検証:なぜ、ラストアイドルは令和4年5月31日をもって活動終了となったのか


ラストアイドル活動終了から一年、
僕が乃木坂46ヲタクの世界に入ってから色々学んだ事も含めて
とても稚拙な文章ながら振り返ってみるとする。

新しく女性アイドルグループを作るにあたり、
現在圧倒的な人気を誇る坂道シリーズとの大きな違いを表す為にはグループの「個性」が最大のファクターとなる。
そこで当初ラストアイドル運営陣は「デビュー曲『バンドワゴン』を歌う7人を選ぶオーディション番組」を題材として「女同士、一対一のバトル」を繰り広げ、2017年12月20日に正式デビューした。
ところが、上層部から「それだけでは大した収益には繋がらないであろう」との指摘を受けたであろう運営陣はバトルの敗者達を集めてあれもこれもと追加グループを作った事までは良かったものの、
CDデビュー後3ヶ月という明らかに「名前が浸透していない」時期に二期生募集を開始するという意味不明な行動に出た。
通常は名前が世間に浸透し、
一期生の知名度が高くなってから二期生を入れるのが普通であろう。
その後はプロの指導者を起用した団体行動や最高難易度のダンス、殺陣など
「普通のアイドルが行わない」事を行い、
「パフォーマンス性に優れたアイドル」というのをウリにしたかったようであるが、
側から見ればとにかく迷走が続いたとしか思えなかった。

前述のとおりそこには「坂道シリーズ」という立ちはだかる壁があり、
そんな状況でラストアイドルをなんとか「売り出す」ためにはタイアップ先のテレビ朝日とタッグを組み、
「お茶の間に『ラストアイドル』という名前を浸透させる」事が必要だった。
そのためには「乃木坂工事中」等のように「普通の人が」見ても面白いと思える、メンバー各々の個性が際立つようなバラエティ番組作りが肝となる。

何を隠そう、僕が乃木坂46の世界に入れ込むようになったのは「番組がすごく面白かったから、
ネット局がなくてもYouTubeでいつでも見れるから」という理由からである。

尚且つ、坂道シリーズのようにまだ名前を知られていないのであれば自社制作の情報番組/バラエティ/ドラマに少しずつでも登場させたり、ライブの告知をCMで行ったり、
番組のアイキャッチ/番宣CMに登場させたりなど細かな努力が必要である。

個人的に「ファン層を広げて行く」ために番組はコントやトーク等のあくまで個々の個性が際立つ「面白い」バラエティ企画を中心として行い、
過酷な企画はあくまで水面下で行う方式(番組の最後で15秒のみ告知を行う、パフォーマンスお披露目後にYouTubeで舞台裏を公開するなど)の方がやり方としては正しかったと思っている。

しかしながら、テレビ朝日/運営陣はそれを怠った。
新曲が発表される毎にミュージックステーションへの出演(大人サバイバー→君は何キャラット?まで)、系列局ドラマに数秒のみの出演、バラエティ番組にゲスト出演させるといったものはあったが、
「ラストアイドル」という名前を浸透させる事が目的ではなく「欠員補充」のような役回りだった為か一般視聴者からは「誰?」「なんの人?」としか思われなかったのが現実だ。
しかも放送開始から約2年後、
スポンサーが離れてしまい資金難のためかテレビ朝日は系列局でほぼフルネット状態からネット局を大幅に削減したのである。

一応ながらTVerやAbemaTVでアーカイブ放送は行っていたものの、
「東名阪」の名古屋/大阪でもテレビ放送は打ち切りになってしまったのだから、
これでは売る気がないと判断されても仕方がない。
ただでさえ運営陣は
「バトル中心
→バラエティ強化
→団体行動
→最高難易度ダンス
→八百長オーディション
→殺陣
→ボリウッドダンス
→視聴者参加型オーディション
→解散」という常に行き当たりばったりな行動を取る→ヲタク達に批判されるという事を繰り返したツケが回ってきたのであろう。
もちろんメンバーも大量離脱を続け、
初期から付いてきたヲタク達の他グループへの流出も止まらなかった。

おまけにバラエティも毎週毎週「過酷な企画に挑むメンバー達の苦悩を描く」というようなまるで昭和時代の根性物語を彷彿とさせるような作りであったし、
企画と企画の間のバラエティも今考えればはっきり言ってお粗末な出来であった。
その上、晩節はあまりにも酷かった。
スタジオ収録がメインで料理店店主をインタビューして「グルメ、食べられるか?食べられないか?」という余りにもくだらなさ過ぎる、まさに手抜きでしかない番組づくりを続けていたのだから。

