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降水確率0%の通り雨3《君の遠雷 僕の健忘性体質》12

「あまねちゃんは?」
「まだ、眠ってる、起きたらルール設定するわ」
「とっさだったけど、うまく行ってよかったですね」
「ふふ、ヘマなんかしないよ」
「ま、魂の相性がよほどよかったんだね」
ありさが、からかうように言う。
「ねえさんのいじわる」
そういいながらも、あきつは楽しそうだ。
今、あまねは、あきつの中にいる。
どこかの空間へ飛ばされそうになったあまねを、必死で手繰り寄せ、あきつの身のうちに入れたのだ。
(どんなルールにしようかな)
一つの身体を2人で使うことになる。当分なのか、長い時となるのか、それは運命次第だ。
(普通は起きる時間を決めて交代にするのだけど、2人で同時に話しながらと言うのもいいよね)
あまねは、まだ眠っている。
おきたら、新しい人生と、新しい身体と、隣にあきつが待っている。
(気に入ってくれるかな)
でも、あまねなら、
(あきつ!最高!)
って言ってくれる気がするんだよね。
3.5人の生活も悪くない
ね、あまね

そういえば、あの人達置いてきちゃったけどどうしてるかな、
あいつら、馬鹿だから、案外追いかけてきてたりして、まさかね、あはは

(くそ、あのくそジジイ、なにが記憶が消えるだ、消えたのはたけるだけじゃねーか)
おれは、しっかり前世の記憶を持ったまま、この時元に生まれてきた。元皇子、今世も皇子のたけるは、なにも知らずぐーぐー眠っている。俺たちはいわゆる乳兄弟ってやつだ。そして、俺たちは今、赤子だ。大人の記憶を持ったまま赤ん坊でいるのはちょっと、いやかなり精神的に厳しい。本当に泣きたくなる。泣くけど。これで、たけるも同じ状況なら、相憐れむこともできるが、どうやらやつは正真正銘の赤ん坊らしい。実に天真爛漫だ。おいおい、記憶消してどうするんだよ。あ、また、泣きたくなってきた。泣くけど。仕方がないので、今はこの運命を受け入れよう。おおきくなったら、力をつけてあきつたちを探しに行こう。かつて持っていた千里眼の力は今回もあるみたいだ。この世界にあきつがいることを感じるから。だから、探せる。会える。
いきなり目の前に現れて、ずっと探してたって言うのも悪くない。どんな顔するだろう。
さ、今は眠ろう。歩けるようになるまでに一年。大人になるまでに、、、。

しかし計画通りにはいかないものだ。でも、うれしい誤算だ。いま、あきつが目の前にいる。しかも、名前まで変わって。
あいすだってーー?可愛い名前じゃないか。
そういったら、変人を見るような目で睨まれた。あはっ変わらないな、ぜんぜん
これから、また、お互いに知り合おう。会えなかった時間の分、教えあうことがたくさんあるはずだ。そして、たくさんの記憶も創っていこう。再び、俺たちの時間が動き出したのだから。

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