【シティリーグシーズン2優勝】カビゴンコントロール解説
はじめに
12月2日にカビゴンLOを使ってシティリーグシーズン2で優勝することができました。
チャンピオンズリーグ京都でもカビゴンLOで参加し、そちらは5-3とふるいませんでしたが、現行レギュレーションの区切りとして現時点でカビゴンLOについて私が知っている限りのことを解説したいと思います。
前半ではそもそもカビゴンLOとは、コントロールとは何なのかについて説明します。
こちらはできるだけ多くのプレイヤーに見ておいてほしい内容なので無料としています。
後半では採用カード、採用候補カードの採用理由の解説、各マッチアップの解説(カビゴンLO視点、相手視点)を説明します。
こちらはカビゴンLOを使う場合にも、使われる場合にも理解しているかいないかで勝率に影響するような内容となっており、強くなりたい人にだけ読んでもらえれば構いませんので有料としています。
(公開を急いだ側面があるため、全体的に加筆を予定しています。)
カビゴンLOとはどういうデッキか
カビゴンLOはカビゴンの特性とおせんぼによって相手の攻撃できないポケモンをバトル場にしばり続け、最終的に相手の山札が切れることで勝利することを目指すデッキです。
デッキの内容は上記のとおりわかりやすいのですが、よく耳にするのがカビゴンLOはLOと言えるのか、といった話題です。
カビゴンLOは能動的に相手の山札を削らないためLOとは言えないのではないか、能動的でなくても山札切れで勝つのだからLOなのではないかといったように様々な意見がありますが、混乱を招いている要因はデッキの速度と勝利手段がLOという言葉でひとくくりにされてしまっていることかと思われます。
デッキの概要を正確に説明するうえで、このデッキの速度帯と勝利手段は明確に区別しておきたいので、まずはここから説明します。
コントロールとはデッキの速度を表している
カードゲームにおけるコントロールという言葉は一般的なシーンで使われるコントロールとは若干意味が異なり、そのデッキの速度を表すために用いられます。
デッキの速度を表す言葉はコントロール以外にアグロ、ミッドレンジが代表的です。
速度が速ければ速いほどアグロなデッキ、遅ければ遅いほどコントロールなデッキ、中間あたりの速さであればミッドレンジに属します。
一般的に、デッキの速さとはそのデッキが決着までに想定しているターン数が指標となります。
目安としては、序盤数ターンでの勝利を目指すとアグロデッキ、5~8ターン目で勝利を目指すとミッドレンジデッキ、それ以上のターン数をかけて勝利を目指すとコントロールといったところです。
アグロに寄るほど攻撃的なデッキ、コントロールに寄るほど防御的なデッキという見方もできます。
ここで、ポケモンカードゲームではコントロールという言葉以上に、アグロ、ミッドレンジという言葉はほとんど使われることがないことに気づきます。
その理由にはこれまでの文化的な側面もあるかもしれませんが、それ以上にポケカのゲーム性と、上記の決着ターン数によって速度帯を決定するというのが必ずしも一致しないことが原因かと推察しています。
というのも、ポケカにはV、exといったきぜつした際にサイドを複数枚とられるポケモンが存在します。
お互い最速でサイドを取り合った場合でも、Vやex主体のデッキ同士の対戦よりも、非ルール主体のデッキの対戦の方が勝利までのターン数は多くなります。
では非ルールデッキはVやex主体のデッキよりもミッドレンジなのか?というと決してそんなことはなく、ロストバレット等を筆頭にむしろかなりアグロチックなデッキが多いように感じます。
一方で、ルール持ちデッキの方もミライドンexやトドロクツキexのような攻撃的なデッキもあれば、リザードンexや雪道ミュウのような中速寄りのデッキも存在します。
要するに、ポケカではルール持ちポケモンをどれくらい採用するかで絶対的なゲーム速度がある程度決まってしまう反面、デッキとしてどれくらい攻撃的なのかはまた別の話であることがわかります。
このようにデッキの攻撃性、防御性とその速度が現実的にも直感的にも一致しないことが、アグロ、ミッドレンジ、コントロールという速度によるデッキ種別がされていない要因だと考えています。
