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降水確率0%の通り雨2《君の雷鳴 僕の過敏性体質》6

「みけさんみけさん、ぼくといっしょにあっそびましょー」
「お前は私の遊び相手ではないのか?」
「なにかいったー?」
「いや」
「みけさんも青い目だよね、綺麗な青い目」
「お前と同じ色じゃないか」
「ん?そういえばそっか。お揃いだね、うれしいな」

あきらは、あいすもだが、初対面の時に、鬼の容姿云々と自分の姿を嫌っているような言いようだったのだが、参内してから一ケ月、容姿を気にして人目を避けるようなそぶりは一切なかった。それどころか、誰とでも気さくに話をし、あっけらかんと明るくふるまう。その綺麗で天真爛漫な笑顔を好ましく思うものも少なくない。と、乳母の子で小舎人の門脇が報告してきている。本人たちにもそれとなく聞いてみるが、皇子に近づきたいだけだよ、この人気者、と言われてしまった。ひどい誤解だ。

「鬼といわれて泣いていたとかいうのは作り話であろう」
みけさんと猫じゃらしで遊んでいるあきらに疑問をぶつけた。
「えー泣いていましたよー、ひどいよ皇子」
「嘘であろう」
「むー、しかたないじゃん、どうしても君のそばにいたかったしさ。
近くにいなきゃいけなかったの、これ以上は言わない」
「そう、か、わかった」
「君こそ、どうして僕たちを近くに置くことにしたの?あの時、みんな嫌がってたじゃない、鬼の子なんてさ」
口には出さなかったけど、雰囲気がさ、
「そうだな、なぜだろう」
「わからないんかい」
「ただ、友達になりたいと、って私は何を言っているのだっ」
焦るたけるに、フフッと笑ってあきらがいった。
「それってさ、運命なんじゃない?」
「運命?そんなもの私は信じない」
「そう?たけるは、運命を信じないんだね。でもね、大いなる流れってのはあるんだよ」
なんだか、あきらが大人びて見える。
「言っていることがよくわからない」
「いいよ、それで。でも僕のことは信じて。必ず君を守るから」
「ならば、私もお前を守ろう。それでおあいこだ」
「あはは、負けづ嫌いだね。うん、最高」

内裏に入った次の日、皇子の乳母の子で付き人をしている門脇という人に紹介された。
「皇子の乳母の子で小舎人の門脇という」
宜しく頼むと手を差し出してきた。
「こちらこそよろしくお願いいたします。」
手を握り返すが、なんだか鋭い目で見られているような。なんだろ。
隣に立っているあいすは、こっちは完全ににらんでいる。めずらしい。
気が合わないのかな。
「では、皇子」
「皇子と呼ぶな、大体いつもは皇子などと呼ばないのにどういうつもりだ」
「このお二人が、皇子と呼んでいるので、けじめをつける気になったのかと」
「嫌味か、まだ伝えていないだけだ。あきら、あいす。私のことは皇子と呼ばず名で呼んでくれ」
「名前?」
「なんて名前なの?」
「たける、という。だから、」
「たけるたけるたける、いい名前じゃん。もっと早く言えばいいのに。わかった、今日から君をたけると呼ぼう」
「そうだね、勇ましい名前だ、中身はどうか知らないけど」
あんまりな2人に、そば仕えにしたのは早急だったかと少し悩んでいると、それこそ珍しく門脇が袖で口を押えて笑っている。
「変な奴らだなたける」
「まったくだ」
「だけど、力は強そうだ」
一瞬真剣な目で二人を見る。門脇の透視眼は陰陽寮からすでに声がかかるほどで、子供ながら有名だった。
「これからは、毎日来るよ」
「さぼり魔なお前がどうした、嵐が来るんじゃないか」
「来なきゃいいと思っている」
「門脇?」

嵐など本当は

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