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iPS細胞を用いた再生医療の最近の状況(2024年の8月、9月の記事から)

皆さま、こんばんは。
iPS細胞を用いた再生医療研究に関心を持っている方々は多いのではないでしょうか。
今日は、今年の8月と9月に日経バイオテクに掲載された記事の中で、iPS細胞を用いた再生医療の進捗についてまとめてみました。

京都大学CiRAの吉田准教授らの研究チームは、ヒトiPS細胞から「心臓周皮」を作製し、心臓の血管新生や心筋細胞の増殖を促進することに成功しました。この進展は、再生医療における心筋細胞移植を強化することが期待されています。

主な発見は以下の通りです:
1. iPS細胞から心外膜細胞を作製し、これが心臓周皮を含む様々な細胞に分化できることを確認。
2. 分化過程におけるSMAD3タンパク質の役割を発見し、SMAD3遺伝子の発現を抑制する方法を開発、心臓周皮前駆細胞の形成を促進。
3. これらの前駆細胞を内皮細胞と共培養することで、細胞間接合と血管形成が増加。
4. 前駆細胞はVEGFAタンパク質を分泌し、心筋細胞の成長を促進。

この研究は、心臓周皮を心筋細胞移植と組み合わせることで、細胞の定着と治療効果を向上させ、成人の心臓損傷後に自然に活性化されない心外膜細胞の問題に対処できる可能性を示唆しています。

キリンホールディングスは、ファンケルや順天堂大学と協力して、ヒトiPS細胞由来のマクロファージを用いた皮膚モデルを開発しました。このモデルは、ヒト由来の線維芽細胞とマクロファージを組み合わせ、炎症反応を再現することに成功しました。特に、炎症刺激に対してインターロイキン-6やTNFαといったサイトカインを生成し、人間の皮膚の炎症を効果的に模倣します。この研究は、炎症に関連する現象の理解を深める可能性があり、老化やアレルギーの研究に貢献することが期待されています。

オリヅルセラピューティクスは、iPS細胞由来の膵島細胞を用いた研究を進めています。具体的には、1型糖尿病患者に対する治験で、OZTx-410という製品を使用します。これは、他家iPS細胞から誘導された膵島細胞をシート状に加工したもので、β細胞が皮下に生着しやすい設計です。この治験は、京都大学医学部附属病院で行われ、安全性と有効性を評価することを目的としています。また、心筋細胞OZTx-556の臨床試験も予定されており、これらの研究は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)との共同プロジェクト「T-CiRA」の一環として進められています。

住友ファーマは、他家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞(HLCR011)の第1/2相試験を実施し、最初の被験者への移植を完了しました。経過は順調で、安全性と視機能評価が主要な評価項目です。この試験は九州大学病院で行われ、多施設共同で進められています。

ケイファーマは、iPS細胞を活用した再生医療で、亜急性期脊髄損傷向けの製品(KP8011)の開発を進めています。慶應大病院で臨床研究が行われ、慢性期脊髄損傷や脳梗塞に対する治療法の開発も進行中です。iPS細胞を用いた神経幹細胞による治療が検討されています。

以上です。
iPS細胞を用いた再生医療は、もっと多くの機関で進められていると思われます。
今回は、8月と9月に掲載された記事に限定しているの、上記の記事のみに絞られています。
今後もiPS細胞を用いた再生医療の進展をWatchしていきたいと思っています。

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