【小話】ポケカにおけるアグロ、ミッドレンジ、コントロール
一方で、個人的にはデッキ内の攻撃用カード、防御用カードの割合で種別することで適切に速度を分けることができると考えています。
ポケカには色々な種類のカードがありますが、デッキに採用されたカードは全て、攻撃用カード、防御用カード、潤滑用カードに分類することができます。
攻撃用カードとは自分のサイド獲得を後押しするためのカードです。
攻撃するためのポケモンや攻撃のためのエネルギー、効率よくサイドを取るためのボスの指令ややまびこホーン等、サイドを取るために使うカードは全て攻撃用カードに属します。
防御用カードとは相手のサイド獲得を妨害するためのカードです。
頂きへの雪道やミカルゲといった特性ロック、ナンジャモやツツジといった手札干渉、勇気のおまもりといったHP耐久を上げるカードも防御用カードと言えるでしょう。
潤滑用カードは直接的に上記のどちらでもない、デッキを回すためのカードを指します。
各種ポケモンサーチやドローサポート等、多くのカードがこれに該当します。
また、すごいつりざおの用なリソース回復カードもこれに含まれます。
注意点として、このカードの分類はカードごとに固定で決まっているわけではなく、採用意図や使用方法によって同じカードでも違う分類が可能です。
例として、ボスの指令を考えてみましょう。
相手ベンチのネオラントVを呼び出すことで効率よくサイドを取るために使うボスの指令は攻撃用カードですが、そのネオラントVを倒さずにベンチにロストマインを使うことで時間稼ぎに使用する場合には相手のサイド獲得を妨害する防御用カードとして使われています。
また、ゲノセクトVのように、ドローエンジンとして潤滑用でもありながら、テクノバスターを使うための攻撃用でもある等、性質を兼ねたカードも存在します。
重要なのは、デッキ作成時点で攻撃用のカードと防御用のカードがどれくらいの割合で採用されているかです。
攻撃用のカードが多いほどアグロ、防御用のカードが多いほどコントロール、バランス良く採用されている場合はミッドレンジデッキと考えると、絶対的なターン数にとらわれずにそのデッキの速度を適切に表現できるのではないでしょうか。
この考え方に基づくと、ポケカにおけるコントロールデッキとは、能動的に勝利するための手段を極力排し、防御に全振りすることで有利を取ろうとするデッキ、といえるでしょう。
LOとは勝ち手段を表している
LOはLibrary Outの略で、山札切れを意味することは既にご存知かと思います。
相手の山札切れによって勝利するデッキは全てLOデッキです。
コントロール=LOではない
ここまでの話を踏まえると、カビゴンLOと呼ばれているデッキは、コントロールなLOデッキ、と言うことができるでしょう。
重要なのは、コントロール=LOではないということです。
1つ前のレギュレーションでは、アイアントのくいあらすを使ってLOさせるアイアントLOが一定数存在しました。
このデッキもLOデッキですが、コントロールデッキかと言われるかと違うと思います。
ガラル鉱山やクラッシュハンマーといった一般的なデッキでは採用されないような防御用カードも採用されていましたが、相手がサイドを取れなくなってからくいあらすを使うというよりは、妨害を挟みつつ相手にサイドを取り切られる前にLOさせるという、いわばサイド対LOのレースをするようなデッキでした。
前述したデッキ速度でいえばミッドレンジ、構築によってはアグロに属するといえるでしょう。
コントロールは速度、LOは勝利手段という異なるものを表現しているため、このようなコントロールではないLOデッキというものも存在するのです。
また、LOではないコントロールデッキも存在するといえます。
ポケカのコントロールデッキは勝利手段がLOになりがちで、LOがプランに含まれていない構築はほとんど見かけないのですが、例えばコオリッポのブロックフェイス等で相手のサイド獲得を妨害する場合、山札切れよりも先にサイドを6枚取り切って勝つ可能性があります。
このような場合、LOさせていないけれどコントロールであるデッキが成立します。
