バンドが変わるとファンも変わる(BAND-MAID)
BAND-MAID(バンドメイド)
今は世界的に活躍するガールズバンド。
10年前の結成当時は、メイド服を着た5人の女の子が、バンドを組んだだけ。
見にくる人も、見た目がメイド服なだけに、接触目当てのアキバ系オタク。
今は、チェキはチェキ券として売られることが多いけど、当時はCDやTシャツなどのグッズを買ってくれた人の特典としてチェキを撮ってました。
グッズを買ってくれた人に、メイドなので、「お給仕券」として小さな紙を配布。
何枚か集めて、ツーショットやら、集合写真やら。
ある日、それをパッタリ辞めた。
ライブ後の物販で、
「すみません! 物販時間がないので、ここで終了とします! 持ってるお給仕券は次回に使えますので!」
というアナウンスがされたけど、その「次回」は、わたしの知る限り、なかった。
わたしの手元には、使い損ねたお給仕券がまだあります。
接触目当てでグッズを買ったファンたちの不満がツイッターに溢れる。
その頃からかな、アンコールがなくなった。
ワンマンなのに、アンコールがない。
いくらファンたちが「アンコール! アンコール!」と叫んでも、出てこない。
「BAND-MAIDはアンコールやりません!」
と、言い切った。
叫び損して微妙な空気になる中、しぶしぶ帰るファン。
ワンマンなのに、60分程度の速さで終わるライブ。
物販での接触もない。
結成したての頃に支えてくれてたアキバ系オタクたちは一気に離れた。
ここが、BAND-MAIDの1つ目の転機。
客層が変わった。
若い人や、激しいメタルが好きな四、五十代の男性が増えた。
相変わらず男女比は、99.9%男性でしたが。
ライブはどんどん激しくなった。モッシュやサーフが当たり前に起こる。
人が、人の上を流れていく。
そうなってくると、あまりに激しく、秩序なく暴れる人も増え、
ちゃんと彼女たちの音楽を楽しみたい人が、ツイッターに不満を書くようになる。
「モッシュはともかく、サーフするやつマジでうざい」
下北沢の、どこだったか忘れましたが、キャパ150くらいの小さなライブハウスでの話。
もう500くらいは余裕で動員できるレベルなのに、いつまでこんな小さな箱でやっているだろうと、疑問に思った。
明らかにキャパオーバーなのに、人がギュウギュウに押し込まれていた。
その中で、サーフが起こった。
持ち上げられた1人は、天井にあるスピーカーをぶっ壊した。
「落ち着くっぽ! 危ないっぽね!」
小鳩さんが声をかける。
そんな中、わたしに事件が。
サーフはいつも中央か、ギターの歌波側で発生することが多いので、ベースのMISA側にいるわたしは油断していた。
サーフが近くで起こると、ドドドっと波が押し寄せるように人が動く。
「あ、こっちくる」
気づいたときには遅く、振り返ると同時に、こめかみあたりに思いっきり蹴りがヒットした。
バランスを崩して頭をおさえたわたしの上に、大の男が降ってくる。
そのままビタンと床に叩きつけられるように落ちた男。
そのとき、
「女いんだよ!!!!!!」
わたしの近くにいて、おそらく一緒に蹴られたであろう若いお兄さんが、ブチギレて、落ちたと男を蹴り飛ばした。
それに加わるように、サーフをする男に不満を持っていた人たちがどさくさに紛れて一緒になって蹴り飛ばして、
まぁ、なんか、
ボコボコにされてました。
そのあたりから、モッシュやサーフがどんどん問題視された。
決定的だったのは、渋谷eggmanだったと思うのですが、
サーフで運ばれた男がステージに乗り上げ、小鳩さんのマイクスタンドをぶっ倒し、
そのマイクスタンドが小鳩さんの顔面を直撃した。
あの場にいた全員が、言葉を失うほど青ざめてて、
彩姫さんは、もうブチギレ状態で、
さすがにサーフした本人もやばいと思ったのか、それから一切しなくなり、微妙な空気の中、小鳩さんの怪我の治療(鼻に絆創膏を貼って出てきた)が終わってライブ再開。
このあたりが、たぶん、2回目の転機。
「モッシュ、サーフ禁止」
と、公式がしっかり言うようになり、
サーフ大好きおじさんたちは、離れた。
それから徐々に、ほんとうに徐々にですが、女性ファンが増え始めた。
まだまだ書けます。
10年見てきました。
小さなライブハウスから始まった1つのバンドが、横浜アリーナや、世界で活躍するバンドに成長するまで。
バンドがしっかり方向性を示す。
アキバ系の、ただのアイドルバンドで終わらなかったBAND-MAID
ずっとついていくファンもいるけど、その時々で支えて、離れていったファンもいる。
ずっとチェキ物販をやっていたら、今のBAND-MAIDはないし、激しく暴れたおじさんファンのおかげで、激しいロックバンドというイメージができた。
大好きなバンドなので、またそのうち書きたいと思います。
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