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世界を輝かせる方法

郁田はるきが好きすぎる。

 この子、いやこの人間、あまりに良い。キャラクターとしてとか、アイドルとしてとかいう次元ではなく、人間として刺さる。すき。

 つい先日enza版シャニマスに実装された郁田はるき。斑鳩ルカ、鈴木羽那とともにコメティックのメンバーですが、同時開催のイベントシナリオではまだソロとして活動しています。

 郁田はるきのプロフィールはこんな感じ。
・17歳 高校2年生
・高校から上京して姉と住んでいる
・末っ子(他にも姉妹がいる?)
・友達は多い(そして関係も良好そう)
・特技はイラストを描くこと
・クリエイター気質
・マイペースでふわふわした雰囲気

 自分はシャニだと透や円香のようなクール(だけど変)なキャラや、甘奈、冬優子のような二面性のあるキャラが好きで、真乃、霧子、千雪など、おっとりふわふわした雰囲気のキャラは刺さってきませんでした(もちろん彼女たちが一本芯の通った強い人であることは知っています)。
 同様に、はるきも当初あまり癖じゃないキャラだなと思っていたのですが、いざW.I.N.G.をともに駆け抜けてみると、驚くほどはまってしまい夜も眠れません。

 個人的にものすごく忙しい時期だというのに、四六時中はるきのことを考えてしまって何も手につかなくなってしまいました。これはどこかで発散せねばと思い、勢いのままこの記事をしたためています。かなりまとまりのない文章になってしまったと思いますが、ご容赦ください。

※W.I.N.G.シナリオのネタバレがあります。
※W.I.N.G.を通しての感想です。シャニソンはプレイできていません。
※郁田はるきへの想いが強すぎて、敗退コミュは見れていません。
※多分に妄想と過大解釈を含みます。

出会い

 友達にヘルプを頼まれて、ベースの練習をしてステージに立つし、そのステージのフライヤーまで作成しているはるき。多彩。
 ”友達のため”に頑張れるし、”お客さん”が楽しんでくれるかを考えているの、ぐう聖としかいいようがない。

コペルニクスもびっくりの転換

 これまで、誰かを楽しませることが”世界”が輝く方法だと考えていたはるき。
 それに対して、自分の心を動かして”世界”を塗り替えればいいと言うP。
 思いもよらなかった言葉。似ているようで正反対の考えに、これこそが求めてきた”世界を輝かせる方法”であると、はるきは確信したのでしょう。

 だから、ステージを下りて、Pに連れて行ってくれと言ったのです。

シーズン1

 レッスンをPに見られるのは恥ずかしいというはるき。ステージに立っていた時とは違い、まだ未完成なダンスだから恥ずかしいという。
 このセリフから「人に見せるものは完成した結果であり、未完成な過程は見せるものではない」というはるきの価値観が読み取れます。ある意味それは正しく、また現実的と言えます。完成した絵を持って評価されるのであって、絵を描いている過程を評価されることに意味はない。

 一方、現代ではSNSの発展などにより、過程を発信することもたやすくなりました。途中段階の絵をアップしたり、ダンス練習の様子を公開したり。頑張った結果だけでなく、頑張っている過程も評価してもらえるようになったのです。あるいは、過程すら評価されるように”なってしまった”のかもしれませんが。

 昔のアイドルは圧倒的に君臨するものでしたが、今のアイドルはファンとともに成長していくのが主流です(こんな話ゾンサガでありましたね)。ステージ上だけでなく、日常や練習風景、ファンとの交流なども含めて”アイドル”であり、ファンはそのすべてを踏まえて応援する。悪い面はいったん置いておくとして、いい面としては過程――すなわち”頑張り”を評価してもらえる場が多いということです。

 ところが、はるきはそうは考えていません。というか、はるきには”過程を評価される”という考えがないのだと思います。それはおそらく、これまでも過程を評価されてこなかったからでしょう。完成したフライヤーを配布する、練習したベースをステージで演奏する――。後にも出てきますが、はるきは途中で教えを乞うたりせずとも、ある程度のレベルに到達できてしまうため、努力過程を評価されることがなかったのだと思います。

 また、はるきの求める「輝く世界」「世界が色づく瞬間」は、のちに出てきますが非常に刹那的なもので、これをアイドルに置き換えると、ステージ上での圧倒的なパフォーマンスによって一瞬で生み出されるものです。はるきにとって「世界が色づく瞬間」は過程にはないのです。


