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真赤な太陽 沈む砂漠に
大きな怪獣が のんびり暮らしてた
『かいじゅうのバラード』
作詞:岡田冨美子
作曲: 東海林修

 こんな具合のものを、みんなで歌う時に、誰1人として、あいつが売春してるとか、生理不順だとか、あたし、フェラしてあげた、とか、考えなかった筈なのに。どんなに自然に笑っていたりしてても、絶えず、そういう眼差しみたいなものから逃れて、ただ、あなたであるということを、ただ、笑っているということを、ちゃんと見ること。できるはずがなかった。それは、私が幼いという、理由だけなのかもしれないし。でも、ずっとよぎる。そういう、翳。男という、翳。

 きっと、このきれいな手で、知らない誰かの男根を、黴た新宿の外れで触れていたんだって、ね。そういう全部が無くなってしまえばいいのに。こういう人間のvita sexualisへの嫌悪と、とはいえ人間である以上、vita sexualisの内にある、自己。逃れられない呪いみたいなものの内では、どんな嫌悪感も、意味を成さないように思う。自己否定や自己嫌悪は、存在し得ないほど軽くて、好きな子に、ちょっかいをかけてる、男子ぐらい、軽率で、単純な、何かですらない。そういう絵本あった。怪獣みたいな小学生が、隣の席の女の子、ぶったりする。

 二次性徴を迎える前の、男女だけが、誘蛾灯の熾熱に痙攣して死んでいくような、世界があって多分、そういう内なら、私は存えられる。長らえる。永らえる……

 私という人格が、幼さすぎる、遅れすぎている、私には良い人ばかりだったから、世の中のくずのことが、少しもわからない。

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