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車いすと介護タクシー(ゆりの骨折~)

  • 娘ゆり(知的障害者)を骨折させてしまったことで、起こった出来事や感じたことを母親(介護者)目線で綴った備忘録です。

車いす介護

折れた左足はギブスで固定され、ゆりは車いすがなければ全く移動ができなくなった。自宅玄関には50センチ以上の段差があり、寝室も2階にあるので自宅で生活するのは絶望的。妹と母が迎えにきてくれて母のマンションへ移動した。車への移乗も一苦労。

ゆりは知的障害のため生活全般に介護が必要だが、歩行のふらつきを除き、これまで身体的な障害はみられなかった。

しかし、今回は折れた足を使えないということを理解させるのも容易ではない。自分でトイレに行こうとしてベッドから滑り落ちることもしばしば。

車いすを押してトイレまで連れて行く、排せつのたびに衣服の着脱を手伝うなど24時間目が離せない介護生活が始まった。

介護タクシー

車いす利用の場合、普通の乗用車での乗り降りは大変。
介助者は、車いすに障害者を乗せて座席近くまで移動し、車いすから座席へ移乗させなければならないが、けっこう難しい。骨折した足で立たないよう説明しながらの動作だが、ゆりに「ここを持って、体をこう動かす」と指示してもなかなか伝わらず、もどかしいのか、しばしば癇癪を起こした。

その点、車いすごと移乗できる介護タクシーは便利だが、台数が少ないのでなかなか予約がとれないのが難点。
介護タクシーにはタクシー会社が運営しているものと、一般車両を「福祉有償運送」として運輸局に登録しているものと2種類ある。福祉有償運送の手続きはものすごく複雑らしく、途中で心が折れそうになったと事業者さんに聞いたことがある。

タクシー会社の方も、そもそもタクシー運転手さん自体、コロナ禍以降不足しているとのこと。

訪問介護の中でも「通院等乗降介助」という制度はあり、ケアプランに位置付けれれば介護保険でサービスを受けることができる。しかし、報酬単価が安い上(地域ごとに異なる)、福祉有償運送の登録の煩雑さもあるのか、私の住んでいる地域でサービスを提供している事業者はほとんどいない。

通院介助は時間がかかり、働き手不足もあり、グループホームのような施設でも対応できない場合が少なくないという。
家族が元気である場合はいいが、家族(親)も次第に老いてゆき、それこそ親自身、介護タクシーのお世話になる日も近い。
この先どうなるのか…不安に思う。

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