 はるきは上京した理由を「いろんなことを吸収したくて」といいます。「いろいろかじっては、どれもまだまだ」だとも。
 アイドルも、Pに誘われたから「やろう」と言われたから始めただけ。アイドルはすごく努力しなければいけない世界なのに、あまり興味のなかった自分が思い付きでなろうとして申し訳ない。はたから見ればずいぶんと謙遜が入った言葉です。

 はるきにとってアイドルになることは”思い付き”ではなく”運命的な出会い”の結果であるはずですが、自分にとって”運命的”であっても他人にとってはとるに足らないことだとか、世界が色づく瞬間を見たいという自分の願いをかなえるために思いついたように目指すものではないだろう、などと考えての発言に思います。

 一方「やるからには全力でやる」と部活を辞め、アイドル活動に専念するはるき、あまりに強い。
 Pの言う通り、練習を欠かさず、アイドルというものを知ろうと努力してくれている。十分”頑張っている”のです。それは、評価されるべき過程でしょう。

シーズン1クリア

 ここ! ここに郁田はるきを好きな理由が詰まっています。

なんか聞いたことのあるセリフ

 審査の結果を聞くだけで緊張してしまう。アイドルにとって当たり前のことで、いちいち緊張してしまって申し訳ない、というニュアンスが感じられます。

 お、大人すぎる……。不安の原因は自分に自信を持てる根拠がないからだけど、まだ自信を持つには早い(練習や場数が十分でない)、ということまで理解しているのすごすぎません? 
 ”自信がない”ではなく”自信を持てる根拠がない”というのも、理知的な自己評価に思います。

 一方で、Pの「はるきは一生懸命やっていたから、大丈夫だと思っていた」という発言で、安心したように笑うわけです。Pと同じタイミングで(尊)。

 はるきのコミュではやたらPのことを信用しているような描写があるのですが、これはPをPとして、あるいは大人として無条件に信用しているのではないと思います。

 どうもはるきは、色々なことに手を出してはみるけど、どれも独学でやってきたんじゃないか、と思います。そしてわりとうまくやってきたのではないかと。
 イラストも最初からそれなりに描けたし、ベースも教本や動画などをみてなんとなくできた。そして持ち前の要領の良さと努力量で、そこそこのレベルには到達できてきたのではないでしょうか。例えばヘルプでステージに立てるくらいには。

シーズン2より

 一方で、適切な評価を下してくれる指導者がいない、という状態では、こと芸術関係の物事を続けるのは難しいです。自分が今どの程度のレベルにあって、どこが足りなくて、どうすればもっと高みに行けるのか。そういったことを客観的に評価してくれる人というのは、往々にして必要なものです。
 はるきが何もやっても中途半端だったというのは、彼女の能力の問題ではなく、個人としての限界があったのだと思います。  

 まあ、そこまでではなくても、途中途中で「大丈夫」「よくやってる」「いいぞ」と言ってくれる人がいるというのは自信と続けるモチベーションにつながりますしね。

 はるきシナリオにおけるPは、適切な時に隣にいて「いいぞ」と言ってくれる人です。はるきは自分の不安や悩みをすぐ報告できるし、その理由についても言語化して説明することができます。そこまでわかっているので、Pは「大丈夫だ」か「こう考えてみよう」と後押しをしてあげるだけでいいのです。

シーズン2

 ここにも郁田はるきを好きな理由詰まってたわ。

 オーディション前にはるきが悩みを打ち明けるシーンです。
 オーディションには、ずっと「アイドルになりたい」と思って努力してきた人たちがいる。アイドルを”目標”にしてきた人たちと、アイドルをいわば”手段”にしようとしている自分が同じ場所に立ってもいいのか、と。

どこかで聞いた悩み

 はるきは要領がいいだけで、天才肌というわけではありません。努力の積み重ね、というものの重みをよくわかっています。勝ち負けではなく、壇上に上がる礼儀として。ずっと積み重ねてきた人と、同じ場所に立ってもいいのかと。

 Pは、今日アイドルになりたいと思った人だって、オーディションの場に立つ資格はある、と言います。そして、はるきはもうアイドルが「好き」だし「向いている」と思う、とも。
 ここまで”アイドル”に真摯に向き合っているはるきは、きっとアイドルが「好き」だし「向いている」と思います。はるきの「向いているかはわからないけど、好きかもしれない」という返事は、はるきらしくていいですね。

