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アメリカ—避難所に温かい食事を。食品ロスを防ぐNPOが災害時に活躍(2024/1/21)

今週にかけてアメリカでは、異常な氷嵐による被害が広がっています。道路は凍りつき、強い雨や風、雪が降り続きます。酷いところでは気温がマイナス40度にも達したため、電気自動車が全く動かなくなるという事態にもなっています。

西海岸の大都市ポートランドでも、自宅を出て、避難所での生活をする人たちがででいます。電線が凍り落ちて電気やガスが止まったり、道路が凍って寸断されたりしているためです。

ある日のこと。大寒波で店を開くどころじゃなくなった、とある北西区のベーグル屋さんが、作ってしまった15キロものベーグルの処分に困っていました。店主は地元のフードバンクNPOに電話をかけました。
「道路が凍っていて、私たちが北西区まで行くのは無理でした」と、NPO「ミルク・クレート・キッチン」の創設者キャスパーさんは言います。「でも、私は北西区に心当たりがありました。店まで歩いて辿り着くことができ、余ったベーグルを活用できる団体を」
キャスパーさんは北西区近くの避難所「フレンドリー・ハウス」に連絡を取りました。そこなら、ベーグルを廃棄しなければならなくなる前に、過酷な環境で過ごす避難民に配布することができます。

今回の大寒波で、レストランや食品販売会社は大ダメージを受けています。お客さんは来ないし、流通は止まるしで、倉庫にはこのままダメになっていくしかない食品が溢れています。
こういう時こそフードバンクNPOの出番です。ふだんはレストランや食品会社の廃棄・余剰の食材を使って食事を作り、必要な家庭に個配をしているこうした団体は、市全体にゆるい横のつながりを持っています。今回のような大寒波で、どこかのレストランが営業を止めていたら、そこに辿り着くことができるNPOが、廃棄するしかなかった食品を有効活用して、避難所などの必要とされているところに届けることができます。

水曜の午後、ミルク・クレート・キッチンのキャスパーさんは、避難所の社会福祉担当者からの要請を受けて、100食のあたたかい食事を作り、それを自分のSubaru車で運び、オレゴン市避難所に届けました。
「本当に素晴らしい」と避難所の担当者は語ります。「彼は私たちスタッフの分の食事も用意してくれていた。避難している人たちも、温かい食事をとることができて気分がとても良くなったようです」


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