見出し画像

「B.B.KING STYLE FOR BEGINNERS」 選曲=桑田佳祐

これ、1980年にRCAから発売されたレコード。『日本のトップギタリストによるB.B.キングセレクション///企画・立案:桑田佳祐』というシリーズ。

山岸潤史、竹田一夫(クリエイション)、田中一郎(ARB)という日本の屈指のギタリストに交じって、なぜか桑田佳祐(笑)。しかも、企画・立案。

そういったシリーズの桑田さんが選曲したB.B.キングのベスト盤である。

<レコード帯より>
『B.B.KING STYLE FOR BEGINNERS(B.B.キング・スタイル・フォー・ビギナーズ)』 選曲:桑田佳祐

ブルースギター初心者の為の入門アルバム。B.B.キングのギタープレイの簡単なフレーズが入っており、基本がよく理解出来ると共に彼のベストとなるように選曲したオムニバスアルバム。

<ライナーノーツより>
★B.B.キングを知ってるかい?
 冷静に考えてみれば、サザンで一応ヴォーカリストという言われ方をしたり、かたわら曲を作ったりしている自分が不思議に思えてならない時がある。冷静になればなるほど、かつてヤードバーズや後のEクラプトンにパンチを食らいっぱなしだった自分にプライドみたいなものを持とうと思う。
 ギタリスト・・・・とりわけブルースギタリストという呼び方が好きでたまらなかったり、いろいろ他人の影響なども会ったりして、ある意味でギター自身と懇ろになりそうな世界や人間や将来の自分にも大いに興味が合った。早い話がギター小僧であったわけで、今だってふと気がつけば胸の中は夢でいっぱいなのである。
 いきさつはこうである。親がいて姉がいて友がいてビートルズが出てクラプトンやページを知ったわけで、ブルースという事やブラックという意味も、自分なりに『クラプトンの歴史』みたいな書物に赤線を引いて読むうちに興味がわき、やみつきになった時にはなぜかレイチャールズとB.B.キングがアイドルになってしまっていたものである。当時、私のような初心者としては"クラプトン先生方も非常に良いと申されておるのだが、はて、いったいどこがどう良いのか、すごいのか?"ってな具合で、あまり彼らのレコードを聴いても合点がいかず、とりあえずコピーを始めてみたのである。B.B.の『インディアノラ・ミシシッピー・シーズ』とかいうアルバムであったが、やはり自分としてはクリーム時代のエリック先生がやっていたアクロバットがこのB.B.よりもピンと来たには来たんだが、まあいいかとも思った。それなりの解釈などもできたりして、まずギターのフレーズがクリームの変態チックより大きいと思った。だからコピーしやすくて、今後それと同じフレーズをディストーションの効いた音で早く弾こうが"俺の勝手"だとも思ったものだ。当時はヒマと興味に任せて、レスリーウエストも真剣になって聴いたりしたが。彼、B.B.キングとは非常にそのものが似ているなと感じたので、何かこううれしくなって、偉くなったような、見えたような・・・・。
 B.B.という人はたいへんな歌手だとも思うし、それがあの大きなブルースギターと絡むと生々しく立体的に見えてきたら、もう病気だった、私の場合・・・。顔面をカボチャにして、チョーキングを一発ひっかけると背中に自分でも"チキンはだ"が立って、また一つ成長したように感じた。かのエリックさんよりブルースに明るくなった気がして、B.B.キングをよりあがめ立て始めた。
 音数の問題ではなく、かのワイセツ・ビブラートが私の童貞下心をさらにかきたて、すさんだ女そのものを垣間見たのはやはり存在感だろうか・・・・。妙な不良パンクバンドより、あのオッサン・ギタリストの方が私のスケベを許していただける気がした事を、一番大事な部分として皆様方に参考にしてもらいたいのだが・・・・、気をつけましょう。
<サザンオールスターズ:桑田佳祐>


Side One
1 EVERYDAY I HAVE THE BLUES
(『ライブ・アット・ザ・リーガル』より)
2 SWEET SIXTEEN
(『ライブ・イン・ジャパン』より)
3 HUMMINGBIRD
(『インディアノラ・ミシシッピー・シーズ』より)
4 GOT MY MOJO WORKING
(『キング・サイズ』より)
5 LUCILLE
(『ルシール・トークス・バック』より)

Side Two
1 CALDONIA
(『イン・ロンドン』より)
2 WORRY WORRY
(『ライブ・アット・ザ・リーガル』より)
3 THAT'S WRONG LITTLE MAMA
(『ブルース・オン・トップ・オブ・ブルース』より)
4 DON'T ANSWER THE DOOR
(『ブルース・イズ・キング』より)
5 ALEXIE'S BOOGIE
(『イン・ロンドン』より)


A1「EVERYDAY I HAVE THE BLUES」は、1986年TDKのCMでカバー。『女のカッパ』にも登場するフレーズ。

A3「ハミングバード」。これは超おすすめ!レオンラッセルの曲で、彼がピアノでも参加してる。
公式のセットリストにも載っていないがサザンオールスターズでも1982年のライブツアー「青年サザンのふらちな社会学(ツアーTHE NUDEMAN)」で、このB.B.キングバージョンでカバー。これがメッチャメッチャカッコよかった。この曲は擦り切れるほど聞きまちたよ。チョー推薦。

あと、桑田さんってB.B.キングと共演してるの知ってました?
相当、あとになって、萩原健太氏のHPで初めて知った。
どなたか詳しいこと知りませんかねえ?

このレコード、もちろん廃盤です。入手不可でしょうなあ、こんな企画モノ。一体、世の中に何枚、出回ってるのか…? 

私ねぇー、レアとかコアとかいう言葉ってキライなのね、実は。そんなに希少価値の少ないものにまで連発するじゃん、昨今は。

でも、あえて言っちゃう。「これが“レアもの”っちゅうものだ。」ただの自慢だ!ざまあみやがれ!

<2000.06.13記>


<追記>
Spotifyでhdrさんという方がこのアルバムを再現したプレイリストを作ってました。

このレコード、今ではヤフオクやメルカリでちょいちょい出回ってますね。あんまりレアものでもなくなってきてるわい。

B.B.キングとの共演ですが、のちに萩原健太さんに聞いたところ「相も変わらずの " Further On Up The Road " を演奏した」との事です。

1982年「ツアーTHE NUDEMAN」では下記の3曲をメドレーで披露。

Hummingbird
~She Came In Through the Bathroom Window
~Have You Ever Loved A Woman 

この年までサザンのライブツアーでは必ず洋楽カバーのメドレーを挟んできたので、おそらく全公演でこの曲は演奏していたはず。

<2023.08.25 追記>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?