Web小説発掘記 その270 赤髪の免罪 作者 蒼空 結舞様

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前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。

あらすじ

自分の罪を償っても、父親の罪が重すぎて自身が耐えることになった雫石 ヨル(しずくいし よる)は、父親の免罪を晴らす為、怒りを抑える為にヨーロッパを旅する。
その途中で聖域(サンクチュアリ)という小国にたどり着いた。 サンクチュアリは”愛”を信仰とした宗教の集落が凝縮された小国で、愛こそがすべてと考えられている。
そこに住んでいるシギュンは、通りかかったヨルに一目ぼれしてしまい猛アタックをするのだが、ヨルには秘密があって……。 二人の恋の行方はいかに!

ストーリーと見所

イケメン攻め×受けマッチョというなんかこう、凄いBL小説。
いや、BL詳しくないからわからないけど……これって普通なの……?

まぁ、とはいえ性癖に貴賤はなく大切なのはどれだけそれに対して愛を注げるかどうかだ。

こちらの物語は父の罪を背負い、呪いを受けて生まれたイケメンと、愛の国という名のとんでもセックスフリー国家に生まれた妄想癖マッチョが織りなす愛の物語だ。

……うん。

……で、こちらの物語なのだが肝心の内容はというと所謂イチャラブがメインとなっていてそこにちょっとばかりのアクセントとしてストーリーが足されたものとなっている。

それに関してはまぁ、良くも悪くもであるのだが全体を通していえることが幾つかあって。
ストーリーが性急
そして一歩間違えれば雑!
もっと言うと詰め込み過ぎ!
の三本立てでお送りしておりますといったところ。

まあ性急と雑に関しては殆ど一緒なのだが、作者さんのやりたいことはとても理解できる。

なのだが出会ってから惚れるまでの間とか、急に出てくる二人を祝福する人物達とか、そもそも物語の解決とかそういうのがスピード展開過ぎて些かついていけなかった。

やりたい展開や、作りたい関係性が先走ってどうにもその辺りの課程が急ぎ過ぎになってしまった印象。

そしてその辺りを急いで語られるのが急に増えるキャラクター、突然のバトル、なんか悲劇みたいな空気出してたけどそこまで印象に残らない呪いと、その辺りに関してどうにも中途半端感が否めない。

ラストに関しても「なんやかんやあったけどハッピーエンド!」となってしまっていて、どうにも消化不良。

ただし、作品のメインである二人のイチャラブに関しては存分に書かれているので、そこに焦点をあてて読むのであれば細かいことは気にならないのかも知れない。

そこに関しては、充分な量と質が確保されていたように思える。
ジブンガハジメテノアイテジャナイコトニモヤットスルノイイヨネ

キャラクター

ヨル

物語の主人公。

前世の父の行いから呪いを受けてしまい、敵意を持って触れた人物を焼き殺してしまう。

日本人。
所謂攻めで、男性に興味はなかったのだが相手役との愛に溺れていく……。
溺れていくのはいいのだが、ちょっとそれまでの課程が早かった気がしないでもない。
二つの意味で早い。

シギュン

所謂受け。
マッチョである。

生まれた場所の教えによって、かつてはほぼ誰とでも身体を重ねていた。
とんでもねぇや。

妄想癖があり、好きになった相手には一途で積極的。

総評

評価点

最初の世界観のインパクトはかなり強烈。
そこだけで物語が気になってしまう部分ではある。

また濡れ場のシーンに関しても丁寧でそこそこの分量が用意されており、台詞や描写から二人の心の繋がりを感じられるようなものとなっている。
そういう点で見て、イチャラブを目当てに読む分には満足度は高い。

問題点

やはり詰め込み過ぎ+話の進みが性急。

上にも書いたがやりたいことを優先させすぎて、どうにもまとまり切らなかった印象が強い。

最終評価 50点(Web小説としては充分な良作)

イケメンとマッチョの濃厚な関係を楽しむことができるBL小説。

二人のイチャラブをメインで考えるのであればそれなりの分量は確保されており、なかなかに読み応えがある。

それ以外のストーリーに関しても、少しばかり詰め込み過ぎ感は否めないが物語のアクセントとしてはいい味が出ている。

所要時間は凡そ1時間ほど。

極めて個人的な感想

やりたいこと、持って行きたい構図や関係性は強く伝わってくる。
なのだが性急すぎて物語的な説得力が失われてしまった感じは否めない。

後、最初の舞台となる国の設定は面白かっただけに、割とすぐ日本に旅立ったのもちょっと残念。
この辺りも、物語的なブレなのかなと思ったり。

くっついてからの二人の関係性などはいい感じにべったりしており、明確に優れた点。時折差し込まれる秀逸な文章表現も個人的には良かった。

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