 はるきは「楽しそうに生き生きしているとき すごく輝く」というPのセリフに、「自分じゃよくわからない」けど「Pが言うなら そう」だろうと笑います。
 はるきは間違いなく輝いていて、でもそれを実感できるほどの根拠は、まだ彼女の中にはないのかもしれません。

シーズン2クリア

 Pはる、尊い……。一生二人で笑っててほしい。

シーズン3

 最近集中できないというはるき。仕事やレッスンで楽しさを感じられなくなってきているのが原因ではないかと。
 それに対しPは、うまくなることはいったん忘れて、はるきが楽しむことをしようと言います。

 はるきは賢いので、Pの言う通り自分が楽しむことが大事なことくらいわかっているはずです。実際、絵や音楽をするとき、練習が大変でも楽しいから続けられると言っています。
 それなのに、Pの言葉を受けて初めて「楽しむこと」に気づくというのは、なんだかちぐはぐです。

 でも、これはきっとちぐはぐなのではなくて、はるきが「楽しむこと」を忘れるぐらい”アイドル”に真摯に取り組んでいる証拠なのだと思います。

 アイドルになるまでのいろいろな活動は、”楽しい”ままでいられるレベルまでで止まっていたのでしょう。でも、厳しいアイドルの世界で続けていくには”楽しい”だけではやっていけません。「世界が色づく瞬間」のためには、もっと練習して、もっと高みを目指さないといけない。
 でも、それでは「輝く世界」には行けない。「輝く世界」は「自分が楽しむこと」で到達できる場所だから。なのでPは改めて、はるきが楽しむことをしよう、と言ったのです。

 このあたりのポエミーなPの発言を、すんなり受け入れて理解するあたり、はるきの芸術家気質が出ている気がします。

シーズン3クリア

 Pはる、尊い……。

 一次審査の時と違い「実はわたし 通過すると思ってました」というのは、自分の中に自信となる根拠ができたからですね。それはこれまでの努力もですし、自分が楽しむことが大事であることを本当に理解したからでもあるでしょう。

この、なんでもないように「大丈夫」というセリフ、良い。

 はるきが自信を持てるのは、はるきが楽んでいるから。
 はるきが楽しめるのは、Pが楽しむことを教えてくれるから。

シーズン4

 はるきの原動力が語られるパートです。

 はるきは既に、自分が楽しむことが世界が輝く方法であると思っています。それなのに、みんなの心を動かすことができる歌にしたいと言います。 
 成長していないというはるきに、Pははるきがそれを一番大事にしているのだろうと言います。

 対して、はるきは大事にしているのは自分のことだと言います。

 世界が色づいていくような すべての扉が開いたような
 今までの自分が全部変わってしまうような 広い世界が見たい
 アイドルなら、それができるかもしれない

 こんな曖昧で不確かで、利己的な動機でアイドルをやるなんて、とはるきは言いますが、それこそがはるきの原動力なのであれば、それを大事にしていこう、とPは言います。

 一方、誰かを楽しませたい、みんなの心を動かしたい、という気持ち、これも間違いなくはるきの原動力なのだと思います。誰かを楽しませたいという気持ちと、自分が楽しむということは矛盾しません。誰かを楽しませようとすること自体が楽しいこともあります。
 Pがどこまで意図しているかはわかりませんが、誰かを楽しませたいという”気持ち”と、色づく世界が見たいという”欲求”、両方ともを大事にしよう、と言っているような気がします。


 はるきは「自分が全部変わってしまうような」世界を見ることを願っています。また、心が燃えるものはあいまいで、いつ出会えるかもわからず、とてももろいもの、とも言います。
 はるきの求める「世界」は恒久的な変化をもたらすものではなく、刹那的な爆発、一瞬の全能の中にあるように思います。それは例えば、極限まで高めた結果のステージ上でこそみられる景色。全てはその一瞬のためにあるので、過程の評価に鈍感なのかもしれません。でも、その一瞬は、そこまでの過程があってこそ生み出されるものです。

 はるきの見たい「世界が色づくような瞬間」。それは「みんなが感動する」ことで得られるのではなく、「自分の感動がみんなに伝わる」ことで得られるもの、のような気がします。
 その瞬間は誰かが見せるものではなく、他でもない”自分”が見るもの。だから過程が楽しいことが大事だし、積み重ねた思いの数だけ感動が生まれる。楽しいという感情は、きっと見ている人に伝わります。

シーズン4クリア

 まだこれからが本番だというはるきに、今日くらいはお祝いしようというP。
 これからもPと一緒におめでとうを重ねていきたいというはるき。尊。もっともっと積み重ねていけ。

W.I.N.G.準決勝

はるき……!

