Web小説発掘記 その282 テクノルネッサンス 2度目の異世界で興す異端者達の技術革命戦記 作者 碧渚 志漣様

本編URL

https://kakuyomu.jp/works/16818093074273216378

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは記事を書いた時点での最新話である『第9話【蒼き時代】』までを読んでの感想、レビューとなります。

あらすじ

されど神は貧弱な読み物を好まない。

主人公《オリヴァー》は異世界の探検家だった。 主人公《カミシマ》は現代社会の技術者だった。 主人公《アレックス》は異世界の革命児だった。

探検家は修練に励み、死霊を治め、ゴーレムを作り、古代語を駆使して前人未到の大地を目指し、8振りの剣を生み出す。

技術者が学ぶは歴史の流れ、技術の集大成。
想い人の魂は何処に?

革命児が見るのは探検家の記憶より100年後
転生はあれど流れた時間は戻らず・・・。
彼の者の最愛たるは誰か、母か、妻か、娘か?

革命児は愛する人の為に国を興し、万夫不当の神に抗いながら最愛たる人の為に8振りの魔剣を探し求める。

ストーリーと見所

前世の知識を持った主人公が繰り広げる技術革命戦記……?

多分、恐らく……。
タイトルとあらすじから判断するとそんな感じ。

かなり壮大な構想と土台の元に成り立っている物語のようで、実際読んだ部分だけではそのほんの一端に触れただけに過ぎない。

ただしそれだけでもこちらの小説が今に作り込まれた世界観によって成り立っているかが伝わってくる。

文章に関してはかなり読みやすく、心情と情景描写のバランスもいい。割と小難しい言葉が頻出する割には、読んでいて疲れないのはとても好印象。

なのだがまぁ……。
一先ず現状を読んだ限りだと何をする話なのかが今一つ伝わってこない。恐らくは多くの時間とか世界とかを隔てた壮大な物語なのだろう。

その中で前世の知識を持った主人公と、その前世自身の話……とかをやっていくような感じだろうか。

なのだがまぁ……実際本編からはあまりその方向性は伝わってこない。いや、一応技術的なものに対する説明が多いところからしてそういった話がメインになってくるのではあるのだろう。

というのも実際読んだ感想としては。
プロローグ過去話→主人公っぽい男性(前世持ち)→主人公の過去話(今世)→主人公の前世話。

といった感じで物語が推移していく。
その中に回想の中で更に別視点に移ったりもする。

なので読んでいるこちらとしては何処に焦点をあてればいいのかがはっきりせず、どうにもふんわりと……言ってしまえば「これいつ本編始まるんだ……?」といった感じのまま読み進めることになってしまった。

とはいえまぁ、そこに関してはこちらにも責任があり。恐らくは本編自体はもう始まっていて、そういった部分をすべて含めた運命を語る物語だったのだろう。

そこに関しては素直にこちらの読解力が及ばなかったというところではある。

前世編に入ってからは、恐らくようやく本編開始といったところだろうか。

とはいってもここからも急に増えるキャラクター、世界観や技術を含めた説明に次ぐ説明(とはいえ技術的な部分に関してはタイトルから察するにこの物語の肝でもあるので、一概に悪いことではないが)なので読んでいてとにかくごちゃついている印象が拭えない。

そして最序盤に出てきて回想以降出番が消えた今世の主人公はいったい……?といった疑問を残したまま話が続いていくことになる。

と、まぁ色々言っては見たが物語としてはまだ序盤も序盤。
今後話が動き出していくなかでそれらの糸が束ねられ、一つの物語としての完成度を高める可能性は充分にあり得る。

特に設定や世界観、何よりも壮大な構想に対しての熱量は確かに伝わってくる作品なので、今後の展開を楽しみに待つのも一つ。

キャラクター

カミシマ

現代編の主人公。

とはいっても現代編の殆どが彼の過去話になっている関係上、厳密には子供のころの彼が現代編の主人公みたいなところはある。

総評

評価点

物語に対する熱量は物凄く、壮大な今後の話を思わず期待してしまうようなストーリーが出来上がっている。

文章に関してはかなり読みやすく、その上で表現もしっかりとしているので読み応えがある。

まだ序盤だが、それでも今後に対して強い期待感を持つことができる物語となっている。

問題点

視点の行ったり来たりが急激すぎて、些かごちゃついている感じが否めない。

特に今後の伏線にもなるのだろうが、どうにも主人公が関わらないエピソードが多く、現代編は何とも言えない感じになっている。

振り仮名が妙に多いのも少し気になった。
この辺りはどの程度の年齢層を読者として想定しているのかにもよるので、一概に問題というほどでもないが。

最終評価 47点(普通に楽しめるWeb小説)

面白そうな要素は沢山あり、特にストーリーの壮大さは思わず読んでいてワクワクしてくる。

所々で見せる台詞回しもとても魅力的で、主人公を含めた各キャラクター達の今後が気になる内容となっている辺りも非常にいいポイント。

現状はまだ始まったばかりといってもいい時点なのでちょっと評価に困る部分もあるが、壮大な物語を期待する読者には是非読んでみてほしい骨太なファンタジー小説。

所要時間は『第9話【蒼き時代】』までで凡そ30分ほど。

極めて個人的な感想

なんだか凄いことをやろうとしている感じと、その熱量は確かに伝わってくる小説。

とはいえ如何せん序盤のごちゃつきはちょっと……といった感じ。


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