仕事中の自分に向けるワンフレーズ

現在の仕事をし始めたのは、約2年前。前職の資格とは無関係で、全く経験のない、専門性が高い分野の事務職です。

始めた当初、専門性が高い仕事であることや、それに対する知識がないことに対する、不安や恐れがありました。それらを払拭するために、職場から提供された資料を隅から隅まで読み、初めて目にする専門用語は調べて意味を書き込み、さらに音読をして頭にたたき込むようなことをしていました。

仕事中は、その日に携わった案件について片っ端からメモをして、家ではそのなぐり書きしてきたメモを元に、ノートにまとめていました。何度も資料や専門書に目を通し、あらゆるイベントに備えていました。

それでも仕事中は極度の緊張感が持続し、電話が鳴れば、「分からない内容だったらどうしよう。」と常にビクビクしている始末。

仕事内容は嫌いではないのに、どうして私はこんなに怖がっているんだろう。なんだか脳が疲れているみたい。

そう悩んでいた頃、ある方とお話しをする機会があり、相談をしました。

まず私に伝えてくださったことは、

「理由は、あなたが、全部分かっていなきゃいけない!と思っていること。」

これを聞いた瞬間、声を出して笑ってしまいました。その通りだったからです。その後続けておっしゃったことは、

「分からなくて当たり前」

でした。その他にも仕事を進めていく上での多くのヒントをいただき、その後の仕事に対する考え方に変化が起こりました。

当時上司も、「未経験であることは覚悟の上で仕事に来てもらっているから、分からないことはなんでも聞いて。」とおっしゃっていてくださっていたのです。にもかかわらず、「全部分かっていなきゃいけない」という考えに私が囚われてしまっていたのです。

「分からなくて当たり前」というこのことばは、私が仕事をしていく上で、心整い腰を据えるワンフレーズになりました。

それ以降は、仕事中に「覚えなければいけないこと」に焦点を置くのではなく、「今やらなければいけないこと」に焦点を当てるようになりました。

また、電話対応で、相手の方が言わんとするところは何かを聞き取ることに集中し、私が答えられることと、私では答えられないことの判断ができ、答えられないことは上司に依頼するようになりました。

そして、なにより上司に相談や質問がしやすくなりました。

振り返れば、当時の私が専門性の高い仕事について、全部を分かっているだなんて、到底無理なことでした。それでも当時の私はなぜかそのことに囚われてしまっていたのです。しかし、「分からなくて当たり前」のワンフレーズが、固執していた私を解放させてくれました。

2年以上経った今でも、私が経験したことのない案件が舞い込んでくることもありますし、私ではお答えできないことも多々あります。だから私にとって今でも、このワンフレーズは、現場で学びを得ながら、丁寧に仕事をしていく上での一助となっています。



ヘッダーははねさん〜心の居場所そらはねplaceさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございます。

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