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推し活していると色んな人に会える



推しが出る舞台を主人と見に行くと、配られた舞台のチラシに、見たことある顔の人がいて驚いた。

「え!? 隅田美保ってあの隅田美保さん!? アジアンの!?」

「知ってるのか?」

「あんた知らないのアジアン、めっちゃテレビ出てた人だよ」

「アジアンはなんとなく知ってるけど、ネタは知らんな」

ここ10年くらいテレビをまともに見てないわたしでも知ってる。

10年前といったらまだお笑いブームが続いてて、女芸人と言われてイメージするのは、森山中か友近かアジアンだった。

「今は舞台やってるのかな、すごいね。え、てか朝倉さん(推し)がすごいね。隅田さんと出れるなんて。オファーしたのかな」

「チェキ撮れるみたいだけど、撮るか?」

「いやいいよ、恥ずかしい。隅田さんの凄さ、朝倉さん知ってるのかな。10年前とかだから、あんまり知らないのかも」

「可能性はあるな」

「あの頃めっちゃお笑い見てたなぁー」

「物販行ってくるわ」
わたしを残して席を立つ主人。

戻ってくると、
「はい、チェキ券」と、チェキ券を2枚渡された。
チェキ券を見ると、朝倉さんと隅田美保さんのものだった。

「ええええー!! 撮るの!? ええぇー!!」

話すことない、初対面だし。
「昔からファンでした!」とかではない。

あの頃は帰宅したらテレビをつけるのがまだ習慣だったころで、「推し」とかはなく、お笑いだったら「この芸人さんは面白いなぁ」と、なんとなく見ていたくらいなものだ。

テレビに出てる人。一流芸能人。

困った。失礼のないようにと、急いで「隅田美保」と検索して調べたら、
なんと、アジアンはすでに解散していた。

「アジアン解散してるじゃん」

「そうなのか?」

「よかった調べといて。アジアン好きですとか言っちゃったらめっちゃ失礼じゃん」


舞台を観て、終わり、チェキへ。

「隅田美保さんの1番をお持ちの方ー!」

「はい!」
席を立ち、前へ行き、舞台に上がる。

「こちらでお待ちくださいね」

しばらく待っていると、隅田美保さんが現れた。

「あ、はじめまして」
とりあえず挨拶する。

「あらあらあらあらー、まさかまさか買ってくださる方がいるとはー、本当にありがとうございますー」

芸人さん特有の、人を笑わせる喋り方に、思わずクスリとする。

「場所どっちにします? こっち? ここ?」

「あ、じゃあここで」

「ポーズは何かします?」

「あ、普通にピースでいいです」

「あ、この子使いましょ」
すると、後ろに置かれた舞台で使ったぬいぐるみを出して、私との間にちょうど写るようにセットした隅田さん。

あえてそのぬいぐるみを使うのかと、笑った。

「じゃあ撮りますねー! はいチーズ!」

カシャ。

「これでいいですかー?」

「はい、大丈夫です」

スタッフさんからチェキを受け取ろうとしたら、

「あ、じゃあ私から渡しますねー」
と、隅田さんが受け取り、

「本当にありがとうございますー。Xとかやってたらぜひぜひ書いちゃってくださいー。見に行きますのでー」

「はい、ありがとうございます!」

隅田さんから手渡しでチェキを貰った。

席に戻る。
「どうだった?」と主人。

「めっちゃいい人。わー、すごいなー。これめっちゃ記念になるよ」

「俺、つぎ朝倉な。でもヨヨジョのツキナともチェキ撮るんだよ。朝倉と被ったらキレられそう、やばいんだよ」

推しの朝倉さんに、別のアイドルのツキナって子とチェキ撮ってるところを見られたくない主人は、なんとか時間がズレてほしいと祈ってる。

どうでもええわ。

「朝倉さんの4番お持ちの方ー!」

「はい!」

また舞台上に行く。

「さっきさ、隅田さんともチェキ撮ったんだー! すごいね、本当すごい」

「いやほんと私もそう思います! 出てくれて、本当すごいなって!」

推しの前で堂々と別の人とチェキ撮ったことを報告するわたし。

わたしに話を合わせて会話してくれる推しはとても優しい。


推しと話すのが目的のチェキだけど、今回はチェキそのものを素直に喜べた。

調べたら、今は舞台を中心に活躍してるそうで、また朝倉さんと出てくれたら嬉しいなと。

推しについていくと、色んな場所に行き、色んな人に会える。

それが嬉しい。

昨日はすごい人に会えました。
推しも、もっともっと活躍して、もっともっとすごい人と会えるといいな。

推し活は面白い。

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