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サポートという仕事



「あのギターの人って、推しですか?」

「え」

「ツイッター……じゃなくてXに上げてたじゃないですか。手作りの栞の」

「あー……、推しというか、ライブあったら行く人」

「ギターの先生なんでしたっけ?」

「一応そうだけど、もう習ってなくて」

「え、そうなんですか? その人、先生は続けてるんですか?」

「んー、どうなんだろう。たぶんやってるんじゃないかな。アイドルとかアーティストのサポートやってて、ライブあれば行く感じ」

「へぇー、いいですねー、推し。かっこいい感じですもんね!」

知り合いの女の子から聞かれる。

推しですか? 
推しの定義は分かりませんが、ライブがあれば行く人です。
かっこいい感じではなく、ごく普通にかっこいいです。性格以外。しらんけど。

その女の子は、推される側の人なので、
「推し」という言葉をよく使うし、他人の「推し」に敏感です。

「今度エイジアでやるみたい。ギターサポートで」

「エイジア! え! すごい!」

渋谷エイジアはやはり有名です。
もしかしたらその子も出たことあるかもしれないですけど。

「フェスみたいな感じなんだけど、11組サポートするみたい」

「は!? 11組!?」

「やばいよね。サポートだから、アーティストが変わってもずっとギターで出続けるの。60曲くらいやるんじゃないかな」

「やばっ!! 何ヶ月前から準備するんだろ…」

ステージに立つ側の人間だから、準備期間は気になるようです。

私も気になります。

27歳からギターを始めて、初めて知りました。サポートという仕事を。

このnoteを読んでいる人の中にも、そんな仕事があることを知らない人もいるかもしれません。

それまで、ギターは弾き語りとか、バンドで弾くものだと思っていた私にとっては衝撃的でした。

バックバンド。
他人の曲を演奏する人たち。

ギター初心者向け動画に、
「譜面を見なくても弾けるようになる!」とか
「コード進行の覚え方!」なんてものがありますが、

ギターをしばらくやっていると、譜面を見ないで弾くより、「譜面を見ながら弾く」ことの方がはるかに難しいことに気づきました。

サポートは、相当なスキルが必要です。
その上、愛着のある自分の曲ではなく、演奏するのは他人の曲で、
しかも、どんなに良い演奏をしても、主役にはなれない。
縁の下の力持ちというか、陰で活躍するすごい仕事です。

見てると面白いんです。ずっと譜面を見てるから。何考えてるんだろうなぁと。
常に頭を使う仕事。

今度エイジアでやるライブは、18組が出るフェスなのですが、サポートはずっと一緒。

弾き語りの人と、グループで出る人以外は、常にステージに立つ。

1組25分のステージで、11組のサポート。
単純計算で275分、4時間半。

肩が壊れます。

サポートはギターだけではなく、ベースもドラムもいるのですが、

なかなかエグいことをさせる団体で、最高に面白いです。
心の底から「頑張ってください!笑」と思ってます。

ほとんどの人が好きなアーティスト目当てでライブに来る中、1人くらいはサポート目当てで行っても良いんじゃないかなぁと。

11組も出るそうなので、行けばだいたい見れます。
5月4日渋谷クラブエイジア。
300人動員を目指しているそうなので、よかったらぜひ。








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