【ニュース箱】オレンジジュースが飲めなくなる!?

半年前の東洋経済でオレンジジュースの「休売」について、飲料メーカーによっては23年4月から発生していると報じられていたが、いまだに輸入品の調達困難が続いているようだ。

農林水産省統計によると、オレンジはバナナと並んで輸入に頼る果物の代表格だ。日本の果実は62%が輸入、38%が国内生産であり、オレンジ輸入は40%(ジュース用と合わせた数)、うんしゅうみかん国内生産29%という状況である。

オレンジ輸入の7割を占めていたブラジルでは天候不順と病気の蔓延により質の高いオレンジの収穫量が減っているそうだ。近年、同国の柑橘類の栽培は病害虫、特に黄龍病 すなわちカンキツグリーニング病の発生によって大きな影響を受けているそうだ。この細菌は罹患性の植物内で急速に増殖し、わずか40日で高い 個体数に達するそうで、ブラジルでは、主要産地である柑橘類ベルトで被害が顕著になっているとのことである。

ブラジルは世界最大のオレ ンジ果汁輸出国であり、世界のオレンジ果汁市場の80%近くを占めている。ブラジルにとって最大の輸出相手先はEUであり、次がアメリカである。アメリカは22年末のハリケーンイアンによって甚大な被害を受けたため生産量は前年より60.7%少ない。も う一つの大生産国であるメキシコのオレンジ果汁製造量も、降水量不足のために少なくなっている。このような結果から世界中でオレンジの取り合いが起こっているようだ。

https://www.japanfruit.jp/Portals/0/resources/JFF/kaigai/jyoho/jyoho-temp/No345.pdf

この結果、期待が高まっているのが国内生産である。
24年6月26日の毎日新聞朝刊では、「温州みかんは救世主?」との表題でオレンジ果汁の輸入高騰について「チャンス到来」などという識者もいるが、紙パック1リットルのオレンジジュースが100円で買える時代は終わりが来た、と言及されている。
温州みかんはオレンジの輸入自由化もあり91年に158万トンあった生産量が23年には6割減の68万トンだそうだ。
生産量が減った分価格が上がっており、みかんの生産だけでみかん農家の生計が成り立っているが現状の果汁用の取引価格では人件費などの採算が合わないため果汁用栽培を増やそうとする農家は出てこないだろうとの見方を愛媛県果樹同志会の方がされていると毎日新聞が取材している。


気になるのはやはり気候変動の問題だ。
農林水産省では地球温暖化で主力の温州みかんの高品質栽培が難しくなってきたために宇和島地域でブラッドオレンジを栽培する普及事業を行っているようだ。いずれにせよ国内にしろ国外にしろオレンジやみかんの柑橘類が気候変動や天候不順の影響を受けることは今後も続くだろうし、それに伴い国内生産できるものの見直しが進むのであろうが、いずれにせよ低価格で飲食できるとは考えないほうがいいのかもしれない。

https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/hukyu/h_zirei/pdf/2-38ehime.pdf

多少値があがるかもしれないが、少なくとも農家の方に栽培していただけるように、今後も食べ続けていけるために、特に国内産の柑橘類(みかん、オレンジ)を意識して選んでいきたいと思うようになった。

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