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してあげる系オタクと吠える系オタク



「今度行く女性シンガーソングライターさんのワンマンさ、わたしチケ番2番なんだよね」

「最前確定か」

「いや、プレミアムチケットってのが最前確定席で6000円であるみたい」

「じゃあ2列目だな。でもプレミアムチケット売れんのかそれ。1列目がら空きパターンあるぞ」

「この前見た舞台そうだったね。関係者席かなとか思ったけど、最後までがら空きだったから誰も買わなかったんだね」

「そうなったら虚しいな」

「でも今度のワンマンの子はね、たぶん売れると思う。オタクが強い感じなんだ。なんかさ、思わず応援したくなっちゃうタイプっているじゃん? ガツガツしてないっていうか、一生懸命タイバンやったり路上やったり頑張ってるんだけど、客にDM営業とかはしてこなくて、告知も少なくて、集客大丈夫なのかなってこっちがちょっと心配になるような……なんていうか、ちょっとポンコツな感じの」

「ビジネスポンコツかもしれんぞ」

「ビジネスポンコツだったら天才ってレベルでさ、絶妙なの。ポンコツすぎたらぶりっ子装ってる感じでウザいし、見た目が太ってたらただのモタモタしたデブになるし。その子はね、たぶん天然だと思うんだよね。すっごい素直で真っ直ぐな感じ。そういうちょっとポンコツで受け身な感じの子ってさ、吠えるオタクがつくじゃん?」

ライブに行ってオタクを見て、そのアイドルがどういうタイプか分析する。

ガツガツしてるアイドルには静かめなオタクがついて、
ちょっとポンコツ感のあるアイドルには吠えるオタクがついてる。

「自己主張激しい系アイドルには受け身なオタクがつくんだよね。チケット買ってくださいって言われて買うとか、応援してくださいって言われて応援するみたいな。「してあげる系オタク」ってわたしは呼んでるんだけどね。優しさの極みみたいな人。あんたみたいな」

「それ褒めてんの?」

「お金使ったり、「ライブ楽しかったー!」とかツイートして、アイドルさんに喜んでもらうのが目的のオタクたちだよ。地下アイドルに多いの。でも吠える系オタクは違うの。オタクの方が自己主張激しいの」

「吠える系オタク……」

「吠える系オタクはね、ロックバンドならサーフしたりモッシュしたりガツガツやるし、アイドル現場なら、アイドルを近くで見たいというよりは、アイドルさんに自分を見てもらいたいからプレミアムチケットとか買って最前行くし、ライブの感想とか、クソだったらクソって素直に言うタイプ。めっちゃ自己主張激しい。それが吠える系オタクね」

「あんたか」

「で、今度の女性シンガーソングライターさんは、吠える系オタクがつきそうなタイプだから、楽しみなんだー」

してあげる系オタクと、吠える系オタク。

どちらにも共通する要素はあるけど、
自分がどちらにいるか、そして、演者さんがどちらを引き寄せるタイプか。


「そういやチャラ男、TikTok始めるって言ってたんだろ? 始めたの?」

「いや、わたしアカウントすら作ってないから知らんけど、始めてないんじゃない?」

「俺この前TikTok削除した」

「もうTikTokは時代遅れでしょ。たぶん誰かにそそのかされたんじゃないかな。チャラ、占い的に自我欲も創作欲も皆無だから、絶対自分からは始めないだろうし、急にどうしたって感じ」

「自我欲と創作欲がなかったらあいつ何があるんだ?」

「金欲と性欲しかない。自我欲、創作欲、支配欲、全部皆無。珍しいのよ。前日で占ってもそうだから、まじで金欲性欲だけ」

「最悪だな」

「お金稼げるならで始めたパターンはあるかもね」

「チャラトック」

「チャラトックも受け身人間だから吠える系オタク引き寄せるよ。自己主張激しい系の女が集まるね。私は違うけどー」

「……」

自分の周りにどんな人が集まるか。
集まった人を見れば、自分がわかる。
他人は関係ない。変えなきゃいけないのは常に自分。

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