魅惑の紀伊田辺・白浜夏旅(開戦前夜篇)
初夏の某日。夕方。
大阪市内・南森町近辺のいつもの焼鳥屋で、友人ひうらー伍長と、夏季休暇の旅行について、綿密な打ち合わせをする。
高知へ行こうか、広島にしよか。
博多もいいし、東京旅も捨てがたい。
ジョッキを片手に焼鳥を頬張りながら、ケンケンガクガクと検討する。
名所の景色を想像しながら、あっちだこっちだと検討してる時間も楽しいんだよね。
シメのお茶漬けを食べる頃に、ようやく話がまとまる。
行き先は、和歌山県に決定!
普通電車に乗って、紀伊半島を白浜辺りまで南下して行くことにした。
『特急くろしお号』に乗って、スピーディーに進むこともできるが、だらだら各駅停車に乗って、おしゃべりしながら酒を飲み、のんびり旅するのも味わいがあるからね。
わーい、楽しみだあ!
「お前は、アホみたいにのんきでええな。旅行には綿密な旅程が必要なんや。打ち合わせは、ここから本番やねんで?目的地は白浜として、どこで途中下車するのか、観光時間はどれくらいになるのか、ホテルはどこでとるのか、逆算して電車の時刻表を・・・」
あー、はー、はいハイ。
そんなん、現地で決めたらよろしやん。
普通電車なら、だいたい夕方頃に着くんちゃう。
ホテルは、かんぽの宿紀伊田辺にして。
翌日は白浜行って、あとは臨機応変に。
ハイ、旅行予定決定ー。
「それを、行き当たりばったりって言うんや!アホなんか?もうええ、細部の旅程はオレが詰める。そのかわり、反対意見はいっさい受け付けないからそのつもりで!」
と、友人ひうらー伍長は、鼻の穴をピクピクうごめかしながら通告してきた。
たかが、1泊2日の南紀白浜旅行くらいで大げさだなあ。
反対なんてしませんので、ご自由に。
後は、当日朝遅刻せんように、前日のネットゲームを、程々に切り上げておかなきゃね。
「遅刻したら、特急乗って特急券を2人分買ってもらうからな。」
と、ひうらー伍長に念をおされた羊好大尉。大丈夫ですよ、遅刻なんてしませんよ。
楽しい夏旅は、まもなくはじまる。
(つづく)
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