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舞台な女【ネタバレあり】



舞台を見終わった後……。

「めちゃめちゃよかった! 今まで観た舞台の中でも1番よかったかも。脚本も役者もハイレベル。初めてかもしれない、もう一回観たいって思ったの」

「もう一回観るか?」

「いやいいよ。高いでしょチケット」

「いや、チケットはあるんだよ。1枚。明後日のが」

「はぁぁぁぁ!?!?!? なにあんた、全通するつもりだったの?!? お金使いすぎでしょ!」

「い、いや違うよ。二回くらいは観ようかと思って。い、一応買ってて。あ、あんたが行きたければあげるから」

そんなこんなで、主人から一枚チケットを奪い、12日も行くことに。


推しが出てればなんでも行く主人と違い、わたしは内容や会場で選ぶ。

舞台はとくに、見ているこっちが恥ずかしくなるようなレベルの低いものもあるので、慎重に。

昨日観た舞台は、

「舞台な女」
脚本・演出 山本梨央
シアター・アルファ東京

恵比寿駅から徒歩3分のところにあるシアター・アルファ東京は、小規模劇場ながらとても綺麗。

階段もトイレもオシャレで、座席は映画館のように柔らかく、前の人との段差もあり、とても見やすい。

この劇場を使えるというだけで、結構なレベルの役者さんたちが出るというのが分かる。

短編3つの舞台でした。

1話目の「おどし玉」

他人との衝突があるたびに、シュキーン! と音がして、持ってる封筒の中に、その相手の弱みとなるような写真が出てくる。

不倫現場の写真やら、整形前の写真やら。

それをネタに、相手を脅して、自分の思い通りにコントロールする。

でも、何回も繰り返すうちにバチが当たり、自分が酷い目に遭う。

因果応報。

2話目は「ニコイチ」

レナとユナという女の子の二人組が出てくる。
仲良く、いつも一緒。

ある女性がユナとすれ違うときに、肩がぶつかった。
そしたらレナが、「わたしにもぶつかって!」とその女性にお願いする。

「ユナが楽しいときはレナも楽しくて、ユナが悲しいときはレナも悲しくて、ユナが痛いときはレナも痛くなきゃダメなの! だからぶつかってきて!」

と。
わけわからんなぁと。
最初は微笑ましかったが、だんだんとエスカレートしてきて、

「ユナはそんなダサいピアスしないで! レナと一緒に今度可愛いの買いに行こう!」

と、レナがユナを束縛しだす。

「ユナはレナのこと好きだよね。レナとずっと一緒にいたいよね。死ぬときも一緒だよね?」

高いビルの上で、

「ユナ。レナとずっと一緒って言ったよね? じゃあ、一緒に飛ぼう?」
レナがユナに詰め寄る。

突然、ライトが消えて真っ暗に。

「キャーーーー!!!」という悲鳴が劇場全体に響き、

ダンッ!!!
と、何かが落下する大きな音。

心臓がバクバクとするほどの恐怖でした。

束縛。執着。依存。

3話目は「運貯め師」

二人組のお笑いコンビ。
全然売れなくて、8年目。

運貯め師という神に出会い、運の奨学金制度とやらを説明される。

「あなたに運を貸しましょう」

コンビは運の力でどんどん売れる。

「今度大きな仕事があるの! だからまた運を貸して!」
どんどんどんどん運を借りて、どんどんどんどん売れる。

そんなときに、運貯め師から言われる。

「もう上限です。これ以上運は貸せません」

さて、どうなる。

その後、不幸な出来事がある。

でも、運貯め師は言った。

「あなたに運は貸しましたが、あなたは運を使っていませんよ」

「どういうこと? だって、運の力でここまで売れたじゃない」

「運の力ではありません。あなたの実力です」

要は、思い込みの力。



ネタバレになるので、ざっくりとしか書けませんけど、
内容を知った上で、もう一回観たいと思える舞台でした。

良い舞台って、テーマが分かります。

とくに3話目はすごくよかったです。

運の力だと思っていたのが、実は実力だった。

でも、その実力を発揮できたのは、勘違いのおかげ。

勝手に勘違いして、勝手にやる気になって突き進めば、見えてくるものがあるのかなぁと、
とても前向きになるようなお話でした。

脚本も演出も素晴らしいし、役者さんもハイレベル。
とくに、木村葉月さんという方の演技が光っていました。
調べたら、「相棒」にも出たことあるんですね。そりゃすごいわけです。華があります。



「あたしの運、100万あるから! 今日も絶好調」

「あんた俺から運奪ってんだよ。チケット返せ」

返しません。
明日も行きます。楽しみです。




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