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降水確率0%の通り雨4《君の雷雲 僕の離脱性体質》11

「だからって何でこうなるんだ!」
門脇がブツクサ言っている。
僕とあいすとたけると門脇、そして冨田は、メイン通りの大きな手芸センターに来ていた。生地やボタン類、その他洋裁に必要なものはすべてそろっている。
「最新ミシンも買っちゃおうかな~、ねー冨田ー」
「はは、少し値切ってもいいすか」
「何しょぼいこと言ってんだよ、神のくせに」
「貧乏神になった気分っす」
「あははー」
「あ、ねえ、あいすこれは?」
「お、いいね、よしこれも」
僕とあいすは、一つ一つじっくりと見て回った。その後ろを冨田が、そのまた後ろをたけると門脇がついてきていた。

「あー値札を気にせずに買い物するって気持ちいい!」
「全部冨田のおごりだもんね」
休憩コーナーで、僕はスムージー、あいすはクリームソーダを頼んだ。
あいすの仕返しとは、洋裁の材料を思う存分購入し、その支払いは時の神―冨田がすること、だった。
『時は金づる!』
ということで、本日、街まで買い出しに来ているのだ。
半日ずっと見て回って、あいすが買ったのは、結局、洋服1着分の材料だけだった。
「これだけでいいんですか?」
支払いをする冨田が逆にびっくりする。
「今描いているデザインにはこれだけで十分」
「でも、在庫とか」
「無駄なものは持たない主義なんだ、使うかどうかわからないものなんて、いらないじゃん。それに、時の神とはいえ、今は、学生の冨田だろ。これ以上はたかれないよ。ま、復讐の期限は無期限なんだから、冨田が出世したら存分におごらせるさ」
「あいすさん、
「あいす、かっこいいーー!!やっぱりあいすっ最高!絶対ついてくーー」
「俺もあきらを離さないよ」

公衆の面前で抱き合う二人を、じとーっと見ている門脇を、富田がつつく。
「面白くないって顔だな」
「何だよ」
「本当のライバルは倉石だと思うけど」
「今更だな」
「ふん、可哀そうな門脇君に一つ教えてあげるよ」
「別に聞きたくない」
「そういうなって、あいすさんはさ、今俺のサイズで型とってんだけどな」
「何がいいたい」
(そんなこと、あいすから聞いてない!)
「最後まで聞けって、で、なんで俺のサイズ取るんですかって聞いたら、あいつが冨田と背格好似てるんだって言ってさ。じゃ、その人に測らせてもらえばいいんじゃないですかって言ったら、『それじゃばれてしまうじゃん、内緒で作りたいんだ。プレゼントだからさ』って嬉しそうに言ってたよ。」
「プレゼント?誰に?」
「さあねえ、ブレスのお礼って言ってたかな」
門脇に心当たりがないなら、三徒かな?はははと笑いながら、冨田はあいすたちのいる方へと行ってしまった。
同じ体格?確かに冨田と俺は体形がよく似ている。ブレス?あのあきらとお揃いのブレスレットの事か?あいすの記憶が戻って、あれが俺からの贈り物だと思い出した?で、俺に、服をー?
一気に顔に血が上る。きっと今俺は真っ赤だ。
やばい、うれしい、泣きそう、
「おーい、門脇」
あいすが呼んでいる。浮かれた足取りで、門脇は、彼らの方へ歩き出した。

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