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【介護職で辛かったこと】

介護士として働き始めて5年。
今回は働いてきた中で辛かったことを
一つ綴ってみようと思います。

目次
・臭いに慣れること
・数をこなして
・自分がされる側になって変わったこと
・まとめ



臭いに慣れること

臭いについては
気になる人、気にならない人で
意見が半々に分かれることが多い。
その中で私は、かなり気になる方だった。

周りの同期の人たちは
何故かあまり気にならないみたいで、
自分だけ全然慣れなかったことが辛かった。

便や嘔吐物の臭い。
どうしてもだめだった。

あの、独特な臭い。
腐った卵や生ごみみたいな臭いとは違う。
鼻に残る、執拗な臭い。慣れなかった。

最初の一年は、
裏でえずくことが多く、
排泄介助中はよく涙目になっていた。

相手には絶対に見られないよう、
気づかれないようにするのに必死だった。


数をこなして

慣れたのはいつくらいだろう。
ある昼間だったか、夜勤の時だったか
忘れてしまったけれど、

排泄介助で、便失禁が続いたときがあった。
次行っても次行っても、便失禁。
背中にまで流れてしまって、
全更衣(全部着替え)。

そうやって忙しい中で
数をこなしていくうちに、
臭いに気にしている場合じゃなくなった。

やらないと終わらない。
だけどやれば終わる。
早くやろう。

そう思うようになってから
次第に臭いを気にしなくなった。


自分がされる側になって変わったこと

ある日、病気になって入院することになった。
よく仕事場で
「何かあったらナースコール鳴らしてくださいね」とお声がけするけれど、
実際鳴らす立場になると結構緊張する。

下剤が効きすぎて、
シーツを少し汚してしまったときがあって、
ナースコールで呼んだけれど
その時はすごく恥ずかしくて、
情けなくて申し訳なかった。

そのとき、笑顔で
「これくらい大丈夫ですよ。すぐお取り返しますね」と言ってくれた職員さんにほっとした。

「忙しい中、仕事を増やしてごめんなさい。」
と職員さんに謝った。
心の中でも何度も謝った。

それでも職員さんは
「気にしないでください。下剤って調整難しいですし、よくありますから」と笑顔で答えてくださった。

その時に、
きっと利用者様も
こんな気持ちでいるんだろうなぁと
深く感じた。

申し訳なさや、情けなさ。
たくさんのマイナスな気持ちを抱えているんだろうなと考えた。

・・・・

退院してから
仕事場に復帰してから、排泄介助に入る時に
どういう気持ちでケアを受けているのか
相手の立場になって考えるようになった。

下剤を使うほどに
便秘に悩まれているって、もどかしいし、
辛いだろうな。

下剤が効きすぎて
下痢になってしまうことって
どれだけ辛いだろう。
お腹痛かったかな、苦しかったかな。

どういう言葉がけが、
この方に安心感を与えることができるだろう?

そう考えてケアに入るようになった。

そうしていると、
便失禁されている方のケアに入るとき

「たくさん出てスッキリしましたね。お腹痛かったでしょう」
「これは辛かったですよね。頑張りましたね」
こんな言葉が自然と出るようになった。
心の底から労いの言葉が出るようになった。

「ごめんね」と
利用者様から言葉があったときは
自然と「便が出るのは健康な証拠ですから」
と笑顔で応えられるようになった。

不思議なことに、
こういう言葉を口にしていくうちに
臭いが気にならなくなっていった。

臭いは
介助者の私が感じるよりも、
出している本人が一番辛いということを
身を持って知ったからかもしれない。


慣れたけれど

それから5年が経って、
以前よりはだいぶ臭いには慣れたけれど
やっぱり苦手ではある。

だけど、苦手という気持ちは
抑え込む必要はない気がする。

この気持ちがあるからこそ
利用者様の気持ちに立つことができるし、

臭いが苦手で困っている
後輩の思いに寄り添うことができる。

さらに臭いに敏感ということは
便失禁の程度も臭いだけで計れるから、
どれくらい準備をすればいいのかも
前もって分かるため、効率が上がる。

臭いに対するこの敏感さは、
ある意味自分の武器になるから、
この苦手さは
無理に克服しなくてもいい気がする。


辛かったこと(まとめ)

まとめると
私の辛かったことは

臭いが苦手という気持ちがある人が
周りにいなかったこと。
自分しかいなかったこと。

臭いに慣れるまでの日々が辛かったことです。

私の場合は慣れるきっかけがあったから、
今もさほど気にせず、ケアを行えていますが、
ずっと慣れないという人も居ると思います。

だけど無理をしたり、
自分を責めたりしながら
臭いに慣れる必要はないと思います。

大事なことは
「相手が一番辛い思いをしている。」
その気持ちを頭の片隅に置くこと。

それさえ忘れなければ
きっと大丈夫だと私は思います。

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