ことばを変えてみると心も変わる
ちょっとネガティブに捉えている言葉ってありませんか?私にはあるんですが、その中でも、「その言葉を違う言葉に言い換えてみたら良いな。」と思ったことついて、今日はお伝えします。
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あるフラワー展に友人Aさんと出かけた日のことです。そのフラワー展には、Aさんの友人であるBさんの作品も展示されていました。
Aさん曰く、Bさんの作品は遠くから見てもすぐに分かったそうです。古くからの友人であり、お互いのことを分かり合っているからなのか、制作期間中に出展作品についてBさんから話を聞いていたからなのか分からないのですが、はたまた作品自体が魅力的だったっからなのかもしれません。
Bさんの作品は、木枠を2枚重ね、表面と裏面を両方楽しめる作品でした。表から見ると燃え上がる力強さを感じましたが、裏から見ると見守られているような優しさを感じました。「こんなに面白い作品を作るなんて、どんな方なんだろう。」と制作者のBさんにも興味が湧きました。
鑑賞している途中でBさんと会うことができ、3人でいろいろ話をしていると、Aさんが、
「Bさんの作品って、二面性があって良いね。人も二面性があっても良いんだ、と思った。」
と言うと、Bさんは
「違うよ。多様性って言って。」
とニコッと笑って答えました。
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あの時、Aさんもハッとした表情をしていましたが、隣にいた私もBさんのことばにハッとさせられました。
私は、「二面性」ということばに、少しネガティブな印象を持っているんです。例えば、娘の同級生のお母さんに
「チフミさんって、娘さんに優しそうだよね。」
とよく言われることがありました。そう言われたらそのことばを素直に受け入れれば良いのですが、そうはいきませんでした。家では娘に対して「鬼と化す」こともあったからです。まさに二面性です。母親として、娘にとって常に優しく、安心していられる存在でありたい、という思いに対しての罪悪感もありました。
他の場面では、あるコミュニティで私にだけ冷たい態度を取ってくる人がいました。他の人にはニコニコ話していて、私の方を向いたときは無表情、ときには全く目を合わせてくれません。そういうときってあまり良い気はしないですよね。
「二面性をもっている人だなんだな。」
と思い、悲しくもなりました。
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今までの体験から「二面性」ということばに抵抗感があったのですが、「多様性」という言葉を耳にして視界が広がる感覚を覚えました。
娘と過ごしてリラックスしているときもあれば、仕事で疲れているときもある。自分の悩みを抱えているときもあれば、自分のことよりも娘を励ましてあげたくなるときもある。ふざけるときもあれば、真剣になるときもある。母親でもあり、妻でもあり、嫁でもあり、私自身も娘でもあり、そしてひとりの女性、人間でもある。自分の中にも多様性をもっていますね。
二面しか見られなくなると、視野も狭くなる分、気持ちも窮屈になる。自分の「あんなところ、こんなところ」に気付くことができたとき、ふわっと気持ちが軽くなる。なんとなく窮屈に感じるときは、「多様性」ということばを思い浮かべてみよう。
冷たい態度を取ってくる人も、それまでのその人の体験や記憶から、なにかしらの反応をしてあのような態度を取ってしまうのかもしれません。私自身も10人いたら10人みんな同じように好きというわけではありません。苦手に感じてしまう人も中にはいます。私自身もこれまでの体験や記憶があるし、相性っていうものもありますからね。
それに、ともに過ごす時間は数時間。その時間以外では、母でもあり、妻でもあり、働く女性でもあり、そしてひとりの人間です。彼女にもいろいろな背景があり、悩んだり、哀しんだり、怒ったり、喜んだり、楽しんだりしながらいろんな思いや考えを持って過ごされているのだと思います。
そう考えたら、その人を否定的に考える気持ちも私の中から少し遠のいていきます。
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『多様性』という言葉を耳にして、人に対してのみならず、自分に対しても多面的に見ることで、自分の心の状態も変わり、穏やかな気持ちになれる。『なんか、良いな。』と思った言葉を拾い集めていきたいですね。
sassaさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございます。
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