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クラプトン ウィンウッド 2011来日公演

 私はエリック・クラプトン(EC)のコンサートを1979年から欠かさず観ている。それは、アルバムのプロモーションでの来日やジョージ・ハリスン、エルトン・ジョン、ジェフ・ベックなどとの競演来日もあり、ECは毎回毎回我々を楽しませてくれる。
今回はあのスティーブ・ウィンウッドとの競演で、ブラインドフェイスの再演もあるとのこと。これは行かねばと武道館に駆けつけた。

 2011年12月9日。
武道館のアリーナを歩きながらの感想は、天井から垂れ下がった白いカーテンはきっとロンドンのロイヤルアルバートホールを模しているんだろうな、と思った。 ゴージャスと言うより厳か。
そして自分の席へ・・・それにしても満杯の会場。自分を含めてだが、年配者の多い事多い事。平均年齢50歳は絶対越えているのでは・・・(ECも66歳だしね)。チケットも12,000円もするので金持ちのシルバー世代ならすんなり行ける。
 私が中学時代に初めてクラプトンを観た時は3,800円だったからこの物価上昇率を考えても今の中学生が12,000円を払えるとは到底思えないので、自然と年配者ばかりになるのか、などとわけのわからん事を考えつつ席についた。

 セットリストについては何のコメントもないのだが、いかんせんスティーブ・ガッドのドラムがいまひとつ私は好きになれない。 もちろん、スタッフやガッドギャング、ナベサダのバックなどで演奏していた頃のガッドはテクニシャンで好きなドラマーであったが、1995年あたりからECのバックを務めるようになり、妙なグルーヴを生み出すようになる。あの頃ベースはネイザン・イーストだったしピアノはジョー・サンプルだったからバッキングメンバーが“もろフュージョン畑の人たち”だったわけで、ま、コレもいいかななんて思いながら観た記憶がある。しかし、今回はブリティッシュ・ブルースとロックであり、ウィンウッドに至ってはブルーアイドソウルの類であるから輪郭がぼやけがちになるのは致し方ないにしても、ガッドのグルーヴがロックに全然なじんでいないのだ。それは非常にかったるいビートであり、ちょっとガッカリ。アンコール曲の“コカイン”なんて「よいしょ」ってなリズムで完全に横ノリ。あれじゃそこら辺の上手いオヤジバンドのほうがよっぽど良いグルーヴを出す。前々回のスティーブ・ジョーダン、前回のエイブラハム・ラボリエルJrなどのビートは非常にグルーヴが出ていい感じだったが・・・どうなんだろ・・・。

 それから、ウィンウッドはいろいろと楽器をこなし、声も非常に良く出ていて観ていて感心する事ばかりであったが、ECは相変わらずワンパターンのギターの音色とフレーズ。しかし、マーチンの主催ということもあってアコースティックコーナーでは気合の入った演奏を聴かせていた。とくに“ドリフティング・ブルース”のソロは私が今まで観たアコースティック・クラプトンの中でベスト1だった。でもでも、エレキギターを弾き始めるととたんに無難路線に行ってしまう・・・。所謂手癖というやつ。しかも、あのブラックのクラプトンモデルの音色、なんとかならないかなぁ。ストラトからあんなに太いウーマントーンを出す事自体馬鹿げているのであって、太い音が欲しかったら回路のギミックに頼らずちゃんとしたハムバッカーのピックアップを搭載したギブソン系のギターで弾いてもらいたい。下品な歪み音なんだよ・・・クラプトンモデルのギターの音色って。ウィンウッドのストラトの方がよっぽどストラトらしい音を出していて良かったな。
 なんだか文句ばっかり書いてしまったが、観終わった感想としてはいいものを観たな、と思っている(ホントかよ!)。

 長年ECに付き合っているので自分の中のEC像がある程度出来上がってしまっていて、注文も多くなってしまうのかもしれない。クラプトンを最初に観た感動や伝説のブラッキーやブラウニーを生で体感したあの感動・・・すばらしいバックミュージシャンたち・・・あの頃の感動を求めるなんて私も相当歳を取ったと言うことだ。ミュージシャンは常に新しい方向を向かなければならないから辛いね。
でも、今回のステージはちょっと特別か。やはり歴史のある2人が同じ舞台に立っているというある意味歴史的な瞬間に立ち会えたような、そんな歴史の証人になった瞬間か。

最後に・・・一緒に行った家内が一言。
アリーナでECを最後まで座って観たなんて初めて。みんな歳を取っちゃったんだね。

2011年12月9日
花形

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