなどは、ソルガレオに同じ。

(備考2)

 ソルガレオとルナアーラは、同じポケモンから分岐進化した同種で、時には子を作る関係になる。また、昼と夜、太陽と月、自ら輝くものと照らされて輝くものといった点で対となる(ゼルネアスとイベルタルの関係に近い?)。

 日輪の祭壇と月輪の祭壇、日輪の湖と月輪の湖についてだが、『サン』『ウルトラサン』の世界では日輪の祭壇、日輪の湖しか存在していない。しかし、ウルトラホールを使用することで、月輪の祭壇、月輪の湖が存在する反転世界へ移動することができる。『ムーン』『ウルトラムーン』の世界では月輪の祭壇、月輪の湖しか存在しておらず、同様にウルトラホールを経由し日輪の祭壇、日輪の湖のある反転世界へ辿り着ける。反転側の湖では、手持ちのソルガレオ(ルナアーラ)と、どこからともなく現れたルナアーラ(ソルガレオ)が交わり、コスモッグを入手するイベントが発生する。
 このことから、日輪の祭壇、日輪の湖のある世界は、ソルガレオがアローラに君臨している世界、月輪の祭壇、月輪の湖のある世界は、ルナアーラがアローラに君臨している世界と捉えられるか。そして、生殖活動を行うために、ソルガレオとルナアーラは、相手方が君臨している反転世界へ移動すると考えられる。
 因みに、『(ウルトラ)サン』と『(ウルトラ)ムーン』との間において、ゲーム内の時刻が12時間ずれている(反転世界に行くと、更に昼夜が反転する)。また、オオカミポケモン・ルガルガンについて、公式サイトでは、『サン』の世界ではソルガレオの影響を受けて「まひるのすがた」に、『ムーン』の世界ではルナアーラの影響を受けて「まよなかのすがた」に進化すると説明されている(どちらのパッケージでも野生では両方の姿が生息しているが、プレイヤーの手では片方の姿にしか進化させられない)。

 月の化身(使者)その2。⋯⋯その1となるクレセリアについて、みかづきポケモンなのにまんげつじまにいることは既に述べたが、ルナアーラもまた、「周囲の光を吸収し、広げたその翼は三日月のように輝き」(公式サイト)、「周囲から 光を すべて 奪い 自らは 満月の 姿となり」(『シールド』図鑑説明)と、満月と三日月の双方が関連している。片翼が三日月で、力を解放したフルムーンフェーズの姿が満月、ということなのだろう。デザインの妙。


No.800 ネクロズマ プリズムポケモン──かがやきさま

(備考)

 かつてのウルトラメガロポリスにおいて、かがやきさまと称されていたポケモン。その輝きによって、メガロポリスを不思議な光で溢れさせていた。だが、欲張った人々が、かがやきさまの光をコントロールしようとした結果、体の一部が破損。荒れ狂ったネクロズマは、メガロポリスから光を奪ったと言われている。

 アローラ地方においては、光の略奪者として文献に残されている。それによると、突如空から現れて世界を闇に包み、ソルガレオ(ルナアーラ)の体を奪うも、若者と守り神が不思議な石の光を放ち両者を分離させ、アローラの闇を追い払ったとある。
 また、Zワザを含む技の研究家であるククイ博士によると、ネクロズマにまつわる昔話として、昔アローラ地方が闇に覆われたとき、アローラのポケモンと人々が光で闇を打ち消したといった話があり(ククイ博士は、ネクロズマを追い返したのではなく、ネクロズマに光を与えていたのかもしれないといった見解を披露している)、これがZクリスタルを集めるアローラ地方の慣習・島めぐりの起源であると言われているようである。
 ウルトラ調査隊側の視点としては、ネクロズマは過去に光を求めてアローラに現れ、カプの村にて守り神達と戦ったと述べられている。そして、そのとき空に開いたウルトラホールから降り注いだ光が、Zワザの源──ポケモンの技をZワザに変化させたのではと推測されている。

(備考2)

