友達の有効期限
ある日教室からある言葉が聞こえてきた。それは「友達の賞味期限」。僕もそれに似たような言葉を聞いたことがある。いや、痛感している。その言葉は「友達の有効期限」。
あれは中学生の頃だった。僕(田所 澄︰たどころ すみ)は仲の良い友達がいた。その子の名前は 源 美音︰みなもと みね。美音とは驚くほど話が合い、日々の会話が楽しかった。
美音 澄〜
澄 どうしたの?美音。
美音 宿題忘れちゃった〜 写させて〜
澄 もう…また?これで何回目?
美音 (;-ω-)ウーン 5回目とか?
澄 もっとあるでしょ……
美音 おーねーがーい〜
澄 (。´-д-)ハァ- これで終わりだよ?
美音 うん!
澄 返事だけは良いんだけどね……はいどうぞ。
美音 ありがとう!やっぱり、持つべきものは親友だね〜
澄 その言葉、今までに何度聞いたことか……次からはほんとに持ってきてよ?
美音 ……うん。
澄 美音、目が泳いでるけど。
美音 ま、まぁ?その時はその時に……ね!
澄 いや、貸すの僕なんだけど。
美音 いいじゃん、別に!
澄 もう…… ((*´ ᵕ`)フフッ
美音は可愛いし、明るいし、話していて飽きない。今まで喧嘩したこともなくて、大好きな親友だ。
中学三年生になった僕たちは受験や卒業式に向けて準備をしていた。僕は毎日、放課後に美音の家で勉強をしていた。勉強は嫌いだけど、美音といるだけで楽しかった。
美音 は〜あ〜
澄 そんなおっきなため息ついて、どうしたの?
美音 いやさ、私たちももう卒業なんだな〜って
澄 そうだね。
美音 やっぱり寂しいよね〜 3年間ず〜っと一緒にいたのにさ、高校行ったらさよならだもん。
澄 そんなことないんじゃない?だって、連絡とかとれるし……
美音 でも私たち、携帯持ってないじゃん。
澄 あ、確かに…
美音 お別れやだよ〜
澄 (;-ω-)ウーン あ、家!
美音 え?
澄 お互いの家知ってるじゃん!だからさ、携帯持つようになったら家に行くよ!
美音 それ名案!天才じゃ〜ん
澄 でしょ
美音 じゃあ、私も澄の家に行くから
澄 おっけー
美音 約束ね!
澄 うん!
それから僕たちはそれぞれの志望校に向けて勉強し、無事に受かった。いよいよ、卒業式の日。式中に泣いてる子はいなかった。でもその後、教室ではみんなが泣いてた。もちろん、僕と美音も泣いてた。
美音 お別れやだよ〜
澄 もう……美音泣きすぎ……
美音 澄も泣いてるじゃんか〜
澄 き、気のせいだからっ
美音 ꉂ(ᵔᗜᵔ*)アハハッ そっか!
澄 美音。約束、覚えてる?
美音 もちろん覚えてるよ!待ってるからね!
澄 僕だって待ってるから!
美音 うん!また会おうね!
澄 うん……!また……!
それから僕は高校に入って、携帯を買ってもらった。よく考えたら、僕だけ携帯持ってても意味ないんだけど、せめて僕の連絡先を教えようと思って美音の家に行った。でも、そこには家なんてなかった。近所の人に聞いたら1ヶ月前に取り壊されたらしかった。
あれから1年。美音とは一切あってない。だから、これが「友達の有効期限」なんだと思った。どれだけ仲が良くても、時が経てばそんな関係もどこかに行ってしまうんだ。でも、それで良かった。
クラスメイト あれ、なんか校門に違う学校の人がいる!誰だろう?
澄 え……?
窓から覗いて見てみたら、そこにいたのは
ダダダダダッ=͟͟͞͞
澄 美音!!
美音 澄……! エヘヘ( ̄∇ ̄*)ゞ 見て…!
澄 あ……携帯……
美音 買ってもらったんだ〜
澄 ……
美音 ごめんね〜引っ越しちゃって。急だったからなんにも言えなくてさ。
澄 元気そうで良かったよ。
美音 澄も元気そうだね。
澄 うん。美音に会ったからもっと元気でた。
美音 (´ ˘ `)♡エヘヘ
澄 心配…したんだよ?
美音 だからごめんって〜 本当はすぐ言いたかったんだよ〜
澄 ま、しょうがないんだけどね。あ、そうだ。連絡先……交換しよ!
美音 うん!これからはたくさん話せるね!
澄 そうだね!話したいこと、いっぱいあるんだから!
美音 私もだよ!
「友達の有効期限」この言葉は悪い言葉なんかじゃなかった。昔のことを思い出させてくれる、とっても大切な言葉なんだ。有効期限は伸ばすことが出来る。それはいつまでも、本人が望むかぎり。
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