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11/8(火)夢日記 〜紫色のポロシャツのヤクザに追いかけられる〜

車の中で、母からクッキーを渡された。
チョコクリームをサンドしているクッキーだ。

「あそこのヤクザさんは、チョコクリームだめだから。チョコクリームを取り除いて、ここにあるケーキの生クリームを代わりに入れて、もう一回サンドしておいて。それをお出しするから」

母は運転しながら、流れるように私に説明した。
言っていることがよくわからなかったが、たしかに生クリームがふんだんに使われたドーム型のケーキが隣の座席にある。これの生クリームを挟めということか、と思い、言われた通りに作業した。

最初は意味がわからなかったが、要領を得てくると、前世のバイトでは同じような作業をしていたに違いないと思えるほど、手練れてくる。

場所はいつのまにか、何かの事務所の前になっていた。母も車もない。先ほどの、生クリームサンドクッキーを持て余す私だけだった。

事務所は、例の「ヤクザさん」のものだと私はなぜか知っており、ここにクッキーを届けなくてはならないという使命感も一丁前に持っていた。

事務所には誰もいない。
声をかけたが誰も出ない。

胃が痛み出す。これは、運び屋の痛みだ。

私は、事務所の一角にそっとクッキーを置いて出た。
おそらくこのクッキーは確実に誰かの手を伝って渡らなければならなかったのだろうが、私はとっとと手放したくてたまらなかった。

事務所から去ってしばらく歩くと、洋服のしまむらに着いた。
入ると、友人がしまむらなのに雑誌を立ち読みしていた。
私の尊敬する友人だ。
向こうは私に気づくと、声をかけてくれた。

「奇遇だね。私は洋服を買いに来たんだ」

そう言って、友人はしまむらの中を滑るように歩いていった。
特にすることもなかったので、何の気無しに友人の後をついていく。

どうもここは、私の知っているしまむらではなかった。
店の床の色や壁紙の淡白さ、服の並び方といった点はしまむらのそれだったが、取り扱っている服が違う。
よれよれの柄シャツを手に取ると、14,411円という、しまむらでは見ない値段が書かれていた。

全部ヴィンテージものだ。ここはどうやら、下北沢に感化されたしまむらのようだ。

友人は驚く様子もなく、じっくりと服を見て回っていた。
ふいに、「何をしていたの?」と私の状況を聞かれる。

「えーと、ヤクザにクッキーを届けたんだけどね、人がいなかったから床に置いてきちゃって……」

そこまで話して、はっとした。
普通の声量で、話してはいけないことを話してしまった。
焦ってあたりを見渡すと、目つきの怖すぎるスキンヘッドのおじさんが、こちらを睨んでいた。おじさんは、紫色のポロシャツを着ていた。

やばい。あの人、あの事務所の人だ。

私は直感し、「ごめん、ちょっと逃げるね」と友人に言い渡して、走って店を出た。

店の外はいつのまにか箱根駅伝の5区のような雰囲気になっていた。
私はなんとか逃げて逃げて、さすがに追手を引き離しただろうと後ろを振り向いた。

紫ポロシャツスキンヘッドは、ペースを落とさずに接近してきていた。

私は大慌てでスピードを上げる。
すると、向かいからも二人ほど紫ポロシャツの人が現れた。

まずい。彼らも、だ。

私は横道にそれて逃げた。もう足が限界だ。

くたくたになった先に、電柱によりかかっているおじいさんがいた。おじいさんも、紫のポロシャツを着ていた。

私はそこで絶望して、おそらく気絶してしまったのだと思う。
気づくと、自分の部屋にいた。

私はヴィンテージしまむらで服を選んでいた友人に電話をかけた。

「いやぁ、紫のポロシャツのヤクザに追いかけられて参っちゃったよ」

私がそう言うと、友人は高らかに笑って、

「奇遇だね。私も、あのあと紫のポロシャツを買ったんだよ」

と言った。

そこで目が覚めた。

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