見出し画像

リトアニアでFlutterエンジニアとして転職しました

リトアニアのIT企業にFlutterエンジニアとして就職しました。そのときの体験や転職の過程について書きたいと思います。今後リトアニアでITエンジニアとして転職する方の参考になったら嬉しいです。

🧑 自己紹介

日本生まれ・日本育ちの30歳です。留学や外国語を使う職場の経験はありません。28歳のとき初めて海外旅行に行き、そこでできたリトアニア人の友人がきっかけでリトアニア移住を考えるようになりました。出国前のTOEICのスコアは870でしたが、実際のレベルはCEFRでB1程度しかないと思います。

これまでの経歴

高校卒業後Android・Flutterアプリの個人開発で生計を立てていましたが、だんだんと競合アプリにユーザーを奪われはじめ、将来性を見込めないと思い29歳の時に初めて日本のIT企業に就職しました。詳しくはLinkedInを見てください。

なぜリトアニア?

エンジニアとして憧れていたエストニアを旅行した際、ラトビア・リトアニアを旅行したのですが、そこで事前にネットで知り合ったリトアニア人と飲みに行きました。帰国後も連絡を取り合っていてだいぶ仲良くなり、30歳とワーホリに行ける最後の年だったこともあって一念発起しリトアニアに渡ることにしました。その際所属していた日本のIT企業には海外からのリモート勤務を認めてもらい、本当に感謝しています。現地に渡ってからはそこで運良くリトアニア人の友人がたくさんでき、もっとリトアニアに長く住みたいと思って在留許可をとるべく転職することにしました。


📊 リトアニアのエンジニア市場

言語

前提として、ソビエト占領下で教育を受ている50代以上の世代はリトアニア語とロシア語を、それより下の世代はリトアニア語と英語を喋ります。IT企業は若い社員が多く、リトアニア人だけで構成されていることは稀なので、オフィスでは英語が使われるのが一般的なようです。実際求人にも要件に英語が入っていることが多いと思います。
個人的な実感としてはリトアニア人の英語の能力は他のヨーロッパ諸国と同じでとても高く、東欧だから・旧ソ連構成国だから他の国に比べて低いということは全くありません。

企業

リトアニアは人口300万程度しかない小さな国です。他のヨーロッパの小国もそうかもしれませんが、IT企業の多くは外資企業のリトアニア支社orヨーロッパ一円で展開しているリトアニア企業になります。求人はSr/Mid/Jrの順に多く、LinkedInで探すとSrが圧倒的に多くJrがかなり少ない印象です。
ちなみに、リトアニア企業の社員数・平均給与などはすべてrekvizitaiで調べられます。給与交渉する際に役立つと思います。


フレームワーク

Flutterエンジニアに関して言えば、日本に比べかなりFlutterの求人が少ない印象です。ネイティブAndroid/iOSエンジニアの求人のほうが多く、クロスプラットフォーム開発に関してもReact Nativeがまだ元気なようで、新規開発でReact Nativeが採用されることもあるでようです。また、状態管理はriverpodよりblocのほうが採用されるようです。こういった地域差はとても意外でした。


求人媒体

Indeedはリトアニアには展開しておらず、使えません。LinkedIn・各企業の求人ページが専らになると思います。意外と各企業の求人ページに求人を掲載していてもLinkedIn上に掲載していないということもあるので、自分はめぼしい企業の求人ページを片っ端からチェックしていきました。特にStartup Lithuaniaはベンチャー企業の検索に役立ちました。

他には、やはりリファラルが有力な方法だと思います。逆にリトアニア求人最大手のCVbankasはITエンジニアの求人の掲載量は少ないようでした。エージェント会社を使う方法もあるようですが、自分には適当な会社を見つけられませんでした。

また、自分の状況にはマッチしなかったため使いませんでしたが、リトアニア国外からの応募にはWork in Lithuaniaが役立ちそうです。


在留許可など

リトアニアの在留許可を得るには、リトアニア国内企業の社員or経営者になる・リトアニア国内で個人事業を営む…などの方法があります。自分は社員になることで在留許可を得ようとており、リトアニアの国内企業を受ける必要がありました。しかしそのときFlutterエンジニアの求人はLinkedIn上に2件、各企業の求人ページ上に2件程度しかありませんでした。リトアニア人であればヨーロッパ一円をターゲットに就活できるのでしょうが、在留許可の取得を兼ねる場合、リトアニア国内でニッチな分野のエンジニアとして就活することは、かなり厳しいように思いました。
このあたりの制度を理解するのは自分にとってとても難しかったです。例えば、フリーランスビザはエストニア・ラトビア・ドイツなどにはありますがリトアニアにはありません。またリトアニアでは、在留許可の要件が日本・韓国・アメリカ・ニュージーランドなどの国について他のEU圏外国に比べゆるくなっています。おそらくヨーロッパで転職しようとする方は複数の国を候補に入れていると思いますので、色々と制度を調べて比較するのがよいかと思います。
ワーホリ・在留許可に関しては移民局のFAQが、その他全般の社会制度についてはrenkuosilietuva.ltに詳細な説明があります。


