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お金の価値は変わらなくても



7月4日 午前11時30分。

「わ! 新札なんですね!」

よく行く飲食店で少し早い昼食をとっていると、レジの方から声がした。

「そうなんですー!」

レジには学生バイトと思われる若い女性の店員さんと、今まさに会計が終わってお釣りを受け取った50代くらいの女性客。

「今日から新札になったみたいです!」

張り切ってニコニコしながら言う店員さん。
お釣りを受け取った女性客も、ニコニコしている。

その様子を見て、すごいなと思う。
この店の経営者が。

今日から新札といっても、日付が変わったらレジから新札が出てくるわけではなく、必ず誰かが銀行に行ってる。おそらく経営者だろう。

窓口は9時に開く。早い人は8時半くらいから並んでいるかもしれない。

両替機から出てくる新札は1万円札のみなので、釣り銭として使う5千円札、千円札は、窓口に行かなければいけない。

窓口に並んで、用紙に記入して、770円の手数料を払って、新札に両替してもらう。
お店に戻って、レジに旧札と新札を入れ替えてセットして、やっとレジから新札が出てくるようになる。

今は11時半。銀行窓口が開いてからたった2時間半で、レジから新札を出てくるようにした、この店の経営者さん。

窓口での両替は、両替機での両替より手数料がいくらか高い。
別に、わざわざ新札にする必要は全くない。

それなのに、わざわざ新札に両替しに行った。



お釣りを渡す店員さんはきっと楽しい。
「新札で、お客さんびっくりするだろうなぁ〜」と思いながらレジを打つだろう。

お釣りをもらうお客さんも、どんなに不機嫌であったとしても、新札を見れば、
「お!」と、絶対びっくりするだろう。そして、気分が良くなる。
思わず店員さんに、「新札なんだね」と話しかけたくなるだろう。

お金の価値はなにも変わらない。
それなのに、こんなにも気分が良くなる。
初めて受け取る新札が、この店だったら良い。
そんな気持ちなのかなと。

商売人としてというより、人として、人として誰かの笑顔のために、自分の利益なんて考えずに動いた、この店の経営者。

特別すごいことをしなくたって、人を喜ばせることはできる。
サービス精神の高さ。

的外れで失敗するときもあるけど、人の笑顔のために動ける人間になりたいと思う。

商売をやってる人も、やっていない人も、
日常的に、「こうしたら面白いんじゃないかなー」「こうしたらこの人は笑うかもしれないなー」と考えて過ごしている人は、たぶん今日、銀行に行ってるはず。

20年ぶりの新札発行。

こんな楽しいイベントを逃すはずはない。

家族とか友達に、

「ねぇ見て見て! ジャーン! 新しいお札!」

と、見せびらかすのも楽しい。
手数料770円以上の価値がある。

SNSにアップするのも楽しい。


7月4日。今日、新札を手にした人は、どこで手にいれましたか? 銀行ですか? どこかのお店ですか? お店だとしたら、そのお店はきっと良いお店です。

新札は、なるべく早く手にしてください。運気が上がります。


今日はわたしは、8時半から銀行窓口に並びました。



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