朝の挨拶という優しさ
私の住んでいる地域では、日曜日に段ボールや古雑誌などの回収時になっている。
扇風機を買った時の段ボールをまだ捨てていなかったので、今朝捨ててきた。
自宅から、段ボール収集場所までは1分くらい歩く。
玄関は東側にあるので、太陽が眩しい。そして、昨夜雨が降っていたので、雨に濡れた緑の匂いする。どこかホッとする匂い。
おじいさんが一人、杖をつきながらゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
すれ違う時に「おはようございます」と笑顔で声をかけてみたが、「?」という顔でこちらを見ただけだった。
寂しい。おはようございますを返してくれても良いではないか…。
けれど、見知らぬ他人に挨拶することに抵抗ある人だって世の中にはいるだろうから仕方ない。
私だってそうだった。他人に挨拶なんてしなかった。っていうか、朝の時間でなければ挨拶しないだろう。
私は毎年、夏休みの数日を千葉の海で過ごしていた。過去形なのは、コロナ禍をきっかけに行くことができていないのだけれど、私にとっての「パワースポット」であり「聖地」
早朝の人の少ない海岸でヨガをしながら、心の浄化をしていた。
寝泊まりをしている家から海岸までは自転車で5分程。
一軒家が並んでいる道を進む。すると、朝の時間帯でも人とすれ違うことがある。庭で草木に水をあげてる人もか、部活の早朝練習へ向かうらしい学生とか。
彼らは、すれ違う時に必ず「おはようございます」と挨拶をくれる。
だから、私も「おはようございます」と挨拶を返す。
私なんか、夏休みの数日しかいない、余所者なのに。
挨拶をくれると、人の優しさに触れさせてもらったような気持ちになる。心がほぐれる。ここにいても良いのだというような安心感が湧き上がる。
こういうことも含めて、私はあの千葉の海が好きなのだ。
ああ、今年の夏は行けるだろうか。
早朝、太陽の光、緑の匂い…。
段ボールを捨てに行った今朝、千葉の海のあの空気感と重なった。
だから、見知らぬ人に挨拶をしたくなったのかもしれない。
人様からの優しさを受け取りたかったのかもしれない。
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