坂道系の番組でこんなつまらない企画を放送しようものなら、間違いなくファンは大幅に減る。
暴動が起きたとしてもおかしくはない。
はっきり言ってメインMCの霜降り明星との兼ね合いも今ひとつで、全体的に「番組を面白くしよう」というやる気が感じられない。
乃木坂工事中の様に決してコストは掛けなくとも、
「工夫」次第で番組はすごく面白くなるはずだ。
そんな番組作りに誰も「NO‼︎」を突きつけなかったのだろうか。

また、SHOWROOM社とのタイアップで多くのメンバーが毎日のように配信を行っていたのだが、
時たま行われるSHOWROOMバトルでは「シングル選抜決定戦」「雑誌モデル、レギュラー決定戦」を行なっており、
推しをなんとか選抜/レギュラーに入れる為にタワー(1本1万円)を何本も建てるなどと言った「ギフト」を乱立させたりするメンバー同士、ヲタク同士のバトルが勃発していた。
以前からCDやグッズ等の売り上げで選抜を決めているというのはどこの大人数グループでも行なっているし、
最近ではVtuberなどを職業として「投げ銭」で生計を立てている配信者もおり、
もちろん否定はしないものの明らかに投げ銭に深追いをするようになると自己破産など身の破滅につながる恐れがある。

「(あくまで個人的に)〇〇ちゃんにつぎ込む!!」というのはヲタク個人の自由だが、
手元には何も残らないのが明らかな「ヲタク同士の投げ銭バトル」を運営側がSHOWROOM社とグルになって煽っていたとしか思えない。
おまけに初期のプロモーション資金回収の為か何なのかは知らないが活動終了数日前までSHOWROOMバトルを主催していたというのだから呆れる。

個人的な話で恐縮だが、
以前はラストアイドルがこのような状況だった為「乃木坂辺りはもっと課金バトルがえげつないんだろうなぁ…」と勝手に想像してしまっていたものの、
実際には(個人的な)投げ銭をする熱心なヲタク達はいるけれども「運営が仕掛けた罠でヲタクが投げ銭のポイントで争う」ような事は全く無かったのだから驚いたとともに安心した。
課金アプリこそあれども乃木フラや乃木恋など、
決して「運営がヲタク同士での課金バトルを煽っている」のではなく
あくまで「推しの為に課金している」ものであり、通常のスマホゲームと成り立ちは同じな為
深追いしすぎなければ何ら問題はない。
スマホゲームのような感覚で自分から推し活を愉しむか、
「メンバーの為」と言いつつもただ課金させて
運営(の懐)を楽しませるかの違いである。
そりゃあ前者の方のヲタクが常に増え続けるわけだ…(ボソッ

しかもラストアイドルの場合は課金に課金を重ねたバトルで選抜に入れなかったら救済措置も何もなく「カップリング曲を歌うメンバーになるだけ」という扱いになり、
ファンが「自分の課金が足りなかったから、〇〇ちゃんの願いを潰した…」等と病んでしまったり、
「あいつは貧乏ヲタだから役に立たない…」などとファン同士で陰口を言い合ったりする事も多かった。
それならば最初から配信限定のアイドルにすれば良かったのではないか?という疑問さえ沸く。

余談だが乃木坂46では選抜落ちしてアンダーになったとしたとしても「アンダーライブ」という毎シングル毎の専用ライブがあり、
そこでは例えば「あまり前には出てこないあの子が立派にセンターを務めている」「お嬢様のような大人しいあの子が思い切りノリノリではっちゃける!」などといった普段とは全く違う姿を魅せてヲタク達を愉しませる工夫がされている。
「アンダラ」には根強いファンも多く、
もちろんながらチケットは毎回争奪戦になる。

乃木坂46の某メンバーは今春のシングルでは選抜入りを果たせなかったものの、
アンダラではダブルセンターの一翼を担いミュージックステーションでは代打でセンターに抜擢されるという大活躍ぶりで
SNS上で「乃木坂のあのショートカットの子、誰!?ファンになった!!」という書き込みが多数見受けられ、
本人の名が広く知られて大幅に人気が上がっているという事例がある。

しかしながらラストアイドルはビジュアル系やパフォーマンス性にはとても優れていたのにも関わらずミュージックステーションに出演した時には多くが「この子誰?」「ラストアイドルの〇〇ちゃん」「ふーん」というやり取りで終わっていたのがとても悲しかった…。
それはテレビ朝日側も運営側も責任があり、
「ラストアイドル」という名前が世間に今ひとつ浸透していなかったからである。
どんなに良い商品でも、SNS上でメーカーに悪評が囁かれていたりその道のマニアにすら知られていなかったりしたのでは台無しになってしまうのと同じ事である。
当時の5ちゃんねるを見ていると「『青春トレイン』は乃木坂を凌駕する名曲だ!!」などと言った好意的な書き込みが見受けられたりなど
チャンスは沢山あったはずなのに、非常に勿体無い…。
放送当時、ラストアイドルヲタクの間では「ラスアイ見つかれ〜!」との合言葉でSNS上にて拡散運動が行われたが、
そのら「土台」として運営陣が元からしっかりとPRしていかなければ、その努力も水の泡と化してしまう。