 はるきの見たい「世界が色づくような瞬間」。それは「みんなが感動する」ことで得られるのではなく、「自分の感動がみんなに伝わる」ことで得られるもの。
 そしてそれは、自分の楽しさがみんなに伝わるように頑張ることで達成される。はるきがPに気づかされ、追い求めてきた”世界が色づく瞬間”をみる方法です。

 準決勝勝利後、Pの「ワクワクしたし すごく元気をもらえた」という言葉を聞いて「一番うれしい言葉」だと返すはるき。
 自分の楽しさが伝わって、みんなを感動させられたのだと実感できたのでしょう。Pの言葉は、その根拠となったのです。

W.I.N.G.決勝

 決勝前、あとは見守るしかないというPに「一緒に飛び込んでいきましょう」というはるき。強い。ステージからとんできた女の言うことは違う。
 はるきの楽しさはPあってのものなので、”輝く世界”を見るためにはPも一緒に行かないといけないんですよね。一蓮托生。ずっと一緒にいよう。


 優勝後に見せる初めての表情。それは、はるきの心が動いた何よりの証拠でしょう。

はるき……っ!

きっと 間違いじゃない

 自分の心を伝えることで、自分も心を受け取ることができる。彼女が一瞬でも輝きを見られたのかは語られません。
 でも、はるきの心が動いたことに間違いはないし、みんなの心を動かしたことも、きっと間違いないのです。

その言葉は、何より心を動かした

 そして、あの日はるきが駆けだしたことも。


 余談ですが「ありがとう、ございます――」、暗転、「実は――」のシーン、まるで映画のように芸術的すぎて泣いた。はるきのプロデュースシナリオ、アニメ化してくれ。

郁田はるきという人間

 何かを表現したり作ったりして、輝く世界が見たいと思ってきたはるき。それは誰かの心を動かすことで生まれるものだと思っていたけど、Pとの出会いにより、自分の心が動くことで見えてくるものかもしれないと思い、アイドルになることを決心します。

 はるきは要領のいい子で、なんでもある程度はこなせてしまうのでしょう。もちろん天才肌なのではなく、努力を惜しまないことでこなしているわけですが。

 一方、何をやっても中途半端に終わってしまう。それははるきが器用貧乏というわけではなく、彼女の努力を評価し、導いてくれる人がいなかったからでしょう。場当たり的なある程度の達成ではなく、正しい方向に努力を積み重ね、要所要所で言葉をくれ、見守り続けてくれる人。Pのおかげで、はるきの心は動いたのです。

 劇的な瞬間を求めているはるき。彼女自身の過去や日常はこれから語られるところですが、例えば家庭の事情とか、友人関係で嫌になって、といった負の感情から来る欲求ではないようです。
 漫然と過ごす退屈な日常を、一瞬の輝きを持って変えてみたい。そんな欲求に思います。移ろいゆく時間の中で、それでも変わらないものを求めたノクチルとは対照的ですね。どちらも、とてもよくわかる感情です。


 たぶんはるきは、アイドルでなくてもよかったのです。イラストでもよかったし、ブラバンでもよかった。一緒にいるのはPでなくてもよかったでしょう。
 でもあの日、一瞬でも「世界が色づいて見えた」し、ステージの上から飛び出した。だから、はるきはPと一緒にアイドルをやっているのです。それがとても”大事なこと”だから。


 郁田はるきが好きすぎる、ということでしたためた今回の記事でした。
 勢いで書いているので、解釈違いとか、情報の見落としがあるかもしれません。シャニソンのほうは追えてないですし……。時間が欲しい。

 賢く、思慮深く、力強く、大人びているのに、刹那的な願いを持っていて――ふわふわした雰囲気からは想像していなかった彼女の魅力に、すっかり惚れこんでしまいました。
 もっとはるきのことを知りたい。はやく次のシナリオを読ませてくれ~!!!

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