🇨🇳中国経済が直面する二つのもはや❓

中国経済が直面する二つのもはやとは、以下のように要約できます。

- もはや成長ばかりの時代ではない

中国経済は、高度成長期を過ぎて、新常態と呼ばれる低成長期に入っています。人口減少、債務拡大、不動産バブル、環境汚染などの構造問題が経済の持続的発展を阻害しています。また、米中対立や経済安保などの外部要因も中国経済に圧力をかけています。中国政府は、安定成長を維持するために、供給側改革やイノベーション促進などの政策を展開していますが、その効果は限定的です。中国経済は、日本のバブル崩壊後のような「日本化」のリスクに直面しています³。
- もはや「赤い資本主義」ではない：中国経済は、改革開放以来、市場経済と社会主義の融合を目指してきました。しかし、近年、習近平政権は、国有企業の強化や民間企業への介入、デジタル統制などの手法で、国家の役割を強めています。これは、中国の経済モデルが「赤い資本主義」から「赤い社会主義」に回帰しているという見方ができます。この傾向は、中国の経済の効率性や競争力を低下させる可能性があります

以下に、これらの二つのもはやについて、詳しく説明します。

もはや成長ばかりの時代ではない

中国経済は、1978年の改革開放以来、平均10％近い高度成長を続けてきました。しかし、2010年代に入ると、成長率は徐々に低下し、2023年の第2四半期（4～6月）には、前年同期比で6.3％にとどまりました¹。これは、中国経済が高度成長期を過ぎて、新常態と呼ばれる低成長期に入っていることを示しています。

中国経済の低成長化の背景には、以下のような構造問題があります。

- 人口減少：中国の人口は、2021年に14億4,000万人となり、過去最高を記録しましたが、出生率は1.3％と歴史的な低水準に落ち込みました⁵。中国の人口は、2027年にピークを迎えた後、減少に転じると予測されています。人口減少は、労働力の減少や高齢化の進行とともに、経済成長の源泉である消費や投資に悪影響を及ぼします。中国政府は、2021年に三人目の子供を持つことを奨励する政策を発表しましたが、その効果は不確実です。
- 債務拡大：中国の債務は、2022年にGDPの約300％に達しました。これは、先進国や新興国の平均水準を大きく上回る水準です。債務の急増は、2008年の世界金融危機以降、中国政府が景気刺激策として大規模なインフラ投資を行ったことによります。しかし、この投資は、過剰供給や非効率なプロジェクトを生み出し、債務の返済能力を低下させました。特に、地方政府や国有企業の債務は、デフォルトのリスクを高めています。中国政府は、債務の管理や監督を強化するとともに、債務の再編や償還を進めていますが、その過程で金融システムに不安定要素が生じる可能性があります。
- 不動産バブル：中国の不動産市場は、過去20年間にわたって急速に拡大しました。不動産分野は、GDPの約25％を占めるとされ、中国経済の重要な成長ドライバーとなっています。しかし、不動産市場は、過熱やバブルの兆候を示しています。2021年には、全国の住宅価格が平均で10％以上上昇し、一部の都市では20％以上上昇しました。住宅価格の高騰は、住宅の購入が困難になるだけでなく、資産価値の下落や債務の不履行などのリスクを増大させます。中国政府は、不動産市場の安定化を目指して、住宅の購入や融資に対する規制を強化していますが、その効果は限定的です。不動産市場の調整は、経済に大きな打撃を与える可能性があります。
- 環境汚染：中国の経済発展は、環境に大きな負担をかけてきました。中国は、世界最大の二酸化炭素排出国であり、大気汚染や水質汚染などの環境問題が深刻です。環境汚染は、人々の健康や生活の質を低下させるだけでなく、経済活動にも悪影響を及ぼします。中国政府は、環境保護や温暖化対策を重視するとともに、2020年までに二酸化炭素排出量のピークを迎え、2060年までにネットゼロ（排出量と吸収量のバランス）を達成するという目標を掲げています。しかし、これらの目標を達成するには、エネルギー構造の転換や技術革新などの大きな取り組みが必要です。

中国株二季報2024年春号