この様なあまりにも杜撰な運営ぶりに
「推しを人質に取られている」と表現したヲタクもいた。
本当に喜んでヲタ活をしていれば、このような悲しいセリフなど出てくるわけはあるまい。
アイドルグループの本質は「商業主義」の為だけなのだろうか?
いや、そうじゃない。
もちろん慈善事業ではないものの
「お客様を大いに楽しませ、もっともっとファン層を広げていく」のが本質なのではないだろうか。
自分的には「20代の頃は仕事づくしで果たせなかった、第二の青春」として大規模ではないながらもヲタ活に頑張って励み、
遠方から愛車を故障させながらも現場に通っていたのだから「熱意」は確かにあった。
そんなヲタク達の思いをよそに明らかな「カネ」の匂いをプンプンさせているようでは、まだまだ二流三流である。

そんなこんなで資金が底をつき、
コロナ禍からやっと脱却する兆しが見えてきた2022年3月9日に「活動終了」を発表したのだ。
前々から噂が囁かれていたとは言え活動終了予定日から3ヶ月を切っており、
個人的に言えばテレビ局のバックアップがあったとは言えあまりに急な終わり方に
「無名な地下アイドルじゃねぇんだからそこら辺はちゃんとやれや!!」との思いだった。

公式から「コロナ禍で思うように活動が出来なかった為、活動終了を決断した」という旨の発表があったが、
坂道系も同じくライブはなかなか開催出来ずともミーグリをメインとして精力的に活動しながらファンの数を更に広げていった。
「コロナ禍で思うように活動出来なかった」と言うよりは
「路線の迷走を続けた挙句新規ヲタクが寄り付かなくなり、資金繰りに悩まされた結果活動終了を決断した」というのが真相であろう。

「磨けば光るが、磨かせない」
そうなってしまっては、他のアイドルには負けないとても素晴らしいパフォーマンスを持ってしても宝の持ち腐れだ。

2022年5月29日に開催されたラストライブでは昼夜二公演で9000人を動員したと報道があったのだが、
会場となった東京ガーデンシアターのキャパシティは着席時:7000人である。
4周年コンサートの時のように当日券が販売されることはなかったと思うが、
実際会場に合計9000人も入っていたかと聞かれると「?」である。
先日の齋藤飛鳥卒業コンサート(1日あたり5万人動員)と比べると約1/5は動員しているはずだが、
正直言ってそこまで人が入っていたとは思えない。
Twitter上では「チケットが当たらず行けませんでした…」といった惜しむツイートを見た事はなく、
チケットははっきり言って「全当」状態で入っていたのは精々6000人程度だったであろう。

デビュー当初のイベントでも約2000人の観客を集めた事もあり、
史実通り2022年5月31日で活動終了していたとしても「メンバーもヲタクも逃げない、
この先ヲタクをどんどん増やしていく」ようなキチンとした運営を行なっていれば最終ライブは満員御礼、いや、日本武道館(キャパ:約14,000人)等のもっと大きな会場を用いて開催できていたのも夢ではなかったであろう。

そんなこんなで運営を批判し続けた僕だが、
ラストアイドルのメッセージ性の深い歌詞、並びにメンバー達は常日頃から血の滲むような努力を重ねライブ等で魅せる持ち前の高い歌唱力/パフォーマンス性は高く評価しており
「売り方を見直せば…この子達の努力は必ずや報われる、絶対売れるようになる!!!!」と最後の最後まで信じていた。
だが、結果としては非常に残念な事になってしまった。
最後まで振り回した運営、
振り回されたヲタク達、そしてメンバー……。

この様な苦い経験から、
グループを推する際には「運営」が本当に信用出来るかどうかを視るようにしている。
先日乃木坂46(他)のライブ演出家による暴言問題が取り沙汰されたが、
僕は「涙ながらに告発を行った当該メンバーの処遇次第では即刻ヲタクを辞める事も辞さない覚悟だ」とTwitter上で発言した。
結果的に当該演出家は他グループも含めて担当を外され、謝罪文を掲載したものの今ひとつ的を得ていない文面で、「完全に許した」とは言いがたい。

運営側にとっては色々事情があれども、
それぐらいヲタクにとって「運営への信用」はとても大事なものなのだから…。
信用を失えば、メンバーもヲタクも減っていく。
あなたの推しの運営は大丈夫ですか?
本当に信用出来ますか…?

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