🏃 転職活動の体験談

渡航前

ちょうどワーキングホリデーが満30歳までしか申請できたいこと、所属していた日本企業が海外からのリモート勤務を許可していたこともあり、今しかないと思ってワーキングホリデービザで渡航しました。現地に住む日本人の方に物価や不動産の探し方などを聞いたり、健康保険や移民制度などについて調べました。帰国することも考え、住民票を抜いたり日本の携帯電話の解約などは行いませんでした。

渡航後

自分の英語力に不安があり、日本企業でリモート勤務しながら半年ほど週3日英会話レッスンに通いました。東欧だけあって生徒はウクライナ人や中央アジア人が多かったですが、彼らの方が遥かに英語ができると感じました。実際、就活の際には技術面接で緊張もあってうまく喋れなくて苦労するというのが毎回でした。
今考えるとエンジニアの勉強会などでネットワーキング→リファラルで仕事紹介してもらうということをしておけばよかったのですが、当時の自分には初めての海外生活に適応するので精一杯でした。

渡航半年後

たまたま知り合ったリトアニア人の紹介で、米大手IT企業のリトアニア支社を受けました。ポジションはシニアAndroidエンジニアで、最終の技術面接まですすめましたが手応えがすこぶる悪かったのを覚えています。質問の内容はよくある「ActivityとFragmentの違いは?」「コルーチンとは?」といったベーシックなものでした。とはいえ、基礎的な知識ほどそれがなにかを説明は難しく、満足に答えられたのは2・3問程度でした。
この頃、自分がメインフィールドとしているFlutterの求人の数がかなり少ないということをことを知り、ビザの失効も半年後に迫っているということもあって焦り始めました。とりあえず次のことに取り組みました。

  • LinkedInアカウントのプロフィールを埋める

  • ポートフォリオサイトを作る・CVを作る

  • 求人を出していなくてもFlutterチームがありそうな企業を探す

  • リトアニア人のエンジニアの友人に、その会社で自分にマッチするポジションを募集していないか聞く

  • ネット上に転がっている想定問答をメモして答える練習をする

  • 英会話レッスンの先生に人事面接の練習をお願いをする

そして色々と調べていくなかで、次のような方針で望むのが良さそうだと思い至りました。

  • 就職する気はないけど国外企業に応募してみて場数を踏む、英語での面接に慣れる

  • 難易度が高く就職できなささそうなAndroidシニアポジションを受けてみる、慣れてきたらレベルを落とす(Midやベンチャーなど)

  • 求人数は限られるが、Flutterエンジニアの技術面接も経験したいので1個くらい受けてみる

  • Flutterエンジニアを募集していない企業にもこちらから連絡をとってみる

  • まずは就職するのが一番の目的なので相場より低い給与を提示する

渡航8ヶ月後

所属していた日本の会社を退職し、就活を始めました。ところが応募しても連絡が返ってこないことのほうが多く、企業の採用担当と電話面接の日時を決めた後に連絡がつかなくなるということもありました。後から知りましたが、海外で転職された日本人の方の記事や友人を話を聞くと、これはごく一般的なようです。そんな中、お試しで受けてみたスイス企業のリトアニア支社に内定をもらい、ビザの期限や面接にすらこぎつけるのが難しい現在の状況を考え、そこに就職することにしました。ポジションはFlutterエンジニアです。

選考プロセス

技術面接の内容はポジションや会社によってまちまちで、ライブコーディングをするところもあれば口頭試問だけのところもあるようです。アルゴリズムやデータ構造の出題は稀なようです。
自分の場合、人事面接では「他社を受けていますか?」とか「内定を出されたらどれくらいで返答してくれますか?」などの質問がありました。また、自分はワーホリビザから在留許可に切り替えるつもりだったため、在留許可申請に必要な書類を会社に出して欲しいこと、内定をもらっても許可が降りるまでは勤務できないことを伝える必要がありました。実際、内定をもらってすぐ働くつもりが、実際には3ヶ月ほどかかってしまい、チームに迷惑をかけてしまいました。
こまごましていますが、面接を受ける前にこういったことの準備も大切だったなと今になって思います。

終わりに

お読みいただきありがとうございました。この記事がリトアニアでITエンジニアを目指す方の参考になれば幸いです。もし疑問などありましたら、hirotamu3@gmail.comまでご連絡ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?