見出し画像

マッチングアプリで出会っても



3、4ヶ月前に、仕事で関わりのあった30歳くらいの男性から、主人にLINEがあった。

「近くにいるのであとで寄ってもいいですか? 彼女も一緒なんですけど」

と。

「なんか木村くん、あとで寄りたいみたいだけど大丈夫? 彼女も一緒みたい」
とわたしに聞く主人。

「別にいいけど、どうしたんだろうね」

数時間後に、彼女と一緒に職場を訪ねてきた木村くん。

「あ、こちらは今お付き合いしてる彼女です。で、こちらは堀江さんご夫婦。とてもお世話になった人たちなんです」
わたしたちに彼女を紹介し、彼女にわたしたちを紹介する木村くん。

「初めましてー」
と彼女さんに挨拶するわたし。

それから木村くんは主人と雑談を始めて、わたしと彼女さんは取り残される状態に。
初対面とはいえ、年齢も近そうだったのでとくに緊張せず会話しました。

「木村くんとはどこで知り合ったんですか?」

「あ、アプリでなんですけど」

「なるほどー」
マッチングアプリか。内心、軽いなーと思う。

「これからどこか遊びに行くんですか?」

「えっと……、彼の家に行くところで……」

ん?

「あ、初めて行くんですか?」

「そうなんです」

んんん。これはもしや。
ピンときた。

そのときタイミングよく木村くんがやってきたので、彼女さんを主人に任せて、離れたところに連れて行く。

「木村くん、彼女さんから聞いたけど、マッチングアプリで出会ったんだってね」

「あ、そうなんです!」

「これからどっか遊びに行くの?」

「え、えっと、自分家で、菓子食いながら映画でも見ようかなと……」
急にソワソワし出す木村くん。

ははーん。

「そうなんだ。お家デートね。ゆっくりできていいもんね!」

「はい!」

なるほどなるほど。

彼女さんからしたら、アプリで知り合った男の家に初めて行くという、下手したら殺されるかもしれない恐怖を感じるタイミングで、彼女さんを連れてわたしたちに会いにきた木村くん。

「これは彼女さん。めちゃくちゃ安心するだろうなぁ」
と思いました。

それから彼女さんを連れて、木村くんは帰っていきました。



今日。
その木村くんが、今度は1人でわたしたちを訪ねてきました。

「結婚することになりました!」

と。

出会いからわずか半年のスピード婚。

「やっぱりね! 絶対すると思ったもん! おめでとうございます!」

めちゃめちゃ上手く、かっこよく決めたなこいつ。と。

出会いはマッチングアプリ。
簡単に会えてしまう分、信用されにくく、不安なもの。

男の人は、好きになった女性を不安にさせることを嫌うので、どうしたら安心させられるのかを考えた結果、あのタイミングでわたしたちに会わせたのだろうと。

「結婚記念日って、書類を出した日になるんですかね」
と主人に聞く木村くん。

「いや、それは自分たちで決めていいと思うよ」
と主人。

「結婚のことはこの人に聞くのが1番いいよ。3回も結婚してるからね。結婚のプロ」

「うるさいよ」

「離婚も2回してるからね。離婚のプロでもある」

「うるさいよ」

そんな冗談を言いつつ、
結婚に進む男性は、勢いがあるなぁと。

結婚は、勢い。

長い間付き合って、あーだこーだ条件を並べてる人より、

この人だ! って決めたら突き進むパワーがある。
どうしたら安心させられるか。どうしたら信用されるか。
相手の立場になって考えられる人。

「わたしたち、彼女を安心させる材料に使われたね」

なんて言いながら、
安心させられる材料と見なされていることに、とても嬉しく思いました。

ご結婚、おめでとうございます。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?