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観音寺、「かんおんじ」なのか「かんのんじ」なのか。香川県観音寺市。グーグルマップをゆく㊱

 グーグルマップ上を適当にタップし、ピンが立った町を空想歴史散策する、グーグルマップをゆく。今回は、香川県観音寺市。

 てっきり「かんのんじし」だと思っていたら、「かんおんじし」だった。観音寺市。香川県といえば讃岐国で、空海の出身地である。観音寺という地名も空海に由来するものかと思っていたら、どうやら空海だけが関わっているものではないらしい。

 八世紀に法相宗の日證という僧が山で修行をしていたところ、琴の音が聞こえてきた。山の麓に船があり、そこから聞こえてくることがわかった。近づいてみると、琴を弾く老人があり「我は八幡大明神である、朝家(天皇と国)を守護するために宇佐から来た」と告げた。

 これによって、日證がここに八幡大明神が勧請して琴弾八幡宮とし、神宮寺として神恵院と宝光院が建立された。日證がどういった僧であるのか、なぜここで修行をしてたのかについてはよくわからない。

 神宮寺とは、奈良時代の神仏習合の思想によって神社の附属として建立された寺院のことを言う。

 寺院が建立されたことで人々が集まるようになり、東予と中・東讃を結ぶ主要交通拠点なった。それにともなって周辺は賑わうようになる。

 そして、弘仁3年(812年)に空海が神恵院第7世住職となり、法相宗を廃して真言宗に改め、薬師如来・十二神将・聖観世音菩薩・四天王等の尊像を刻み祀って七堂伽藍を建立した。山号を七宝山、寺号を観音寺と改めた。

 寺号が観音寺と改められたことで、この周辺も観音寺と呼ばれるようになる。これが観音寺村となり、観音寺町を経て観音寺市となる。

 「かんおんじ」と「かんのんじ」については、元々「観世音菩薩」(かんぜおんぼさつ)を略してたもので、「かんおん」が正しい発音であり、口語にありがちな連声によって「かんおん」の「」がくっついて「かんのん」と発音されるようになった。

 つまり、市名としては正しい発音を取り、寺号としては口語に基づいた発音を取っていると言うことになる。

 香川県には、金比羅山で有名な「琴平町」があり、「琴」という字が共通しているので何か関係があるかと思い調べてみたが、どうも関係はないようである。

 八幡大明神は武運の神であり、観音寺に源義経が源平合戦の勝利祈願に参ったといわれているが、四国や中国地方の八幡宮の多くは義経が勝利祈願したと言われており、それだけの数を祈願して参っていると戦どころではなかったのではないか?と思えてくるので、正直疑わしい。

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