断熱性について②【熱貫流率】
はじめに
前回に引き続き、断熱性について記事を書きます!
熱伝導率に対して今回は熱還流率を言語化、最後は熱伝導率と熱貫流率の違いを自分の言葉で言語化したいと思います。
熱の移動の種類
前回は熱伝導について説明しました。
今回は対流と放射について深堀します。というのも、熱貫流率を説明する上で必要になってきます。
◆対流
ニュートンの冷却測によって下記の式で単位面積・時間当たりの熱量を表せます。
q=α(θ₁-θ₂)〔W/㎡〕
θの差は、固体表面温度と流体温度の差を表してます。
θ₁を肌だとすると、θ₂は水や風になります。
そしてαは対流熱達率になりますが、流体の種類だけでなく、流速や温度で大きく変わってきます。
◆放射
物体の電子運動から放出される電磁波による熱移動…要は炭火焼なんですが、原理が個人的に一番難しいです。というのも、絶対零度でない限り全ての物質間で発生しているので、計算式も複雑になります。
◆対流+放射→総合熱伝達率
放射と対流を真面目に取り扱っていると一生終わらないのでなんやかんやいろいろ近似値をまとめた結果、この二つの熱移動を以下の式で表すことができます。
q=α(θ₁-θ₂)〔W/㎡〕
何度も見たわこの式!って私も思いました。
ここでのαは総合(表面)熱伝達率です。
何を表しているかを例えると、とある壁体から空気に伝えられる総合熱量を表しております。
熱貫流率とは?
さぁ、ようやく目にする機会の多い『熱還流率』について書くことができます。
熱貫流とは?
まず『熱貫流』の説明から。読んで字のごとく、熱が貫くという意味で、
一方の空気から壁体を通して他方の空気まで熱が流れるという意味です。
つまり、物体だけでなく、前後の空気も関係してきます。
この点で上記の対流と放射が出てくるわけですね。
熱還流率とは?
言葉で説明する前に式の成り立ちから。
まず、建築伝熱の考え方で暖房時は定常状態と仮定、冷房時は非定常状態と仮定します。
定常状態と非定常状態とは何ぞやということなんですが、非定常が温まり始めは冷えはじめ。定常状態がしばらく暖房付けた後、のようなイメージです。正確には定常状態なんぞないのですが、今から下記に示す式は温度変化
が一定になったと仮定して進めます。
上の図のように、左側が室内、壁を挟んで外気と示したとき、
室内側が高温ですので当然外へと熱が移動します。
その移動する熱の量をそれぞれの物質に分けて
q₁(室内空気)、q₂(壁内)、q₃(外気)と考え、
それらが定常状態で等しいと仮定します。
このイメージが個人的に難しかったんですが、言語化すると
1秒間で室内から外へ逃げていくエネルギーを10とすると、室内(10)→壁(10)→外(10)と、ロスが全くないと考えようという事かと思います。
そして、q₁(室内空気)、q₂(壁内)、q₃(外気)を式にすると下記になります。
q₁=α₁(θ₁-θ₂)〔W/㎡〕
q₂=λ/δ(θ₂-θ₃)〔W/㎡〕
q₃=α₃(θ₃-θ₄)〔W/㎡〕
※λ=熱伝導率 α=総合熱伝達率(外と室内で異なる)
そして、
・q₁=q₂=q₃と仮定
・オームの法則から各伝導率を抵抗値とみなす。
以上の2点から、式をつなげてきれいにまとめると
q=K(θ₁-θ₄)
K=1/R=1/α₁+λ/δ+1/α₂
という式で現すことができます。
そして、このKが熱貫流率〔㎡・K/W〕
結局熱貫流率とは
今回二つの記事でまとめたのは実は建築伝熱におけるほんの触りの部分で、実はまだ続きがあります。またそれは今度説明するとして、とりあえず現段階でまとめた範囲で言語化すると
熱還流率:単位面積辺り、単位時間で、一方の空気から壁体を通して他方の空気まで移動する熱量を、温度差を掛けて表す事のできる数値。数値が大きければ一定時間に移動する熱量が大きく、小さければ少ない。つまり、小さければ断熱性が良い
※実際は実験によって求められる
はい、全然一言じゃないですね。
もう少し勉強すれば変わってくるのでしょうか…
熱伝達率との違い
熱伝達率は結局、熱貫流率の計算に使っております。
熱伝導率:物質そのものの熱の伝わりやすさを示す。(厚みは関係なし)
一方で熱貫流率は壁体を扱い、厚みが関わってきます。
そこが大きな違いです。
おわりに
いやぁ~。疲れました。
大学で一度学んでたはずなんですが、絶対に過去の自分は理解していなかったです。
教科書に「ねむい」という落書きもありました…。
とは言え、熱貫流率…いわゆるU値について、そしてQ値やUA値といった普段仕事で当たり前に使っている言葉ですが、しっかりと深堀して、上面だけでなく、根本から理解したいと思います。
ではまた…。
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