 かがやき“さま”と呼ばれているくらいなので、神として扱ってもいいだろう。

 ネクロズマはゲーム中において、様々な姿に変化している。
 まず、アローラにおいて通常とされる姿。光をエネルギー源としているが、長い間地下で眠り、光を喰らわないでいたため、体内に不純物が溜まり黒ずんでいる。生きるために光を求めて、苦しげに暴れ回る。
 次に、ソルガレオの体を支配した「たそがれのたてがみ」(日食ネクロズマ)、ルナアーラの体を支配した「あかつきのつばさ」(月食ネクロズマ)。それぞれ、母体から光エネルギーを強制的に吸収している。性格は非常に凶暴。名前の由来は、「真昼」を終わらせる「たそがれ」、「真夜中」を終わらせる「あかつき」だと思われる。
 そして、日食(月食)ネクロズマから更に変化した姿である、ウルトラネクロズマ。圧倒的な光を得て、眩しく輝くドラゴンの姿となり、本来の能力を取り戻したようだが、体の一部を失っているため光を制御できず、なお苦しんでいるとされる(光を失っても苦しみ、光を得ても苦しむという地獄)。公式サイトによると、ネクロズマ自身も体験したことのない新たな姿とあり、体を欠損させる前の「かがやきさま」のときの姿とは異なるようである。

 Zワザについて。Zワザとは、アローラ地方で使われるポケモンの特別な技のことで、ポケモンがZクリスタルを持ち、トレーナーがZリング(『ウルトラサン・ウルトラムーン』では色が変わり、Zパワーリングという名称に変化している)を装着することで発動が可能となる。トレーナーは、クリスタルのタイプに応じたポーズを行うことで、Zリングを通じてポケモンへ想いを届け、Zパワーと呼ばれるオーラを纏ったポケモンが、強力に変化した技を全力で放つ。Zはゼンリョクを意味し、トレーナー、ポケモン共に、激しい気力と体力を消費する。
 そして、Zワザに必要なZ(パワー)リングについてだが、『ウルトラサン・ウルトラムーン』でのククイ博士と、主人公と旅を共にした少女リーリエの会話において、Zパワーリングの原材料となるかがやくいしはネクロズマの失った体の一部ではないかと推測されている(かがやくいしという名称自体が、かがやきさまの伏線だったと言えるか)。以前の劇中でも、ネクロズマは主人公のZパワーリングに興味を示す素振りを見せている(そこでは、主人公が多数のZクリスタルを所持しているからとリーリエ達から介されていた)。
 ククイ博士は、かがやくいしはウルトラホールを通じてアローラに降ってきたのではないかとも推測していたが、順番としては、①メガロポリスの先祖の強欲によってネクロズマの体が破損する ②破損した体がウルトラホールを通じてアローラに降ってくる ③失った体を求めてネクロズマはアローラへ現れ、そのときソルガレオ(ルナアーラ)を取り込み光を奪い、空を闇に包む ④若者と守り神、あるいは人々とポケモンが、かがやくいしを介して、歴史上初となるZワザを放ち闇を打ち消す⋯⋯といった感じになるだろうか。

 更に、ウルトラ調査隊は、アローラ地方に満ちているオーラ、Zパワーやぬしポケモンが纏うオーラは、過去のかがやきさまが発していた光であると結論付けている。当時のかがやきさまのエネルギーは、ウルトラスペースにも及んでいたようで、『サン・ムーン』にてエーテル財団副支部長のビッケがウルトラビーストが纏うオーラ(ビーストブースト)とぬしポケモンのオーラを同質のものであると述べていたことから、ウルトラビーストのオーラもまたかがやきさまの光であると考えることができる。
 ともあれ、Z(パワー)リングがネクロズマの体の一部で、Zパワーがかがやきさまの光⋯⋯Zクリスタルについては不明だが、Zワザはネクロズマに強く由来する力となっている。

 ところで、伝承でも劇中でも、ネクロズマは光の略奪者としてアローラの光を奪っているが、周囲の光を吸収し真昼を闇夜のように翳らせるルナアーラもまた、似たようなことを行っていると見ていいだろう。生を終えた命を導くルナアーラと、ネクロ(死)の名を持つネクロズマの共通項。逆に、自ら強く輝き、生物や自然に作用する光を放つかがやきさま(あるいはウルトラネクロズマ)は、アローラ王朝を明るく照らし自然の恵みをもたらしたソルガレオと共通していると言えるか──二面性。

 

No.809 メルメタル ナットポケモン──一つ目の巨人

鉄を 産み出す 力を 持つと 崇められていた。 3000年の 時を 経て なぜか 蘇った。
(『Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』)
遠い 地方の 神話に 残る 一つ目の巨人は メルメタルが キョダイマックスした 姿だった。
(キョダイマックスのすがた、『ソード』)

(備考)

 『Pokémon GO』にて初登場した。古い文献に記されていた幻のポケモン・メルタンが、仲間を取り込み大きく進化したポケモン。

(備考2)