したがって、カビゴンLOはLOデッキか?と問われればLOデッキであるというのが回答になります。
そのうえで、LOデッキにも速度に幅があることを理解しておくことが重要です。
コントロールデッキ特有の強み、弱み
コントロールとは何かについて説明したところで、コントロールデッキ特有の強み、弱みについて説明したいと思います。
前提として、コントロールデッキが強いかどうかは他デッキ同様、その時の環境やカードプールに左右されます。
したがって、以下の特徴はいつ何時でも当てはまるわけではなく、そういうことがしやすいカードプールや環境であるほどコントロールが強い、もしくは弱い環境であると考えることもできます。
初動のハードルが低い
一般的なデッキにおける満足のいく初動とは、サイドレースについていける範囲でデッキを回すことだと思います。
ほとんどのデッキは相手よりも先にサイドを取り切ることを目指して作られているため、ただポケモンを場に出すだけではなく、必要に応じてアタッカー以外のサポートポケモンも用意したり、エネルギーをつけたり、ロストゾーンにカードを溜めたりする必要があります。
バトル場以外にポケモンが用意できずにそのまま負けてしまう、いわゆるたね切れ負け事故までいかずとも、初動で出遅れてしまうと試合をひっくり返すのは相当困難になります。
特に、手札干渉サポート0のアグロデッキ等は逆転する要素がほとんどないこともあり、初動の遅れ=負けになりがちです。
一方で、コントロールデッキであればどれだけ出遅れたとしても、サイドを6枚取り切られる前であれば勝利できる可能性があります。
もちろんたね切れ負けのリスクは同様に存在しますが、例えばカビゴンLOであれば最低限カビゴンとロトムVを出せれば試合が繋がるといった具合に、初動のハードルは一般的なデッキとくらべてかなり緩いという特徴があります。
また、たね切れしそうな場合でもバトル場のポケモン自身がとおせんぼやしんぴのまもりといった防御手段を持っているため、たね切れ自体も普通のデッキよりはしづらいです。
有利な相手にとことん有利
コントロールは自分の動きを通して勝つのではなく相手の動きを徹底的に妨害することで勝つデッキなので、デッキの中身は環境デッキに対するメタカードで固められています。
守りのバレットデッキと言ってもいいかもしれません。
当然、デッキによって有効な妨害は異なります。
とおせんぼがあまり刺さらない相手もいれば、しんぴのまもりが全く有効でない相手もいます。
そのため、コントロールを組む時は色々な相手に対応できるように複数のプランを取れるように構築するのですが、デッキの枠には60枚という制限があります。
全対面有利なメタデッキを組むことは困難なので、環境デッキの種類が少ないほどコントロールに有利な環境と考えることができます。
逆転系カードの影響を受けない
積極的にサイドを取ることが無いので、ナンジャモやツツジ、カウンターキャッチャー、リバーサルエネルギーといった、サイドの取り進めることで強く使われてしまうカードの影響を最小限に抑えられます。
特に現環境は手札干渉用カードとしてナンジャモの採用率が高いですが、カビゴンLOであれば基本的に毎回6枚は引くことができるので、ナンジャモで事故って負けといったことはあまり起こりません。
現環境におけるカビゴンLOの評価
コントロールがカードプールや環境に大きく影響を受けると分かったところで、現在のカビゴンLOの立ち位置はどうなのでしょうか。
デッキパワーという意味であれば、現状の意識のされ方であれば、日本国内ではTier2程度のパワーがあると考えています。
ギラティナを筆頭としたロストデッキに不利であり、これらのデッキはレギュレーション変更まで大きく減ることはないでしょうから、正直この環境でTier1になることはできないかなというのが正直なところです。
練度次第で全対面勝ちを目指せるデッキというよりは、その日のメタが嚙み合えばシティリーグ優勝できるかなレベルのデッキというのが個人的な評価です。
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