経済指標について


経済指標一つにしても、様々な意味合いがあります。
今回は、アメリカで有名な指標である

◆ ISM製造業景気指数・ISM非製造業景気指数について


ISM(Institute for Supply Management, 全米供給管理協会)が公表する企業の景況感を示す指標です。


毎月第一営業日にISM製造業景気指数、第三営業日にISM非製造業景気指数が発表されるため速報性の高い指標として注目されています。

本指標を紹介しているWEBサイトや書籍によっては「景気指数」や「景況指数」、「景況感指数」などいくつかの呼称がありますが、いずれも同じ指標を意味しているので混乱しないようにご注意ください(ここでは景気指数と呼びます)。


【概要】


ISM製造業景気指数は全米の製造業約350社を対象に、企業の購買担当役員へアンケート調査を実施しその結果を集計しています。
調査は下図の10項目について「改善」、「横ばい」、「悪化」の3つから回答をしてもらい、その結果を集計した上で0~100までのパーセンテージで表記します。

50%を景気拡大・後退の分岐点として、50%以上は景気拡大、50%以下は景気後退を示唆する結果と捉えることが出来ます。
ISM非製造業景気指数は全米の非製造業約370社を対象に、企業の購買担当役へアンケート調査を実施した結果を集計しています。ISM製造業景気指数と比較して回答項目がやや異なりますが、調査の全体像としては概ね同じです。  


通常、メディアなどで報道される数字は総合指数と呼ばれるもので、下図のとおり回答項目(内訳と呼びます)から特定の項目を抜き出し、それらを集計することで算出されます。

主に総合指数が注目されることから総合指数が金融市場に与える影響はもちろん重要ですが、内訳が影響を与えることもあります。例えば「新規受注」は常に注目される内訳です。製造業・非製造業ともに業績に影響を与えますし、受注が好調=経済も好調となるケースが多いため本指標が重要になります。
  


【指数の推移とリセッション(景気後退)】

下図にISM製造業景気指数とISM非製造業景気指数のぞれぞれ総合指数、そして米国のリセッション期間を示します(ISM非製造業景気指数は2002年以降のデータです)。

まずリセッション期間において製造業指数が50を大きく下回っている様子が見てとれます(2002年以降は非製造業指数も同様)。

通常、リセッション期間は過去に遡って認定されます。つまり、図中の灰色でハッチングされた時期よりも遅れて認定されるため、ISMの動向を見ることでリセッションの兆候を捉えることがある程度可能になります。

例えば、リセッション期間ではISM製造業景気指数が概ね40~45程度(あるいはそれ以下)まで低下しています。また低下する速度に目を向けてみると、中長期でなだらかに低下するよりは、短期で急落しています。このような指数の変化は今後も参考になるでしょう。 


直近では2022年初頭から低下が続いているものの、足元では製造業景気指数が47~48程度、非製造業景気指数は50以上をキープしていますのでリセッションに至るまでにはまだ余裕がありそうです。もし今後、両指数が40程度まで近づいた場合には既にリセッション期間に入っている(後々リセッションと認定されるだろう)と身構えておく良いでしょう。

Twitter@sikeda23より


今回は、少し難しい内容でのお話となりました。

一つの指標をとっても、今後の経済を見通すことが可能です。
ご自身のお仕事の業種が、アメリカではどのような動きになっているのか見るのも良いかもしれませんね!

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