 一つ目の巨人とは、目が一つの巨人ということだとして、遠い地方とは、既存の地方のいずれかなのだろうか。巨人と言えば、レジ系がそう呼ばれているが⋯⋯?
 現在、ガラル地方でしかできないとされているダイマックス(キョダイマックス)だが、そのガラルを差し置いて、他の地方で神話となっていることも謎である。他の地方からでも見えるくらいのサイズで巨大化した、とか⋯⋯?
 ちなみに、メルタンは本来ガラル地方にいないポケモンらしい。


No.888 ザシアン つわものポケモン──妖精王の剣

あらゆるものを 切り捨てるさまから 妖精王の剣 と 呼ばれ 敵味方に 恐れ崇められた。
(けんのおう、『シールド』)

(備考)

 ガラル地方の遥か彼方、まどろみの森の向こうで生まれたと文献に残されているポケモンで、ザマゼンタの姉ともライバルとも言われている。金属を取り込み武具に変化させて戦う。武具となる剣を口に咥えると、疾風の如き速度で戦場を駆け抜け、ダイマックスポケモンであろうと一刀のもとに切り捨てる。

 大昔、ザマゼンタと共に、2人の人間の若者と力を合わせ、黒い渦による災厄・ブラックナイトからガラル地方を救った。しかし、傷を負って長い眠りについた後、後世の人々によって存在ごと隠蔽され、ブラックナイトを鎮めたのは人間の英雄(のみ)であるといった伝承が知れ渡るようになった。ラテラルタウンには、ザシアンとザマゼンタの像が残されているが、後に作成された巨大な絵画によって覆い隠された。
 
 人が立ち寄ることを禁じられている、まどろみの森の最奥にある祭壇にて、ザシアンとザマゼンタの武具が供えられている。

(備考2)

 ブラックナイトとは、2万年前に落ちた隕石の中にいたキョダイポケモン・ムゲンダイナが引き起こした災厄である。ムゲンダイナの力によってダイマックスしたポケモン達が暴れ回り、ガラル地方を滅ぼしかけたと言われている。

 ダイマックスとは、ガラルの地上に落ちたねがいぼしのエネルギーを受けたポケモンが、体内から特殊なパワーを放ち、巨大化する現象である(正確には、周囲の空間を歪ませて巨大化した“ように見せている”)。ねがいぼしは元々ムゲンダイナの一部であり(ダイマックスを研究しているマグノリア博士の談)、ムゲンダイナの体から出るエネルギーが、ポケモンをダイマックスさせる。

 ブラックナイトを伝えているとおぼしきターフタウンの地上絵が、3000年前に描かれたものであることから、ブラックナイトは3000年前、あるいはそれ以前の出来事であると考えられる。


No.889 ザマゼンタ つわものポケモン──格闘王の盾

いかなる 攻撃も 弾き返す 姿は 格闘王の盾 と 呼ばれ 恐れ 崇められた。
(たてのおう、『ソード』)

(備考)

 ガラル地方の遥か彼方、まどろみの森の向こうで生まれたと文献に残されているポケモン。金属を取り込み武具に変化させて戦う。武具となる盾を体表に覆うと、ダイマックスポケモンの一撃も容易く受け止め、更にはその硬度を攻撃にも活かして力任せに突進する。

 英雄としてのザマゼンタについては、ザシアンの項に同じ。

(備考2)

 ザシアンとザマゼンタは、剣と盾、攻撃と防御といった点で対となっており、図鑑説明ではきょうだい関係である可能性も示されている。

 ザシアン、ザマゼンタの異名にある「妖精王」「格闘王」とは、それぞれフェアリータイプとかくとうタイプである2匹を指しているのか、それとも2匹を連れた人を指しているのか。
 ──ザシアン、ザマゼンタと共にガラルを救った若者について、本編では「英雄」と称されているが、一方でザマゼンタの『ソード』の図鑑説明では、「人の王と力をあわせガラルを救ったポケモン」と記されている。英雄=人の王なのか、それとも別人なのか⋯⋯といった疑問に関しては、ナックルシティにあるタペストリーに、2人の若者が災厄と対峙し、剣と盾をもって退け、王冠を被るまでの出来事が描かれており(ガラル地方の歴史を探る研究者・ソニアが同画について、「ガラルに王国ができたときの物語を伝えるタペストリー」と説明している)、英雄となった若者がその栄誉によって初代王に即位したと解することができる。英雄にして王なのは、ザシアン、ザマゼンタも同じである。


