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好きじゃないライブ



そのライブハウスは縦に長い形をしていて、キャパ50くらいの小箱。

私が行ったときには10人程度のお客さんが椅子に座って、フロアの後ろの方で見てました。
フロアの前の方、ステージ近くが空いている状態。

客が少ないライブでは、最前に行くのは少し恥ずかしい。
好きでも嫌いでもないシンガーさんで、ただなんとなく歌を聴きに来た感じだとなおさら。
そんなに熱狂的なファンだと思われるのも嫌なので、2列目以降に座ることが多い。

ちょうど入れ替えのタイミングで、対バン相手がステージ上で準備していました。

私も元々いるお客さんたちと同じように、フロアの後ろの方に座りました。

そのとき、スッと私の横を通って前に歩いていった人がいた。
見ると、一応目当てのシンガーさんでした。

スタスタと、おそらく知り合いの演者さんと2人でステージ最前へ歩いていくと、そこで立ち止まり、椅子に座るわけでもなく、2人でお喋りしながら立ってました。

ステージは狭く、縦に長いライブハウスで、最前に2人で立っていたら、後ろに座って見ているお客さんはステージが全然見えなくなる。

え 
まさかそこで見るつもり?

対バン相手の演奏が始まりました。
まさかまさかのそれでした。
最前で2人して、対バン相手の演奏を、体を揺らしながら見ていました。


たしかに、座って見なきゃいけないルールはない。
前が空いてるなら前に行くのもありだと思います。

でも、あなたたち、演者ですよね?

その人たちの気持ちを想像すると、
「対バン相手のライブを盛り上げてあげよう」という善意で前に行ったのだろう。

この、「演者同士で盛り上げる行為」が、私は好きじゃなくて、スッと冷めて、もうその人のライブには行かなくなりました。

後ろに座っている、お金を払って見に来ているお客さんが、ステージが見えにくくなったとしても、この人たちの中では、
「ライブが盛り上がっているように見せる」ことが重要なんだなぁと。

発表会ライブと呼んでます。

演者同士の馴れ合い発表会に客を呼んでるだけ。
犬猫のじゃれあいを見ている気分。

あー、はいはい。仲良しですねー、可愛いですねー。と、内心「勝手にやってろ」と思いながら見ている。

仲の良さをアピールされたところで、客である私は絶対にそちら側には行けないので、ハブられているようで苦しくなる。あれはなに。
馬鹿みたいにふざけあって、デレデレして、客にその様子を見せて、あれはなに。

こちらに何を感じてほしいのだろうか。

「ライブ、よかったら来てください」

と言いながら、自分たちが楽しければそれでいい人たちなので、お金を払って見る価値はないし、無料でも時間の無駄なので本でも読んでいた方がよっぽどいい。

ライブ終わりの挨拶で「楽しかったです!」と言うのが三流で、

一流は「楽しんでいただけましたでしょうか」と言います。

ライブ、舞台、お笑い。
アイドル、シンガーソングライター、バンド、役者、芸人。

色んなエンタメがあり、それに関わる人もたくさんいますけど、
音楽のライブはとくに、発表会をやっている人が多い。

発表会ライブにうんざりしてきたときに、たまにヨシモト∞ホールに行きます。

全然知らない芸人さんでも、「楽しませよう、笑わせよう」と、必死でネタをやる。
必死すぎて、空回りすることはあるけれど、お客さんの反応を1番大事にしている。
自己満足では成り立たない商売。

一流でも三流でも、ライブでもお笑いでも、学べることはあり、楽しもうと思えば楽しめるけど、

色々見るからこそ、何が面白くて、何がより優れたものなのかが見えてきます。

好きじゃないライブもありますが、エンタメは楽しいです。

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