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健康経営と管理会計

1.はじめに


この「健康経営のすすめ」ではたびたび『健康投資管理会計ガイドライン』についてお話させていただきました。このガイドラインは企業が健康経営のPDCAサイクルを回していくことができるようガイドしており、健康経営の投資対効果を測り効果的な健康経営を進めることを推奨しています。しかし、名前に管理会計という難しい言葉が入っているため「自分達には関係ないよ」と感じていらっしゃる人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は管理会計とは何かを解説していきます。


2.管理会計とは


会計というと皆さんは何をまず思い浮かべるでしょうか?おそらく経理部門が仕事で作るものや決算報告書として報告するものなど漠然とイメージされている方が多いのではないでしょうか?実は会計には大きく2つの種類があります。それが財務会計と管理会計の2つです。皆さんがイメージしやすい決算報告書や財務諸表などは財務会計とよばれ、社外にむけて企業の会計情報を発信するために使用されます。この財務会計は様々な企業と比較するために活用されるためどの企業も同じ基準で作成されています。一方で管理会計は社内で活用するために作成されます。自社内でどのように経営を進めていくか判断するために活用されるので統一された基準がなく、企業ごとに使いやすい形式がとられています。


3.管理会計と健康経営


健康経営優良法人の認定企業数が15倍以上に増加するなど健康経営のすそ野は拡大を続けています。それに伴い数多くの健康増進ソリューションや人事施策があふれています。しかし、これら健康経営の施策が実際に効果があったかは今まで明確にされていませんでした。健康経営とは単に社員を健康にするだけを目的とするものではあります。真の目的は社員の健康へと投資を行うことで企業成長など企業の課題解決に貢献することを目的としています。多くの企業がそれぞれの健康投資を実施する中で、形だけの健康経営でなくより質の高い健康経営を実施していくために投資に効果があったか堂かを分析・評価することが必要となっています。


そこで管理会計の手法を用いて企業の健康投資の効果測定を進めるために健康投資管理会計ガイドラインが発行されました。健康経営というと経営企画や人事部門の範疇のみでとらえらがちですが、効果を測定し効果的に健康経営を進めていくためには管理会計の手法を用いてPDCAを回していく必要があります。そのために経理部門などとも協力しつつ会社一丸でとりくむという意識が大切です。


終わりに


少子高齢化が更に進行し日本の労働力不足や医療費の増加はより深刻な社会問題となってきます。そのためには国民の健康寿命や働くことができる年齢を伸ばすことや生産性をあげることが不可欠になってきます。健康経営はこの社会問題を解決するための重要なピースです。企業単位でみても人材獲得競争の過激化が予測されるため働きやすく人が集まりやすい環境創りへの投資として健康投資は今から取組むべき最重要命題です。健康経営の始めの一歩としてまずは社内の状態を可視化すること、そして自社の課題に合わせた健康投資の実施とその効果測定をスタートされてみてはいかがでしょうか?

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