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降水確率0%の通り雨4《君の雷雲 僕の離脱性体質》3

「おはよう」
「おはよう、あいす。昨日あのまま寝ちゃった?」
「ああ、俺の手握ったままでね。体勢的にしんどくなったから、布団に入らせてもらったわ」
「ほんとだ、あいす、昨日の服のまま。寝にくくなかった?」
「平気、あきらを抱き枕にしてぐっすりと眠れたよ」
「なんだよ、それ」
くすくす笑っていると
「おしゃべりはそのくらいにしてくれないか。遅刻するぞ」
「うわっ、たける、なんで?」
「おはよう」
「お、おはよう、で、なんで?」
「おばさんに聞いたら、まだ寝ているから起こして来てって頼まれた」
「そうなんだ、じゃなくて、今ここにいる理由。僕寝坊してないよね?」
「門脇から集合時間が早まったと連絡があった」
あーそれでって
「なんで、僕のゼミの集合時間を君に連絡するの!?」
「便利だからだろ」
「何が」
「ほら、早くしたくしろ。あいすは」
「今日は家で作業」
「あいつに会うんじゃないだろうな」
「あいつって誰だよ。俺は卒業制作で忙しいの」
「わかった、じゃ、あきら下で待ってる」
たけるが、階段を下りていく音が響く。
「なんかさ、ここんとこ不機嫌だよね、たける」
「そうか、こんなもんだろ、あいつは」
「だいたいさ、僕のゼミにばかり顔を出して、自分の卒論どうなってるんだろ。たけるの事だから一晩で書き上げれるのかもしれないけど」
「はは、さすがにそれはないんじゃないか。一般の大学の卒論は知らないけどさ」
「就職の事だって、僕、何も聞いてない、、」
あ、なんか、落ち込んでる?僕
「変人の事なんて気にすんな。あいつが言葉足らずなのは、今に始まったことじゃないだろ」
「ん、そうだね、時が来たら話してくれるよね」
(何も言わずに消えるのはなしだからな)
「さ、ご飯食べに行ってこよー。あいすもご飯」
「着替えてから行くよ、先に食べてて」
「わかった」

あきらが下へ降りていく。自分の部屋へ戻ったあいすは、思いっきり枕を殴りつけていた。
(あんの―――朴念仁、何あきらに哀しい顔させてんだよ!!離れるならとっとと離れちまえ!う~あいつに限ってそれはないか。だけど、いったい何を隠しているんだろう。門脇と共謀してんのか。あいつも一体何考えてんだよ!くっそー」
はあ、
ブレスレット、あきらとおそろい。あまねとおそろい。2心同体の時を超えて、俺たちは本当に強く結びついたと思う。あまねと、あきらと離れる未来なんて考えられないしありえない。でも、
「あの2人は違うのかな、」
また、もやもやが襲ってくる。あきらのが移っちゃったかな、よし、ご飯だ
気持ちを振り切って、あいすも下に降りて行った。

食事を済ませて、あきらは自室に着替えに戻ってきていた。
「どうしよう」
目の前にはブレスレッド。
「半袖だから隠すことができないし」
でも、なぜか今日は身につけていきたくてたまらない。そうした方がいいと本能がいう。
「そうだ、リストバンド」
あいすに買ってもらったリストバンドをブレスレットの上からはめる。少しゴワゴワするけど
「ん、いいかんじ」
服でも小物でも、あいすはあきらに似合うものを選んでくれる。それがまた、おしゃれだ。
洋服の好み変わった?とちょくちょく声を掛けられる。そして似合ってるよと。前の服の事をどう思っていたのかは知らないけれど、あいすのセンスを褒められるのはとっても嬉しい。
「これで、よし。たける、おまたせー」
その時僕は気が付かなかった、あれが消えていることに。

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