激辛Web小説発掘記 その8 非モテ最底辺Ω VS 特権階級α 作者 めへ様

本編URL

https://kakuyomu.jp/works/16817330657276499183

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは『Ω強盗団 VS 特権階級α』までを読んでの感想、レビューとなります。

※注意

こちらはかなり辛口なレビューとなります。用いる言葉なども読んだ人が不愉快になる恐れのあるものが使われる可能性もありますのでご注意ください。
またこれらの記事は特に筆者の感性や感想が強く出たものとなっています。

誰が読んでも必ずしも同じような感想を抱くわけではないので、この記事が作品を選ぶ基準とはなりえないことをご了承ください。

あらすじ

不潔の極み、殺し屋、高利貸し、ゲスなΩがαに襲いかかる!狩られるαもまたクズ揃いの、クズVSクズ!なノワールオメガバース

ストーリーと見所

……オメガバースって何……?

と、まぁまずはそこからかよと言われてしまうかも知れないが、知らないものは仕方がない。流石に全く聞いたことがないわけではなく、何となく名前ぐらいは何処かで知っていた程度の物。

最近流行りのマルチバース関連の何かだと勝手に思い込んでいたのは秘密。

なのでまぁ、一先ずはオメガバースを知るところから始めねば……と言いたいところだが、幸いなことにこちらの作品、物語の冒頭にオメガバースに対する解説が入っているという親切設計。やったね。

一先ず小説に対しての感想は置いておいて、初めてオメガバースに触れてみた感想としては「とんでもねぇなぁ」と言った感じ。こう、言葉は悪いかも知れないが、男性向け成人漫画の世界観を真剣に構築しているような、そんな雰囲気を感じてしまう。

で、こちらの小説はそんなオメガバースで繰り広げられる普通のオメガバース作品とはちょっと風味が異なる作品。恐らくは本来の用途とは異なる話作りをしているのではないかと思われる。

どうやらオメガバースの世界の矛盾(?)的なものにメスを入れたようなバイオレンス+エロティックな作品。何やら軽く調べたところオメガバースとはディストピア要素も含んだ作品であるのだが、結局の多くの作品においては雰囲気作り程度の役割であり、そこに深く突っ込んだのがこちらの小説。

早い話がα(カースト上位。早い話が竿役)に対してΩ(カースト下位、受け役)が何の反抗心も抱かずやられっぱなしなのはおかしいだろうと。そう言った観点から考えだされた物語なのかな?

早い話がクズαをクズΩが犯罪に巻き込んだり、本来ならば搾取される側のΩがαを罠にハメたりしてあれこれするのを楽しむような感じ。

で、こちら激辛記事ではあるのだけれど、そもそもがオメガバースに関して知識不足な部分もあるので、ちょっと手探り感があるのは勘弁願いたい。

物語としては章ごとにメインとなるキャラクターがわかれており、αが犯罪に巻き込まれ没落していく姿や、また逆にΩがαを犯罪行為によって貶める姿が描かれる。

物語としては序盤しか読んでいないが、恐らくはその時点で雰囲気は伝わるだろう。格好良く言えばロマン・ノワールとでも表現するべきか。
早い話が闇金ウシジマ君だ。

めくるめく暴力と騙し、性的な世界観が展開されていく。

一応はオメガバースに対するアンチテーゼ……?的な要素も含んではいるのだろうが、本作品の感想としてはポルノだ。

これに関しては読者によって意見が変わってくる部分だろう。オメガバースに精通した読者であるのならば、これまで自分達が楽しんできた世界観の暗部に光をあてた本作に、また異なる感じ方をする人もいるかも知れない。

所謂世界観の矛盾に関しても、そもそもの前提知識がないので何も言うことができない。

ただし勘違いしないでほしいのは、別にそれは作者の技量不足とか、知識不足とかを感じたわけではないと言うこと。これは読者の方に問題がある話だ。

そこには二つの意味があって、オメガバースと言うものを知っていれば筆者とは異なる視点で楽しめる反面、その知識がなければ結局のところポルノにしか感じられない。

早い話が人を選ぶ作品なのだ、しかも猛烈に。

その点はそもそもオメガバースと言うものが……と言う話になってくるだろう。

愛好家の人々には悪いが、どう考えても万人に受け入れられる世界観ではない。勿論それは書いている当人たちも理解はしているだろう。

なのでこの記事に関しては予備知識なしにオメガバース作品を読んだ人の感想、ぐらいの感覚の方が平和な心でいられるかも知れない。

さてさてそれでは作品の内容と言うか、ちょっとした感想に触れていくのだが、意外なことに結構普通に面白い。

バイオレンス&エロティックな物語として、そこそこにしっかりと成り立っている。

物語の要素としては冒頭で説明されるオメガバースの世界観で理解できるし、早い話が虐げられている者達の、虐げている相手に対しての反逆。しかし、そのΩ達とて決して正義ではなく、欲望のために行動している。

その辺りの救いのなさがオメガバースが元々持っているであろう(この辺りは想像だが)ディストピア要素と上手く噛み合って、なかなかにいい味を出している。

この小気味よいエログロがいい感じに癖になってくる。そんな作品だ。

後小説の内容とはあまり関係ないが、その話の名前がメインとなるキャラクターの名前とその人物がαやらβやらΩのどれであるかが書いてあるのは読んでいて非常に助かった。
それがなかったら結構混乱していたかも知れない。

そう言った意味でもユーザーフレンドリーな作品。

キャラクター

酒井雄介

主人公……とはちょっと違うが物語に置いてかなり印象を残すキャラクター。

最初の登場人物にして、この物語の独創性を読者に伝えてくれる(多分。よもやこういった話作りがオメガバースでは普通とは考えにくいので)非常に重要な登場人物。

彼の語りからストーリーは始まり、彼自身の真実が明かされたとき、読者はこの物語を知ることになる。

総評

評価点

オメガバース云々を置いておくとして、普通にエログロ系の小説として楽しむことができる。

ここに関しては予想が入ってしまうが、恐らくはオメガバースと言うものに対してのアンチテーゼ的な作品。

とは言えそれらのジャンルに対しての嘲笑や侮蔑と言った意味ではなく、あくまでも作者なりに考えて作られた世界観と言った感じだろうか。その手の作品が好きな人でも、新しい角度からの見方の一つとして一見の価値がある……かも?

問題点

当たり前だがエログロだし、しかもオメガバース自体が特殊なジャンルなので人を選ぶことは間違いない。

またこの辺りは作者の意図にもよるだろうが、良くも悪くもポルノ的ではある。

最終評価 55点(正直わからん)

オメガバースを知っているかどうかでまた評価が変わってくる部分はあるだろう。

何にせよそれらの要素に関してはおいて置いておくにしても、割と楽しめるような内容ではある。

とは言えまぁ、やはり人を選ぶ内容であることには違いないのでその辺りに関してだけは注意が必要。

そうでなければ自身の新しい扉を開くという意味でも、挑戦してみてもいい作品かも知れない。

所要時間は『Ω強盗団 VS 特権階級α』までで凡そ30分ほど。



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