Web小説発掘記 その137 社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信! 作者 ゆーたん(たけのこ派)様

本編URL

https://ncode.syosetu.com/n0313ik/

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは記事を書いた時点での最新話である『34 つよつよミミックの陰謀論(掲示板回)』までを読んでの感想、レビューとなります。

あらすじ

 これはオレ様が後に世直しミミックと呼ばれるようになった話だ!

 ――腹減った。

 オレ様は魔王城ラストダンジョン配置のつよつよミミックだが、魔王のヤローがくたばって誰も来なくなりやがった。

 あまりの空腹に餓死寸前だったが、そこに来たのがオレ様の下僕になったアルカ、コイツに運んでもらったダンジョンで出会ったのはよわよわの変な人間ハコザキ。

 コイツの言う通りにすればオレ様はエサ食い放題になった。
 そしてコイツに食わせてもらったピザ、これマジで美味いな!!
 何々? もっとピザを食いたければハコザキのいう事を聞いたら良い?

 いいだろう、悪人退治、やってやるよ!

ストーリーと見所

何やら流行っているらしいダンジョン配信。とは言っても筆者が読むのはこれで二つ目なので色々とわかってない部分があるのはご愛敬。

で、こちらの物語なんだけど、まぁタイトルにある通りなんか超強いミミックが弱い配信者の人間と組んで悪人を裁いていくようなストーリーとなっている。

状況としてはミミック視点から見れば下僕にした人間に利用されている形となっているが、ミミックはいつでも人間を殺すことができるし、人間の方もミミックの強さに敬意を抱いているので割と良好な関係を築いている。

一見すれば話が通じないモンスターが主人公なのだが、二人の下僕にちゃんと食料を分けてあげたりと妙なところで人の好さが見え隠れしているのがこの作品の面白いところでもある。

で、もう一つの本命としてはやはり容赦なく悪を裁くことによる爽快感が挙げられる。

法の手の及ばない悪人を情け容赦なく痛めつけ葬るようなこの手の作品には、やはり今も昔も変わらないカタルシスがあることは間違いない。

作品の最大の見所としてはやはりそれらの要素をかなり短時間で摂取できると言うことにあるだろう。

鬱々とした展開も殆どなく、一目見てわかりやすい「僕、次の話で酷い目に遭って死にます!!」とでも顔に書いてありそうな悪役たちが現れては惨たらしい死を遂げていく。

その辺りが実にわかりやすく描かれているので、そう言った作品としての魅力は非常に高い。

実にわかりやすく、伝わりやすい。娯楽小説としての必要な部分がしっかりもっちり詰まった楽しい小説と言えるだろう。

キャラクター

ミミック

主人公。

所謂宝箱に擬態するモンスター。ラストダンジョンの裏ボスと言うことで、非常に強い。

ラストダンジョンとか裏ボスとかどういうこと?ってなるけどまぁ、物語のノリ的にあまり気にしない方がいい。

色々な能力を持っており、それを使って人間とコンビを組み、悪人を裁いていく。そしてその様子を動画サイトに流してお金を得て、それによって食料にありつくというサイクルを形成している。

傍若無人に見えるが意外と部下想いだったり、人生の楽しみ方を知っていたりとそこそこにいい感じのキャラクター。

その点に関してはちょっと物語的に都合が良すぎる気がしないでもないが……まぁ、作品の雰囲気的にはそれほど気にならないレベルではある。

ハコザキ

ダンジョン配信者。
ダンジョン配信者ってなんやねん。まあダンジョンで配信する人か。

ミミックをいい感じに餌付けして、本人は仮面を被って悪人を裁く配信者として活動する。実質的にもう一人の主人公と言ってもいいかもしれない。

立場的にはミミックの下僕で、一応彼の強さを利用している形にはなるのだが、強さに対して敬意を払っていることが見て取れるのでいいコンビのような感じにはなっている。

しかし次から次へと悪役を見つけてくるのだが、どうやっているのだろうか……?

アルカ

レプラコーンの少女。
オーラバトラーでもなければハイパー化もしない。

妖精的な女の子。

程よく敵を引き付けたり、程よくヘイト役の際立たせてみたり細かいところで活躍するが、それはあくまで物語的なお話。

総評

評価点

わかりやすくテンポのいいストーリー展開が魅力の作品。

悪役の何が悪いか、彼等がどのような悲劇を生み出してきたかの説明もそこそこに、そんな連中が豪快に惨たらしく死んでいく姿を楽しむ……と書くと些かあれだが早い話が法で裁けぬ悪を倒すダークヒーロー的なお話。

なので爽快感に関してはかなりのものがあり、タイトルを読んでピンとくれば満足度はかなりのものがある。

問題点

別段この物語に限ったことではないが、配信する理由が今一つ不明瞭。

そもそもどう考えてもR-18Gな映像を配信サイトで流して収益が得られるかどうかも謎だし、世界観的にはあまり突っ込んではいけない作りとなっている。

ただ一応、物語のコンセプトとしてはそこに主軸を置いているわけではないので、目を背けながらでも充分に楽しむことができる。

加えて上記の点なども含めた説明不足感も否めない。

最終評価 57点(Web小説としては充分に良作)

こう、なんと言うか正直なところ細かい部分が目にはつく……目にはつくのだが読んでみると作者さんのやりたいことやコンセプトはしっかり果たせているので普通に面白い。

そんな作品。

特筆する部分としてはやはり主人公であるミミックのキャラ付けだろう。

上にも書いた通り物語的に都合が良すぎる気がしないでもないが、それはあくまでも意地悪な見方をすればそう見えると言った程度のこと。

凶悪ではあるのだが微妙に口車に乗せられていたり、部下には親切だったりと妙に愛嬌があって魅力的な性格をしている。

スッキリさっぱりと悪を裁く、とてもわかりやすく楽しめる良作小説。是非読んでみてほしい。

所要時間は記事を書いた時点での最新話である『34 つよつよミミックの陰謀論(掲示板回)』までで凡そ40分ほど。



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