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あれから10年



ウエディング写真撮影。

「もうちょっと顔を寄せ合ってくださいねー」

「やだ! もういいよ。気持ち悪い。やだ」

「えええ!? 奥様、そんな……」

ウエディングドレスを着た花嫁が、花婿と顔を近づけるのを全力で拒否。

慌てるスタッフさん。
私の特性を知ってる主人は苦笑い。

「一回だけ我慢しろ」

「そうですよ。せっかくのウエディング写真なので。今回だけ我慢しましょう奥様」

「我慢」という言葉を使われるほど、顔を寄せ合うのは大嫌い。
顔だよ? 顔に相手の体温が近づくわけだよ?
息もかかるし、気持ち悪い。

よく女の子たちが顔をくっつけて写真を撮ってるけど、気持ち悪いとか思わないのかなと思う。私は無理。もうずっと無理。相手が誰であっても無理。キスなんて特に無理。吐き気が抑えられない。

仕方なく、我慢して我慢して撮られたウエディング写真。

あれからもう10年か……。


「ねぇ。婚姻届出した日さ、なんかめっちゃ雨降ってたじゃん? 覚えてる?」

「あぁ、最悪だったな。土砂降りで」

2014年6月6日が結婚記念日。

結婚しようという流れになったときに、「じゃあ覚えやすい日にしよう」となり、直近で1番覚えやすい6月6日が選ばれた。

その日は朝から土砂降りの雨で、区役所までのバス停で主人とバスを待ってるときに、すでにびしょ濡れになってた気がする。

「あの日の天気さ、なんか台風とかだったのかなって思ってこの前調べたんだ」

【2014年6月6日 天気】
で、検索した。

出てきた結果に驚愕した。

【東京都心の日降水量123.5ミリ、
6月の日降水量としては1966年以来48年ぶりの大雨】

「台風じゃなかったんだけど、東京は48年ぶりの大雨だったって」

「は!?」

狙ったわけじゃないのに、48年ぶりの大雨を引き当てる夫婦。

「すごいよね。よくそんな日に婚姻届出しに出かけたよねうちら」

「だからあんた雨女なんだよ」

「でもおかげで絶対忘れない日になったじゃん」

雨が降ると記憶に残る。

とんでもない日にとんでもない女と結婚した主人。

あれから10年か……。

結婚記念日は、毎年豪華な食事に連れて行ってくれたけど、雰囲気だけ楽しくて、食に興味がない私。

食よりも体験がしたいタイプで、それに合わせて、何年か前からは結婚記念日は旅行するようになった。

毎年、当日までどこに行くのか知らされない。

普通の女の子だったら、旅の準備とかで嫌がりそうだけど、私は体験が重要で、サプライズとか大好きで、

去年は福岡だと思ったら、福岡に着いた瞬間パスポートを渡されて、そのまま韓国に連れて行かれた。

本当にすごい人。面白い人。

こんな私と結婚してくれたことがありがたく、いつ捨てられてもおかしくないのに、10年も一緒にいてくれた。感謝しかない。

人を喜ばせたり、楽しませる才能のある人。
そんな人のそばにいると、私も何かしなきゃと焦る。

何か、恩返しができているだろうかと。

結婚は良いものです。
私は結婚して人生が変わったので、まだ独身の人にも、ぜひ結婚してほしいなって思います。

子供ってなると色々問題があるけど、結婚なら、いつでも紙一枚でできる。
それがダメになったとしても、経験として大きく成長できる。


さて、今年はどこに行くのだろう。







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