No.892 ウーラオス けんぽうポケモン──怒りの化身

雄叫びをあげるような表情を持ち、人々からは「怒りの化身」とも「怒りによって世界の邪鬼を払う神の使い」ともいわれている。
(いちげきのかた・キョダイマックスのすがた、『ソード・シールド』公式サイト)
怒りの化身 と 呼ばれている。 凄まじい 形相と 雄叫びで 世界の 邪気を 払うという。
(いちげきのかた・キョダイマックスのすがた、『ソード』)

(備考)

 進化前のダクマ共々、ガラル地方から遠く離れた山岳地帯に生息しているポケモン。どんな矛をもほふる頑強な鎧と称される。あくの型を極めた「いちげきのかた」のウーラオスと、みずの型を極めた「れんげきのかた」のウーラオスに分かれている。
 進化前のダクマは、ガラル地方の海に浮かぶヨロイ島に設立されたマスター道場にて、秘伝の鎧として育てられている。

(備考2)

 公式サイトのダクマの項によると、かつてガラル地方のポケモンだったが、交易や探検で人々と未開の地へ向かった個体が野生化に至ったと、歴史書に記されているとのこと。

 図鑑説明や公式サイトには記載されていないけれど、「れんげきのかた」のほうのキョダイマックス(特定のポケモン、特定の個体のみが行える、巨大化するだけでなく見た目も変わる特殊なダイマックス。ウーラオスの場合、選んだ型によって2通りのキョダイマックスが存在する)も、何らかの化身や神の使いとされていたりするのだろうか。


No.898 バドレックス キングポケモン──豊穣の王

(備考)

 太古の昔、ガラル地方一帯を統べていた伝説の王。そして、ガラル地方南部に位置するカンムリ雪原においても、豊穣の王として人々から崇められていた。

 かつて、カンムリ雪原にて、傷つき弱った状態で姿を現したバドレックスは、人々に看病され、本来の力を取り戻すと、不毛の土地であった雪原に蒼い光を輝かせ畑に作物を生やし、村に緑を芽吹かせ肥沃な土を広げた。その功績から、人々に王と称えられた。その後、元より雪原にてポケモン達の王者として君臨し、人々やその仲間のポケモンを苦しめていたブリザポスまたはレイスポスと対峙、平伏させ、愛馬とする。人々のバドレックスへの信仰は揺るぎないものとなり、バドレックスを祀る神殿(カンムリ神殿)が造られ、愛馬を御するためのタヅナを贈る伝統が代々にわたり受け継がれることとなった。
 しかし、長い時を経て人々に存在を忘れられたバドレックスは、力が弱まり愛馬とも道を違えた。緑豊かだった土地は、再び不毛の雪原へと変わり果てたのである。

(備考2)

 図鑑説明によると、過去や未来を見通す力で隕石から森の生き物を救ったとあり、2万年前に落ちた隕石の中にいたムゲンダイナとの関連性が伺える。また、カンムリ雪原の碑文には、雪原に来たばかりの弱ったバドレックスが、人々が手を広げるのを恐れていたことが記されている。ムゲンダイナ(ムゲンダイマックスのすがた)は、大きな手のような形状をしており、バドレックスはその姿のムゲンダイナの脅威に晒されていた可能性が考えられる。
 2万年前──バドレックスがガラル地方一帯を統べる王だったのは、その辺りの時期になるだろうか。人の王がガラル地方に存在していた3000年前より遥か昔、ポケモンが王として君臨していた時代があったというのは、中々にロマンを感じさせられるが。

 ちなみに、ムゲンダイナ(ムゲンダイマックスのすがた)は、劇中においてガラル地方のリーグ委員長・ローズの手で強制的に変化させられた、ブラックナイトのための姿であるが、ムゲンダイナの技・ムゲンダイビームの説明文において、ムゲンダイマックスのすがたは本来の姿であることが判明している。ローズ委員長はムゲンダイナにねがいぼしを与えていたようであるが、それは失った自分の体を取り戻させ、本来の姿に近付けることを意味していたのかもしれない。だからムゲンダイナが宇宙からガラル地方に現れ、バドレックスとも邂逅した(?)2万年前当時は恐らくこちらの姿だったと考えることができる。

 ポケモンがダイマックスを行うとき、赤紫色の光が発生するが、バドレックスの場合、青色の光をが発生する。これはムゲンダイナの力の他に、バドレックス自身の力がはたらいている(ムゲンダイナの力を御している)ことの証だろうか。

 豊穣神その4。神でなく王だが、神殿が造られたりと、神のような扱いを受けていると言える。




★作成にいたり参考にさせていただいたもの(『ポケモンの寿命や生息年代についてのまとめ』


★公式サイト




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